荼毘(燈矢)短編
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案外甘えたがりだよな、と思う。性欲が伴う接触ならともかく、彼は結構触れたがった。別に付き合ってはいないけれど、他の人にべたべたしないのはちょっとだけ、優越感。
「ちょっとくすぐったい」
「……」
今日も黙ったまま後ろから私を抱え込んでいる。首筋にかかる吐息が擽ったくて文句を言っても離そうとはしない。疲れているのか甘えたいのか判断は出来なくても、何となく許してしまっていた。
以前、ヤりたいのとストレートに聞いたことがある。
少し間を置いて返ってきたのは、子作りって気持ち悪い、と言う端的な言葉だった。別に子作りのためだけじゃないけどな、と思ったけど、それはまぁ、必要のない言葉だとも思ったので飲み込んだ。
彼にも思うことはあるのだろう。性処理の相手にされたい訳でもないし、子供が甘えているような今の状況も悪いとは思っていない。
「だーーーーーび、ねぇ荼毘くん。ねむたくなってきた」
「耳元でうるせぇ」
「静かにするから寝たらベッドに連れてってね」
優しさに飢えているのはお互い様なので、こうして人の体温に触れられる時間は満たされている。例えそれが埃っぽい潜伏先で、明日の行方すら分からない状況であっても。
私より少し高い体温に包まれて瞼を閉じる。こうして眠ってしまってもいつもちゃんとベッドやソファーなんかの寝床まで連れて行ってくれるあたり、割と優しい人だと思う。時々は一緒に眠ってくれるし、そうでなくとも毛布や上着なんかをかけてくれる。
根は優しい人なんだ、と言うのは連合にいる以上無意味な言葉だけれど。
それでもふたりでいる時くらいは、その優しさに浸っていたかった。
「ちょっとくすぐったい」
「……」
今日も黙ったまま後ろから私を抱え込んでいる。首筋にかかる吐息が擽ったくて文句を言っても離そうとはしない。疲れているのか甘えたいのか判断は出来なくても、何となく許してしまっていた。
以前、ヤりたいのとストレートに聞いたことがある。
少し間を置いて返ってきたのは、子作りって気持ち悪い、と言う端的な言葉だった。別に子作りのためだけじゃないけどな、と思ったけど、それはまぁ、必要のない言葉だとも思ったので飲み込んだ。
彼にも思うことはあるのだろう。性処理の相手にされたい訳でもないし、子供が甘えているような今の状況も悪いとは思っていない。
「だーーーーーび、ねぇ荼毘くん。ねむたくなってきた」
「耳元でうるせぇ」
「静かにするから寝たらベッドに連れてってね」
優しさに飢えているのはお互い様なので、こうして人の体温に触れられる時間は満たされている。例えそれが埃っぽい潜伏先で、明日の行方すら分からない状況であっても。
私より少し高い体温に包まれて瞼を閉じる。こうして眠ってしまってもいつもちゃんとベッドやソファーなんかの寝床まで連れて行ってくれるあたり、割と優しい人だと思う。時々は一緒に眠ってくれるし、そうでなくとも毛布や上着なんかをかけてくれる。
根は優しい人なんだ、と言うのは連合にいる以上無意味な言葉だけれど。
それでもふたりでいる時くらいは、その優しさに浸っていたかった。
