寒くなってきたのにアイスが食べたくなるときってあるよね。絶対あると思うんですよ。

「一年中言ってないか」
「まあそうだけどさあ！いいじゃないの！」
「ケーキ買うんじゃなかったんだな」
「あ」

そうだ今日ヒカルの誕生日だーあははーと言ったらしょんぼりした顔で肩を落とされた。ごめん。

「なんかケーキって口じゃなくなっちゃって」
「……パフェ」
「…え？」

通り沿いのファミレス。確か、いちごチョコパフェ何とかかんとかがある店だ。

「いちごチョコパフェスーパーデラックス、な」
「何度聞いても分からん」

ケーキよりやっぱ好物食べる方が嬉しいのかな、と思って彼の方を向くと、瞳の奥にパフェが映っていた。食べる気満々である。

「…行こっか」
「…！いいのか」
「行きたそうじゃん。私もアイス食べられるし」

びゅうっと冷たい風が吹く。思わず「寒っ」と呟くと、繋いでいた手がぎゅっと握り締められた。手だけに集まる温もり。彼は照れ隠しなのか明後日を向いていた。やれやれ。私も手を握り返して、彼を店へと引っ張っていった。