勝己短編
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今週は人が来るから無理、と泊まりの相談を断られた翌週。
勝己の家に向かえば、洗面台にはふわふわのシュシュ、取り込んだ洗濯物には可愛いハンカチ。明らかに女の気配しかしなくて、悔しいのか悲しいのか分からなかった。
お母さんのかなと思い込みたかったけど、きっとそうじゃない。飽きられちゃったのかな、嫌われてはないと思うけど。なんて、考えれば考えるほどに自分のことも何もかも嫌になってきた。
軽くご飯でも作って待っていようと買い込んだ食材を乱雑に冷蔵庫に押し込んで、家を出て行く。
渡された合鍵ももう必要なくなるんだろうな、と思って戸締りした玄関のポストに突っ込んだ。カラン、と音を立てた鍵は、もう手が届かない。
自宅に帰って不貞腐れてベッドに入る。何もかもがどうでも良くなって、毛布にくるまって目を閉じた。
それからどの位の時間が経っただろう。
インターフォンの音で目を覚ますと外は真っ暗だった。荷物を頼んだ記憶はない。せめて今何時か確認しようとスマホを手に取ると、通知がすごいことになっていた。
勝己からの着信の合間に上鳴くんからのメッセージや瀬呂くんからの着信も相まって見たことのない数字だった。
恐る恐るドアモニターを確認すると、緑谷くんが立っている。何故。
「緑谷くん…?」
「あ、ごめんね夏樹さん!かっちゃんじゃ余計に拗れちゃうからって、僕が来た!……なんちゃって、いや、笑いごとじゃないのは分かってるんだけど」
頑張って笑おうとしてくれている緑谷くんを寒空の下で立たせる訳にもいかず玄関のドアを開けた。
すると流石に中に入るのは悪いから玄関で話すね、と靴を脱ごうとしない。あくまで彼は話をしに来ただけのようだった。
「急にいなくなったって言うから、何があったんだろうって考えたんだけど、もしかしなくてもかっちゃん先週の話ちゃんとしてなかったのって聞いたら、覚えがないって言うからさ」
「先週……」
「そう、先週。僕の家に来る予定だった子が、僕の都合が悪くなったからかっちゃんの家にお邪魔させてもらうことになってね」
「えっと、二人の共通の知り合いってこと?」
「うん、そうだよ。真幌ちゃんと活真くんって姉弟で、学生時代に知り合った時はいくつだったっけ、小さかったんだけど、ついに活真くんが雄英を受けることになったから、受験の関係でこっちに来たんだ」
「……だから、女の子と歩いてるとことか見ちゃったのかな、って、心配になって」
それを聞いてやっと点と点が繋がった。よく考えればシュシュもハンカチもかわいらしいアイテムで、私たちのような社会人が使うような柄ではなかった。
つまり、本当に昔の縁で一晩宿として使われただけなのだろう。
一気に気が抜けて、思わずその場に座り込んでしまった。
「だだだ大丈夫?!」
「全部私の早とちりだった、ってこと……?」
「もう、かっちゃんは昔から言葉が足りないんだよね!今は切島くんたちがかっちゃんを宥めてるだろうから、行ってあげてくれる?」
「合わせる顔がないと言うか」
「大丈夫、むしろ夏樹さんが行かないと切島くんたちが犠牲になりかねないと言うか……」
「ふふ、そうだね。行ってくる!ありがと、緑谷くん」
「どういたしまして!」
勝己の家に向かえば、洗面台にはふわふわのシュシュ、取り込んだ洗濯物には可愛いハンカチ。明らかに女の気配しかしなくて、悔しいのか悲しいのか分からなかった。
お母さんのかなと思い込みたかったけど、きっとそうじゃない。飽きられちゃったのかな、嫌われてはないと思うけど。なんて、考えれば考えるほどに自分のことも何もかも嫌になってきた。
軽くご飯でも作って待っていようと買い込んだ食材を乱雑に冷蔵庫に押し込んで、家を出て行く。
渡された合鍵ももう必要なくなるんだろうな、と思って戸締りした玄関のポストに突っ込んだ。カラン、と音を立てた鍵は、もう手が届かない。
自宅に帰って不貞腐れてベッドに入る。何もかもがどうでも良くなって、毛布にくるまって目を閉じた。
それからどの位の時間が経っただろう。
インターフォンの音で目を覚ますと外は真っ暗だった。荷物を頼んだ記憶はない。せめて今何時か確認しようとスマホを手に取ると、通知がすごいことになっていた。
勝己からの着信の合間に上鳴くんからのメッセージや瀬呂くんからの着信も相まって見たことのない数字だった。
恐る恐るドアモニターを確認すると、緑谷くんが立っている。何故。
「緑谷くん…?」
「あ、ごめんね夏樹さん!かっちゃんじゃ余計に拗れちゃうからって、僕が来た!……なんちゃって、いや、笑いごとじゃないのは分かってるんだけど」
頑張って笑おうとしてくれている緑谷くんを寒空の下で立たせる訳にもいかず玄関のドアを開けた。
すると流石に中に入るのは悪いから玄関で話すね、と靴を脱ごうとしない。あくまで彼は話をしに来ただけのようだった。
「急にいなくなったって言うから、何があったんだろうって考えたんだけど、もしかしなくてもかっちゃん先週の話ちゃんとしてなかったのって聞いたら、覚えがないって言うからさ」
「先週……」
「そう、先週。僕の家に来る予定だった子が、僕の都合が悪くなったからかっちゃんの家にお邪魔させてもらうことになってね」
「えっと、二人の共通の知り合いってこと?」
「うん、そうだよ。真幌ちゃんと活真くんって姉弟で、学生時代に知り合った時はいくつだったっけ、小さかったんだけど、ついに活真くんが雄英を受けることになったから、受験の関係でこっちに来たんだ」
「……だから、女の子と歩いてるとことか見ちゃったのかな、って、心配になって」
それを聞いてやっと点と点が繋がった。よく考えればシュシュもハンカチもかわいらしいアイテムで、私たちのような社会人が使うような柄ではなかった。
つまり、本当に昔の縁で一晩宿として使われただけなのだろう。
一気に気が抜けて、思わずその場に座り込んでしまった。
「だだだ大丈夫?!」
「全部私の早とちりだった、ってこと……?」
「もう、かっちゃんは昔から言葉が足りないんだよね!今は切島くんたちがかっちゃんを宥めてるだろうから、行ってあげてくれる?」
「合わせる顔がないと言うか」
「大丈夫、むしろ夏樹さんが行かないと切島くんたちが犠牲になりかねないと言うか……」
「ふふ、そうだね。行ってくる!ありがと、緑谷くん」
「どういたしまして!」
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