ホークス短編
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「そう言えば、最初は有翼種が珍しいからかなって思ってたんですけど」
マグカップにぬるめのカフェオレを入れてくれた啓梧が、並んでソファーに腰かける。朝から行っていた掃除もひと段落ついて、そろそろお昼ご飯のことを考えつつ休憩をしようとしていた時だった。カフェオレをいれながら、どこにランチに行こうか、なんて話していた。
「何の話?」
「んー、羽目当てだと思ってた、って話。あなたはやたらと翼に触りたがったし、実際結構好きだったでしょう」
さっき掃除をしていた時に啓梧に貰って大事にしまってあった羽根を見つけて二人で思い出話をしていたからだろう。懐かしそうに目を細め、まだ20代だった頃にしたデートだとか、旅行の話で盛り上がっていた。
「確かに、好きだったけど羽目当てってウケる。女性で言う胸目当てみたいな」
「あの頃ちょっと悩んで、自分の翼に嫉妬したこともあったけんね」
「何それ、かわいい。だから退院した後しばらく会いたがらなかったんだ?」
「……翼のない俺に価値があるなんて、少しも思っとらんかった。世間だけやなくて、あなたからも必要とされんかったら、立ち直れんたい」
それでも全て過去の話なのだろう。そう語る彼の瞳に曇りはなく、にこにことこちらを見ている。その顔があんまりにも幸せそうなので、何となく鼻を摘まむと、けらけら笑っていた。
「今日だって、羽があれば掃除もすぐに済むし、便利なこといっぱいあると。でも文句も言わんで笑ってくれとるっちゃろ」
「便利な道具扱いしてたつもりもないしねぇ」
「そう、それ。あなたに愛されてるな、って。道具としてでも、ヒー口ーとしてでも、珍しい見た目でもなく、何かこう、俺自身が愛されとるなって思うたんよね」
「掃除ひとつで大げさな。いつでも全力で愛してるよ」
「愛されてるついでに、甘えてもいいです?ランチは外食じゃなくて、あなたのご飯が食べたいな」
「仕方ないから甘やかしてあげよう~冷蔵庫の中身を炒めた大皿と炒飯しか作れそうにないけど!」
「充分です、特別よりも日常が一番、愛おしいので」
にっこり笑う啓梧は、いつも私が大事だって顔で見つめてくる。それがくすぐったい日もあるけれど、日常なのだ。だって私たちはこうして普通の日々を過ごせることが何より難しいことを知っているし、求めている。
「愛してるよ!だから料理のお手伝い隊長に任命したげるね」
「あはは、立派に務めてみせますよ、皿洗いだって」
きっと私も同じような顔をして啓梧を見つめているのだろう。どうしようもなく当たり前の日々も、一緒に過ごすだけで楽しいのだから、仕方ない。
愛おしさに、塩コショウを少々。日常のスパイスなんて、ありきたりなくらいが丁度良い。だってこれからも、飽きる日なんて来そうにないから。
マグカップにぬるめのカフェオレを入れてくれた啓梧が、並んでソファーに腰かける。朝から行っていた掃除もひと段落ついて、そろそろお昼ご飯のことを考えつつ休憩をしようとしていた時だった。カフェオレをいれながら、どこにランチに行こうか、なんて話していた。
「何の話?」
「んー、羽目当てだと思ってた、って話。あなたはやたらと翼に触りたがったし、実際結構好きだったでしょう」
さっき掃除をしていた時に啓梧に貰って大事にしまってあった羽根を見つけて二人で思い出話をしていたからだろう。懐かしそうに目を細め、まだ20代だった頃にしたデートだとか、旅行の話で盛り上がっていた。
「確かに、好きだったけど羽目当てってウケる。女性で言う胸目当てみたいな」
「あの頃ちょっと悩んで、自分の翼に嫉妬したこともあったけんね」
「何それ、かわいい。だから退院した後しばらく会いたがらなかったんだ?」
「……翼のない俺に価値があるなんて、少しも思っとらんかった。世間だけやなくて、あなたからも必要とされんかったら、立ち直れんたい」
それでも全て過去の話なのだろう。そう語る彼の瞳に曇りはなく、にこにことこちらを見ている。その顔があんまりにも幸せそうなので、何となく鼻を摘まむと、けらけら笑っていた。
「今日だって、羽があれば掃除もすぐに済むし、便利なこといっぱいあると。でも文句も言わんで笑ってくれとるっちゃろ」
「便利な道具扱いしてたつもりもないしねぇ」
「そう、それ。あなたに愛されてるな、って。道具としてでも、ヒー口ーとしてでも、珍しい見た目でもなく、何かこう、俺自身が愛されとるなって思うたんよね」
「掃除ひとつで大げさな。いつでも全力で愛してるよ」
「愛されてるついでに、甘えてもいいです?ランチは外食じゃなくて、あなたのご飯が食べたいな」
「仕方ないから甘やかしてあげよう~冷蔵庫の中身を炒めた大皿と炒飯しか作れそうにないけど!」
「充分です、特別よりも日常が一番、愛おしいので」
にっこり笑う啓梧は、いつも私が大事だって顔で見つめてくる。それがくすぐったい日もあるけれど、日常なのだ。だって私たちはこうして普通の日々を過ごせることが何より難しいことを知っているし、求めている。
「愛してるよ!だから料理のお手伝い隊長に任命したげるね」
「あはは、立派に務めてみせますよ、皿洗いだって」
きっと私も同じような顔をして啓梧を見つめているのだろう。どうしようもなく当たり前の日々も、一緒に過ごすだけで楽しいのだから、仕方ない。
愛おしさに、塩コショウを少々。日常のスパイスなんて、ありきたりなくらいが丁度良い。だってこれからも、飽きる日なんて来そうにないから。
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