ホークス短編
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「迎えに来ちゃいました!」
出張と忘年会が重なり中々会えずにいた。くたくたに疲れたところにお酒を飲んでしまったので、正直2軒目3軒目と付き合える気はしなかった。
そんな時、同僚に混じって店を出ると何食わぬ顔で恋人が立っていて驚く。
「それじゃ、この人は連れて帰りますんで」
いくら帽子を深く被っているとは言え、その背の翼は隠しようがない。
騒めく同僚たちの声を無視して、隠しているはずの恋人は流れるような仕草で私の鞄を手に取り、抱きしめられたと思った瞬間には膝を抱えられ、空へと飛び上がる。
「ちょ、待って……!」
「もう遅いですって」
あっという間に雑居ビルの屋上まで連れ去られてしまった。あぁ、明日からどんな顔をして会社へ行けば良いと言うのか。
頭を抱えそうになったが、開き直るしかないのだろう。漸く地に足が着いて、少しだけほっとする。
「じゃあ聞きますけど」
私の顔を覗き込んで笑う恋人の唇はにっこりとつり上がっている。
「会いたいと思っていたのは、俺だけじゃないですよね?」
出張で約一週間、最終日も忘年会のおかげで早く帰宅することは叶わず。その前は恋人の仕事で都合が付かずに二週間。
「……いじわる」
会いたくない訳がなかった。
けどお互いに仕事はあるし、特に相手の仕事には文句の言い様もない。いい歳の大人であるので、さみしいなんて言葉も言えやしなかった。それを見透かした顔に、言い返す言葉はない。
「意地悪で結構です。今の俺は少し気分が良いので効きませんよ」
「どうして?」
「貴女に特別な人がいると示すことが出来たので。そろそろ我慢するのを止めようと思ったんです」
ビル風が吹く寒さを和らげるように抱きしめられる。
「今日は貴女を攫いに来たんですよ」
耳元でくすくすと笑う恋人は確かに上機嫌だった。
「覚悟しておいてください、一生逃がすつもりはないんで」
目の前に差し出されたのは、誰が見ても勘違いのしようがない、小さな箱に収まったエンゲージリング。
それを取り出して、私の薬指に通していく。ぴったりのサイズは、いつ測られたのだろうか。
「言うなら出来るだけ空に近い場所で、って決めてました」
「……そんな素振り、なかったじゃない」
「隠し事は上手なんで」
「知ってる。……ねぇ、私なんかでいいの」
「貴女だから欲しいんです」
だから、結婚しましょう。なんて。決定事項のように言うから、少し笑ってしまった。
「返品出来ないからね?」
「そのつもりなのでご心配なく!」
指輪をつけたまま出勤し、想像以上の質問責めにあったのは、翌日のお話。
出張と忘年会が重なり中々会えずにいた。くたくたに疲れたところにお酒を飲んでしまったので、正直2軒目3軒目と付き合える気はしなかった。
そんな時、同僚に混じって店を出ると何食わぬ顔で恋人が立っていて驚く。
「それじゃ、この人は連れて帰りますんで」
いくら帽子を深く被っているとは言え、その背の翼は隠しようがない。
騒めく同僚たちの声を無視して、隠しているはずの恋人は流れるような仕草で私の鞄を手に取り、抱きしめられたと思った瞬間には膝を抱えられ、空へと飛び上がる。
「ちょ、待って……!」
「もう遅いですって」
あっという間に雑居ビルの屋上まで連れ去られてしまった。あぁ、明日からどんな顔をして会社へ行けば良いと言うのか。
頭を抱えそうになったが、開き直るしかないのだろう。漸く地に足が着いて、少しだけほっとする。
「じゃあ聞きますけど」
私の顔を覗き込んで笑う恋人の唇はにっこりとつり上がっている。
「会いたいと思っていたのは、俺だけじゃないですよね?」
出張で約一週間、最終日も忘年会のおかげで早く帰宅することは叶わず。その前は恋人の仕事で都合が付かずに二週間。
「……いじわる」
会いたくない訳がなかった。
けどお互いに仕事はあるし、特に相手の仕事には文句の言い様もない。いい歳の大人であるので、さみしいなんて言葉も言えやしなかった。それを見透かした顔に、言い返す言葉はない。
「意地悪で結構です。今の俺は少し気分が良いので効きませんよ」
「どうして?」
「貴女に特別な人がいると示すことが出来たので。そろそろ我慢するのを止めようと思ったんです」
ビル風が吹く寒さを和らげるように抱きしめられる。
「今日は貴女を攫いに来たんですよ」
耳元でくすくすと笑う恋人は確かに上機嫌だった。
「覚悟しておいてください、一生逃がすつもりはないんで」
目の前に差し出されたのは、誰が見ても勘違いのしようがない、小さな箱に収まったエンゲージリング。
それを取り出して、私の薬指に通していく。ぴったりのサイズは、いつ測られたのだろうか。
「言うなら出来るだけ空に近い場所で、って決めてました」
「……そんな素振り、なかったじゃない」
「隠し事は上手なんで」
「知ってる。……ねぇ、私なんかでいいの」
「貴女だから欲しいんです」
だから、結婚しましょう。なんて。決定事項のように言うから、少し笑ってしまった。
「返品出来ないからね?」
「そのつもりなのでご心配なく!」
指輪をつけたまま出勤し、想像以上の質問責めにあったのは、翌日のお話。