忘れられた人(ライ)
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ライが黒の騎士団に入って、数日が経った。
今ではライは、黒の騎士団にとって大切な存在になった。
ゼロ程ではないだろうけど、実力ならカレンに並ぶ。
学校でも、ライは有名だった。
女子からは、よく分からないけど…幻のイケメンとか言われている。
生徒会の仕事も丁寧に、完璧にこなしている。
それでもライは、常に他人と壁を作っているように見えた。
「ナマエ。」
学校の廊下を歩いていたら、ライがこちらに小走りで来た。
「何?」
「お昼これから?」
「そうだけど。」
「じゃあ、一緒に食べない?」
「……」
「今日はカレンは休みだよね?」
そう。
今日、カレンは休みだ。
だから、昼休みをどう過ごそうか考えながら歩いていた。
「それなら一緒に食べよう。」
「……私、サンドイッチが食べたい。」
「はいはい、ごちそうしますよ。」
断られると思ったのに。
変な奴。
―――…
屋上に来ると、そこには誰も居なかった。
まぁ、騒がしい中で食べるのは嫌いだから丁度良い。
それに、こんな所誰かに見られて勘違いされても困る。
「ナマエに、話したいことがあるんだ。」
「何?」
サンドイッチを広げ、食べる。
今日はお弁当持ってこなくて良かった。
「ほんの少しなんだけど…僕の記憶が、戻り始めている。」
「そう。」
「ふっ…興味なさそうだね。」
「だって、興味無いもの。」
知ったこっちゃない。
記憶喪失設定すら忘れてたわ。
「このまま…記憶が戻る事が、少し怖くもある。」
「何で?」
「あまり良い光景じゃないんだ。フラッシュバックのように、思い出される映像が。」
「……」
私の手にあるサンドイッチを見つめる。
…仕方ない。
サンドイッチ分のお礼くらいはしよう。
「ライ。今の生活は不満?」
「え…」
「何も満足出来ない?煩わしい?」
「そんなこと…そんな事、無いんだ。ただ、その…」
隣に座るライが、不安げな表情で私を見た。
「ライは、黒の騎士団でもこの学校でも、十分に必要とされている。」
「……」
「未来はこんなにも広がっているのに、お前は過去に縛られ過ぎだ。」
「!」