初恋の相手
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入学式が終わってから帝くんとは何の進展もなく、季節の変わり目。
帝くんへの気持ちをどうにか閉じ込めたくて極力避けて毎日を過ごしていた。
帝くんはと言うと、その見た目の可愛らしさとほわっとした雰囲気が癒されると男子生徒たちからかなりの人気。
「(今日も誰かが玉砕してるんスかねぇ…)」
毎週のように告白をされているというその姿をオレも見たことがある。
その日も帝くんは断ってたみたいだけど、理由は毎回『好きな人がいる』と言っているらしい。
オレはその相手に嫉妬しつつも
「(帝くんが誰かと付き合ってくれたら諦めがつくんかなあ…)」
とぼんやり思っていた。
『ねぇ、ラギー?ちょっと相談に乗ってほしいことがあるんだけど…』
夕飯が済むと帝くんに話しかけられる。
「ん?何スか?」
『ここだと話しにくい、かな』
「ああ…それじゃ外にでも行くッスかね」
久しぶりにちゃんと帝くんと話す。
帝くんの後ろを付いていくように寮の外に出ると、この時期は暖かいけど風もやんわり吹いていて心地良い。
「んーっ、外は気持ちいいッスね!……で、何スか話って?」
帝くんがオレの方に振り返ると、一呼吸置いてから口を開く。
『あ、あのね…私、入学してから色んな人から"好き"とか"付き合ってほしい"って言われてて…』
「うん」
『今まで夕焼け草原にいたときは、こういうことって言われたことなかったから初めてで…』
「へえ…」
「(オレが周りの奴らに牽制してたからッスね)」
『付き合うってことがよく分からないし、理由もあって今まで断ってたの』
自分が故郷を出た後も帝くんに誰も手を出してないことを知って、思わずニヤニヤする。
『で、でもね?今日告白してきてくれた人が凄くお話が上手で優しそうな人でね……ちょっと付き合ってみようかな、って』
「(…は?今何て言ったんスか?)」
「(帝くんが男と付き合う?)」
『返事はまだ待ってもらってるんだけど………ね、ねぇ、ラギー聞いてる?』
「えっ、ああ…うん」
『だからね、どうしようかなって思ってて…。私でもお付き合いって出来るのかな?』
「(何で)」
「何でそんなことオレに聞くんスか?」
「(オレじゃないんスか?)」
『えっ、それは…昔から私のことを知ってるラギーに相談したくて…』
「(どうしていつも)」
「いつもオレにくっ付いて来てた帝くんが誰かと付き合うなんて、想像も出来ないッスよ」
「(そうやってオレの心の中、ぐちゃぐちゃにするんスか)」
「それにそんなことも自分で決められないなんて…あ、甘ちゃんッスね。これだからお嬢ちゃん育ちは」
「(違う。こんなことが言いたい訳じゃない)」
『………何でそんな、意地悪なこと言うの?』
「えっ…」
目に涙を溜めながらオレのことをじっと見ている。
「あ、あの今のは…っ」
『…のバカ』
「っ?」
『ラギーのバカ!バカバカ!もうお友達やめる!』
「あっ…」
そうオレに吐き捨てて帝くんは寮の中へと走って戻っていく。
「(…泣かせた?オレが、帝くんを?)」
初めて見たその表情に足が一歩も動かなかった。
「(だって…じゃあ、何て言えば良かったんスか。自分の気持ちだってまだ整理出来てねぇっていうのに…)」
小さくなった後ろ姿が見えなくなる。
オレは所詮、今も昔も嫌われものの薄汚いハイエナ。
釣り合わねぇのに"好き"だなんて誰かを想って何になる?
