毎朝無駄に送られてくる「おはようございます」の連絡に返信をしなかった。特に何があった訳でもないけど、何となくだ。ぼんやり休日を過ごしていると、窓がノックされる。

「こんにちは、鷹の宅配便です！」

手にはエコバッグ。似合わなさすぎる。
仕方なく窓を開けると丁寧に靴を揃えてするりと身を縮め入室してくる。

「今日は気分じゃないでしょうから、これ置いたら帰りますね」

エコバッグの中身を1つずつ机の上に並べながら、へらへらと笑っている。レンチンで食べられるスープ、鉄分入りの栄養ドリンク、繰り返し使えるホッカイロ。

「会いたくない訳じゃないんだよ」
「知ってます」

無駄な接触をしないようにしてくれている彼に、こちらから触れれば優しく抱きしめてくれる。

「イライラして当たられたら嫌でしょ」
「別に構いませんけどね」

子供をあやすように背を撫でてなだめてくれるから、つい、甘えてしまう

「甘やかしすぎちゃダメだよ」
「お望みは？」

優しい顔で問い掛けられる。こんな時だけ甘えるなんて、嫌なのに。

「……もう少し一緒にいて欲しい」
「仰せのままに！」

にっこり笑って、手のひらの上。それでもまぁ、彼が楽しそうなので絆されても良いか、なんて。