勝己短編
名前変換が必要な場合はどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おかえり、どうしたの?」
プロになってからイベント日に帰宅出来たことはなく、大晦日の今日も警備で日の出の騒ぎが収まるまでは帰れないはずだった。
のに、勝己は今目の前にいる。
「帰れって言われた」
言葉の割に少しだけ嬉しそうな顔をしていた。
「仕事納めってこと?」
「仕事始めは明日だけどな」
丁寧に手洗いうがいを済ませてからリビングのソファーに並んで座る。
「お前が家にいるだろ、って」
確かに今年は結婚して初めての年越しだ。独立を前に、ゆっくり出来る最後のチャンスと言えばそうだった。
「甘えられる内は甘えとけってよ」
スマホのアラームを朝の七時にセットしている所を見ると、日の出の警備も出なくて良いのだろう。
「ジーニストさんにお礼を言わないとね」
「言いころしてきたった」
珍しく素直な勝己は私の肩にもたれてテレビをザッピングし始める。
年末特番なんて、もう何年も見ていないだろう。
「あー、でも帰ってくると思わなかったからすき焼きどころかお蕎麦もないよ」
買い出しをするにはもう遅い。近所のスーパーは大晦日営業で早めに閉まっている。
「麺なら何でも良かったりしない?パスタならあるけど」
「別に蕎麦食わなきゃ死ぬ訳でもねぇだろ」
そう言ってキッチンに向かって鍋でお湯を沸かし始めた。
「……蕎麦あるんじゃん?」
「おー、轟と警備エリア被って」
「蕎麦持ち歩いてるの」
「普通持って来ねぇよな」
ふは、と楽しそうに笑っておすすめらしい蕎麦を茹で始める。
ついでに豚肉と白菜を炒めてあんかけにしていく手際の良さ。
「年越しそばが食べられると思ってなかった」
「……一人だったらどうするつもりだったンだよ」
「えー、適当に野菜炒めとか」
食卓に運ばれたほかほかのお蕎麦を前に嬉しそうな顔をしてしまったのか、勝己は少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「一緒に食べるから嬉しいんだよ、蕎麦じゃなくても。大晦日に野菜炒めでも、勝己と一緒なら嬉しいよ?でも無理しないでね」
両手を合わせていただきます。この辺は適当にしていたけれど、勝己と共に過ごすようになってから、しっかりと習慣づいた良い変化のひとつだった。
「イベントとかさ、忙しいでしょ。だからね」
蕎麦を啜りながら、勝己の顔を見つめる。
「私がさみしくないように活躍してよね。テレビでいいから、顔が見たい」
「ハッ!1番に解決すンのは俺だわ」
だから見てろ、とは言わない。私のためだけに活動するとも言わない。
そんなところが、好きだった。
「お蕎麦食べたらお風呂入って寝ようね」
「カウントダウンはいいんか」
「明日もお仕事でしょ、一緒に寝てくれたら夢の中でカウントダウンするから大丈夫」
「夢の中とは限らねぇけどな」
先に食べ終わった勝己が、ニッと悪戯な笑みを作る。
伸ばされた手が私の頬を軽く撫でた。触れるか触れないかの力加減でゆるゆると撫でられれば、嫌でも情事を思い出してしまう。
「……ッ、明日!早いんでしょ?!」
「嫌なら夢の中でカウントダウンさせてやる」
「いや、では、ない……けど」
もごもごしていると、私の頭をがしがし撫でてからシャワーを浴びて来ると立ち上がってしまった。
くやしいけれど、勝てる気がしない。
「シャワーじゃなくてお湯ためておいて!」
そう声をかけると、風呂場から笑い声が聞こえてきた。私がそう言う時は、一緒にお風呂に入りましょうと同義であることを、知っているからだ。
いつまで経っても慣れる気はしない。けれど一緒に過ごせる時間は、例え大晦日でなくとも、嬉しいのだから仕方ない!
プロになってからイベント日に帰宅出来たことはなく、大晦日の今日も警備で日の出の騒ぎが収まるまでは帰れないはずだった。
のに、勝己は今目の前にいる。
「帰れって言われた」
言葉の割に少しだけ嬉しそうな顔をしていた。
「仕事納めってこと?」
「仕事始めは明日だけどな」
丁寧に手洗いうがいを済ませてからリビングのソファーに並んで座る。
「お前が家にいるだろ、って」
確かに今年は結婚して初めての年越しだ。独立を前に、ゆっくり出来る最後のチャンスと言えばそうだった。
「甘えられる内は甘えとけってよ」
スマホのアラームを朝の七時にセットしている所を見ると、日の出の警備も出なくて良いのだろう。
「ジーニストさんにお礼を言わないとね」
「言いころしてきたった」
珍しく素直な勝己は私の肩にもたれてテレビをザッピングし始める。
年末特番なんて、もう何年も見ていないだろう。
「あー、でも帰ってくると思わなかったからすき焼きどころかお蕎麦もないよ」
買い出しをするにはもう遅い。近所のスーパーは大晦日営業で早めに閉まっている。
「麺なら何でも良かったりしない?パスタならあるけど」
「別に蕎麦食わなきゃ死ぬ訳でもねぇだろ」
そう言ってキッチンに向かって鍋でお湯を沸かし始めた。
「……蕎麦あるんじゃん?」
「おー、轟と警備エリア被って」
「蕎麦持ち歩いてるの」
「普通持って来ねぇよな」
ふは、と楽しそうに笑っておすすめらしい蕎麦を茹で始める。
ついでに豚肉と白菜を炒めてあんかけにしていく手際の良さ。
「年越しそばが食べられると思ってなかった」
「……一人だったらどうするつもりだったンだよ」
「えー、適当に野菜炒めとか」
食卓に運ばれたほかほかのお蕎麦を前に嬉しそうな顔をしてしまったのか、勝己は少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「一緒に食べるから嬉しいんだよ、蕎麦じゃなくても。大晦日に野菜炒めでも、勝己と一緒なら嬉しいよ?でも無理しないでね」
両手を合わせていただきます。この辺は適当にしていたけれど、勝己と共に過ごすようになってから、しっかりと習慣づいた良い変化のひとつだった。
「イベントとかさ、忙しいでしょ。だからね」
蕎麦を啜りながら、勝己の顔を見つめる。
「私がさみしくないように活躍してよね。テレビでいいから、顔が見たい」
「ハッ!1番に解決すンのは俺だわ」
だから見てろ、とは言わない。私のためだけに活動するとも言わない。
そんなところが、好きだった。
「お蕎麦食べたらお風呂入って寝ようね」
「カウントダウンはいいんか」
「明日もお仕事でしょ、一緒に寝てくれたら夢の中でカウントダウンするから大丈夫」
「夢の中とは限らねぇけどな」
先に食べ終わった勝己が、ニッと悪戯な笑みを作る。
伸ばされた手が私の頬を軽く撫でた。触れるか触れないかの力加減でゆるゆると撫でられれば、嫌でも情事を思い出してしまう。
「……ッ、明日!早いんでしょ?!」
「嫌なら夢の中でカウントダウンさせてやる」
「いや、では、ない……けど」
もごもごしていると、私の頭をがしがし撫でてからシャワーを浴びて来ると立ち上がってしまった。
くやしいけれど、勝てる気がしない。
「シャワーじゃなくてお湯ためておいて!」
そう声をかけると、風呂場から笑い声が聞こえてきた。私がそう言う時は、一緒にお風呂に入りましょうと同義であることを、知っているからだ。
いつまで経っても慣れる気はしない。けれど一緒に過ごせる時間は、例え大晦日でなくとも、嬉しいのだから仕方ない!