動画を見ながら娘の髪をセットしてあげていたら「お前は」って言われたからキョトンとしたら「やったる」って後ろに回られて髪に触れられる。
リピート再生していた動画を遠目に見ながら器用に結い上げていく勝己はどこか楽しそうにも見えた。
娘には最近見た映画のプリンセスヘアスタイルを所望されていたので必然的に私もそのヘアスタイルになる。

「はっ、こんなモン簡単だわ」

私がやってあげている最中にはヘアセットを終わらせた勝己は満足そうにふんぞり返っている。

「ママといっしょ？」
「ン、一緒の頭だ」
「うれしい！」

やっと出来上がった髪に嬉しそうにくるくる回る娘を見て、お前は回らねぇのか、なんて楽しそうな勝己。

「こんなにかわいくしてもらっても、やる事ないんだよねぇ」

そう言えばちょっとだけ勝己が考え込んだ。

「いくぞ」
「えっ」
「出かけンだよ、今から」

車回してくる、と娘を抱いて立ち上がった勝己を慌てて追いかける。

「どこ行くの？」
「デート」

プリンセス2人連れてな、なんてニッと笑う勝己がプリンスだろうか。
白馬ではないけれど、悪くない休日になりそうだった。