短編
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いつも一緒に居る時も音楽聴いたりして全然話を聞いてくれない冷たい後輩財前。そんな彼を嫉妬させたくて他の男子に愛想良くして財前といる時のウザ絡みを少なくしたり、話しかける頻度を減らしたりしてみた。そうしていたせいで遂に同クラスの男子に告白されかけたところを後ろから止めに入ってきてくれた。
「最近目すら合わしてくれんの何なんすか」
ぐいと距離を詰められ後ずさる。
「他の奴とばっかり話してるし俺には話しかけて来んし」
財前が少しイライラしている。また一歩、と後ずさっていると校舎の壁にぶつかる。すると彼は校舎の壁に勢いよく手をついた。
「先輩は何がしたいんすか」
嫉妬してくれているんだという嬉しさと目の前の圧への恐怖で心がむず痒くなる。初めて体感する説明しがたい感情。何も言えなくなって俯くと顎をガッチリ掴まれて無理やり上を向かされる。
「逃げるつもりすか」
彼は静かに、平然とした顔で、私に語りかけている。上を向いているせいで息がしづらい。私はようやく絞り出せた声で「財……前は……、いつも……何にも興味なさそうだし……一緒に…いる時も……話聞いてくれないじゃん……」と言った。
財前の目が少しだけ見開かれる。
「だから……話しかけるの……っ。やめたら…嫉妬…してくれるかな…って……」
と言い終わると、財前はやっと手を離してくれた。息が苦しい。彼は「はぁ……」と大きな溜め息を一つ。
「先輩とおると何か落ち着いてられないんすわ。だから……相槌打つぐらいしか出来なくなるんすよ」
話は聞いてますから、といつもと違い焦ったように付け足す財前。こんな財前見たことない。
「でも、二度とこんな事せんとって下さい。ほんまに嫌われたんかと思いましたわ」
顔がほんの少しだけ、紅くなっているように見えるのは気のせいだろうか。財前もそんな顔するんだ…。それを目の当たりにしたとき、脚の力が全部抜けて、その場に座りこんでしまった。
「大丈夫すか」
「なんか安心した…。ごめん、もう二度とやらない」
「先輩涙出てますよ」
え?と思い顔に手を当てる前に財前の両手が近づいてきて私の頬を包む。
「なんか泣かせたみたいやないですか」
「実際そうでしょ」
財前が涙を拭ってくれる。もう大丈夫だよ、行こうと声をかけると「こんな涙の跡残った顔他人に見せられませんわ」と言って正面から抱きしめられる。
「これで誰にも見られず泣けますよ」
「もう泣かんし」
財前がはは、と短く笑う。笑っているところなんて見たことがない。顔見して、と言うと絶対嫌です、と言って腕の力を強められた。それと共に大好きな財前の香りも強くなる。見上げれば、少し嬉しそうな彼の顔がある。もう私には彼のことしか見えていない。
「最近目すら合わしてくれんの何なんすか」
ぐいと距離を詰められ後ずさる。
「他の奴とばっかり話してるし俺には話しかけて来んし」
財前が少しイライラしている。また一歩、と後ずさっていると校舎の壁にぶつかる。すると彼は校舎の壁に勢いよく手をついた。
「先輩は何がしたいんすか」
嫉妬してくれているんだという嬉しさと目の前の圧への恐怖で心がむず痒くなる。初めて体感する説明しがたい感情。何も言えなくなって俯くと顎をガッチリ掴まれて無理やり上を向かされる。
「逃げるつもりすか」
彼は静かに、平然とした顔で、私に語りかけている。上を向いているせいで息がしづらい。私はようやく絞り出せた声で「財……前は……、いつも……何にも興味なさそうだし……一緒に…いる時も……話聞いてくれないじゃん……」と言った。
財前の目が少しだけ見開かれる。
「だから……話しかけるの……っ。やめたら…嫉妬…してくれるかな…って……」
と言い終わると、財前はやっと手を離してくれた。息が苦しい。彼は「はぁ……」と大きな溜め息を一つ。
「先輩とおると何か落ち着いてられないんすわ。だから……相槌打つぐらいしか出来なくなるんすよ」
話は聞いてますから、といつもと違い焦ったように付け足す財前。こんな財前見たことない。
「でも、二度とこんな事せんとって下さい。ほんまに嫌われたんかと思いましたわ」
顔がほんの少しだけ、紅くなっているように見えるのは気のせいだろうか。財前もそんな顔するんだ…。それを目の当たりにしたとき、脚の力が全部抜けて、その場に座りこんでしまった。
「大丈夫すか」
「なんか安心した…。ごめん、もう二度とやらない」
「先輩涙出てますよ」
え?と思い顔に手を当てる前に財前の両手が近づいてきて私の頬を包む。
「なんか泣かせたみたいやないですか」
「実際そうでしょ」
財前が涙を拭ってくれる。もう大丈夫だよ、行こうと声をかけると「こんな涙の跡残った顔他人に見せられませんわ」と言って正面から抱きしめられる。
「これで誰にも見られず泣けますよ」
「もう泣かんし」
財前がはは、と短く笑う。笑っているところなんて見たことがない。顔見して、と言うと絶対嫌です、と言って腕の力を強められた。それと共に大好きな財前の香りも強くなる。見上げれば、少し嬉しそうな彼の顔がある。もう私には彼のことしか見えていない。
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