短編
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『最近まじでつらい』
メッセージアプリの最上部に表示された文字。勿論彼女である。ピン留めしてすぐに見られるようにしている。帰宅すると真っ先に確認するのが彼女からのメッセージだ。すると連続して届いた文には、
『正直こんなこと言われるんやったら消えたい』と。
は?
昨日、初めて二人で出かけた時に出会えて良かったやら生まれてきて良かったやらと大袈裟なことを言って笑っていたはずだ。
『何かあったんか』と打ち込むと、すぐに既読がつく。
『え?あれ?財前に送ってる?うわまじでごめん忘れて』と返ってきた。
送信を取り消しました、と表示され、さっきのネガティブな言葉は一瞬にして姿を消した。
そんなんで忘れるわけないやろ。
だから何があったんやと返信すると、
『全然大したことじゃないんやけど、さっき財前の部活終わるの待ってたやん?そしたら別のクラスの子らに絡まれて』
最悪や。集合かけられて目を離した間だろうか。目撃していたら釘刺せたのに。
『なんか最近財前とよく喋ってるみたいだけど勘違いすんなよ、みたいな(笑)』
(笑)じゃないやろ。ふざけんな。
『ごめんね、たまにあることだし別にあんまり気にしてないから大丈夫』
ニコリと笑顔を見せている可愛らしい小動物のスタンプが送られてくる。気にしてない訳がない。自分のせいでこんな思いをさせるのは嫌だ。別のクラスだが毎日一緒に帰っているので距離が近いと嫉妬の対象になってしまったのだろうか。まだ付き合っていることは誰にも話していない。もっと早く周りに言いふらすべきだったやろか。
『そろそろ付き合ってるアピールしてもええやろ』
とまあそんなことを考えながら何気なしに入力した文章を勢いそのままに送ってしまった。
『???』
困惑している彼女が目に浮かぶ。
まあ送ってなくてもやるつもりやったけど。
『じゃあまた明日』
混乱が続いているだろう彼女の返信を待つ前に追加でおやすみ、と打って俺はスマホの電源を切った。
***
「えっと…その…、好きです!これ、受け取ってください……っ!」
またか。
いつもならうんざりしながらごめんなさいと返すが、今日からは新たな定型文を使う。
「すいません、俺、彼女いるんで」
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