こんなの腹の足しにもならねぇ。
余計な感情。
報われないなら、最初からこんな気持ち知りたくなかった。
あの日、出会わなければ良かった。
「はははっ…何スか。お友達やめるって」
「…っ」
掌を握って空を見上げると、夜風が濡れた頬を掠めていった。
帝くんへの気持ちをどうにか閉じ込めたくて極力避けて毎日を過ごしていた。
帝くんはと言うと、その見た目の可愛らしさとほわっとした雰囲気が癒されると男子生徒たちからかなりの人気。
「(今日も誰かが玉砕してるんスかねぇ…)」
毎週のように告白をされているというその姿をオレも見たことがある。
その日も帝くんは断ってたみたいだけど、理由は毎回『好きな人がいる』と言っているらしい。
オレはその相手に嫉妬しつつも
「(帝くんが誰かと付き合ってくれたら諦めがつくんかなあ…)」
とぼんやり思っていた。
『ねぇ、ラギー?ちょっと相談に乗ってほしいことがあるんだけど…』
夕飯が済むと帝くんに話しかけられる。
「ん?何スか?」
『ここだと話しにくい、かな』
「ああ…それじゃ外にでも行くッスかね」
久しぶりにちゃんと帝くんと話す。
帝くんの後ろを付いていくように寮の外に出ると、この時期は暖かいけど風もやんわり吹いていて心地良い。
「んーっ、外は気持ちいいッスね!……で、何スか話って?」
帝くんがオレの方に振り返ると、一呼吸置いてから口を開く。
『あ、あのね…私、入学してから色んな人から"好き"とか"付き合ってほしい"って言われてて…』
「うん」
『今まで夕焼け草原にいたときは、こういうことって言われたことなかったから初めてで…』
「へえ…」
「(オレが周りの奴らに牽制してたからッスね)」
『付き合うってことがよく分からないし、理由もあって今まで断ってたの』
自分が故郷を出た後も帝くんに誰も手を出してないことを知って、思わずニヤニヤする。
『で、でもね?今日告白してきてくれた人が凄くお話が上手で優しそうな人でね……ちょっと付き合ってみようかな、って』
「(…は?今何て言ったんスか?)」
「(帝くんが男と付き合う?)」
『返事はまだ待ってもらってるんだけど………ね、ねぇ、ラギー聞いてる?』
「えっ、ああ…うん」
『だからね、どうしようかなって思ってて…。私でもお付き合いって出来るのかな?』
「(何で)」
「何でそんなことオレに聞くんスか?」
「(オレじゃないんスか?)」
『えっ、それは…昔から私のことを知ってるラギーに相談したくて…』
「(どうしていつも)」
「いつもオレにくっ付いて来てた帝くんが誰かと付き合うなんて、想像も出来ないッスよ」
「(そうやってオレの心の中、ぐちゃぐちゃにするんスか)」
「それにそんなことも自分で決められないなんて…あ、甘ちゃんッスね。これだからお嬢ちゃん育ちは」
「(違う。こんなことが言いたい訳じゃない)」
『………何でそんな、意地悪なこと言うの?』
「えっ…」
目に涙を溜めながらオレのことをじっと見ている。
「あ、あの今のは…っ」
『…のバカ』
「っ?」
『ラギーのバカ!バカバカ!もうお友達やめる!』
「あっ…」
そうオレに吐き捨てて帝くんは寮の中へと走って戻っていく。
「(…泣かせた?オレが、帝くんを?)」
初めて見たその表情に足が一歩も動かなかった。
「(だって…じゃあ、何て言えば良かったんスか。自分の気持ちだってまだ整理出来てねぇっていうのに…)」
小さくなった後ろ姿が見えなくなる。
オレは所詮、今も昔も嫌われものの薄汚いハイエナ。
釣り合わねぇのに"好き"だなんて誰かを想って何になる?
こんなの腹の足しにもならねぇ。
余計な感情。
報われないなら、最初からこんな気持ち知りたくなかった。
あの日、出会わなければ良かった。
「はははっ…何スか。お友達やめるって」
「…っ」
掌を握って空を見上げると、夜風が濡れた頬を掠めていった。