「ドライヤーで乾かしてあげる。こっちおいで。」

「ありがとう。」


パジャマの変わりに新しいシャツをナマエに着せて、ドライヤーで髪の毛を乾かす。
いつもよりも、髪が柔らかい。


「むぅ…」

「眠くなっちゃった？今日は早く寝ようか。」

「うん。」


髪を乾かし終え、歯磨き粉をつけた歯ブラシを渡す。



「ひっ」

「どうしたの？」

「……なんでもない。」

「あ、歯磨き粉が辛かった？」

「……」

「ははっ、図星か。」

「からく、ない！」

「ほら、駄目だよそんなに強く磨いたら。」


コップをわたして抱き上げる。
慌てたようにナマエは口に水を含んだ。



「ぅえぇっ…ぺっ、ぺっ」

「大丈夫？」

「うん。」


タオルで口を拭いたのを確認して、抱き上げたまま寝室へ連れて行く。


「あるけるよ！」

「良いから良いから。」


ベッドに寝かせて、僕も隣に寝転がる。
昼寝したから、すぐには眠れなさそうだ。



「すざくー」

「何？」

「んー…その、ね」


頭を僕の胸に押しつけてくる。



「おやすみって、ちゅーして。」

「……」


ナマエが僕の服を掴んで、じっと見つめてくる。



「さっき苦しがってたじゃないか。」

「こんどは、やさしくして。」


さっきも優しくしたのに。


「ナマエ、おやすみ。」

「ん…」


本当に、触れるだけの。
それだけのキスをした。



「おやすみ、すざく。」

「うん。僕、明日朝早いから寝てて良いよ。ご飯も作っておくから。」

「ん、ありがとう。」


ナマエを抱きしめて、眠る。

僕達はきっと、周りから見たら互いに大変依存しているだろう。
でも実際、依存しているのは僕の方なんだ。
ナマエはただ偽りの記憶でそうなっているだけで。

ナマエは全て思い出した時、僕を憎み、離れるだろう。

でも、そうはさせない。
僕から離れることは許さない。
こうしてずっと、僕だけを求めていれば良いんだ。















―次の日―


「スザク！トレーニング終わったら手合わせを……って、どうしたんだ？」

「ん、ナマエが戻ったみたい。」

「戻ったのか！？良かったな！」


ジノは笑っていて、アーニャは少し残念そうだった。

メールにはナマエのいつもの笑顔の写真と、戻りましたって簡単な言葉が書かれていた。

















(ロイドさんには今度、そこら辺に生えてるキノコでも送ろう。)