桜花爛漫キャラメリゼ
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彼がくれるお菓子は、日によってバリエーションが違う。
ある日はガム、ある日は飴、またある日はクッキー。無限に飛び出すカラフルなお菓子達。
ただ、いつも貰ってばかりでは申し訳ない気持ちになる。ならばいっそ自分で作ろうと思い立ち、只今日曜の午後、キッチンを占領し菓子作りに奮闘している。
「なまえがお菓子作りなんて珍しいね」
小学生以来だろうか。久々にお菓子を作るので、料理が得意な友人に頼んで家に来てもらった。
「まあ、ちょっとね」
「何〜?好きな人でもできた?」
「いや、好きってわけじゃないんだけど…」
教えなさいよー、とボウルをかき混ぜながら彼女は言った。
「いつも隣の席の子がお菓子くれるから。貰ってばっかりだと悪いじゃん?」
「それで手作りで返してあげようってわけね」
卵をよく混ぜ合わせて、薄力粉を入れた。
「店とかで買わなくてよかったの?」
「確かにお店で買う方が出来はいいけど、久々に作りたいってのもあるし、自分で作った方が真心も伝わるじゃない」
やっぱり好きな人でしょ、と彼女はニヤリと笑う。別に、と知らないふりをして型に混ぜ終わったものを注ぐ。
確かに丸井くんは性格が良いから、私は彼のことが好きなのかもしれない。でも、丸井くんの優しさは好意ではない。ただ私が勝手に想っているだけになる。それだと、虚しい。でも、期待するのはもっともっと虚しい。
気持ちを誤魔化すようにして私はオーブンの奥までトレイを突っ込んだ。
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「久々にしては上出来じゃない?」
喜んでもらえるかもね、と友人は笑った。ひとつ味見をしてみると、甘すぎることも味が薄いこともなく美味しかったので安心する。これなら食べてもらえるかもしれない。彼の笑顔を思い浮かべると、学校に行くのが待ち遠しくなった。
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