ホークス短編
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「メイクを教えて欲しいんですよ」
突然そんなことを言われてきょとんとしてしまった。
ホークス曰く、大規模な潜入と言うほどではないが、とある調査で身元を隠してパーティに参加する必要があるらしい。そこまで聞くと、なるほどと思いつく。
ホークスの目元には特徴的なラインが入っており、最初は飛ぶための反射軽減のメイクかと思っていたが、これが素顔なのだと知ったのも、懐かしい話だ。
「コンシーラー重ねれば消えるかなぁ」
自分のメイク用品を広げてみるけれど、肌に合うかは分からない。
洗顔をしてもらってから導入美容液、化粧水、乳液、日焼け止めになる下地を叩き込むと、それだけで割と整った風には見える。けれどコンシーラーを入れるためにはファンデーションも必要で、私の物を使うとホークスの場合、確実に顔だけが浮いてしまうだろう。
「じゃあ、買い物に付き合ってください」
「今から?!」
「勿論、善は急げですよ」
変装用の、と言う割には連れていかれたのはデパートのコスメ売り場。目深に被った帽子からちらりと見える顔は、何だか楽しそうだった。
どうせ毎日使う訳じゃないんで、と言ってスキンケアは私と同じラインで揃え、店員さんにタッチアップをお願いする訳にもいかずに私が経験と勘でホークス用のコスメを見繕っていく。
「これあなたに似合いそうじゃないですか」
「今日は私の買い物じゃないよ」
「リップって季節で色味を変えるんですね、じゃあこっちがいいかな」
私の制止も意味なく、ホークスはあれもこれもと購入して行く。そんなにあっても使いきれないのに、と思いながら気が済むまで買い物に付き合うとホークスの両腕は紙袋で一杯になっていた。
「もう、たった一回のメイクのためにこんなに買ってどうするの!」
漸く帰宅して、机の上に買った物を並べる。ちょっとお会計は計算したくない。
でもまぁ、これはホークスの変装用だから、きっと経費になるのだろう。詳しくは知らないけれど。
「こっちのベースメイク?以外はあなたの分ですよ」
「……え?」
「別に俺、女装して潜入する訳じゃないんでリップもアイシャドウもいらないですし」
「えええええ!ちょっと待って、聞いてない!」
確かに買った物の中には新作のアイシャドウやチークなども含まれる。買い物の内容から、結構念入りにメイクするんだなとぼんやり思っていたけれど、まさか買った物のほとんどが私宛だとは思ってなかった。
「素顔のあなたも好きですけど、メイクしているあなたを見るのも好きなんですよね」
スキンケアを馴染まるために両頬に沿える手、
リップを塗る時の少し開いたくちびる、
アイシャドウを乗せる時の伏せた瞳、
ひとつひとつ好きな個所を指摘されて恥ずかしさで顔が熱くなる。
「メイクが終わって、俺の方を向いて笑うあなたが一番好き。あなたを彩る時間の手伝いがしたかっただけです」
「……恥ずかしいこと言わないでよ」
「自分にメイクが必要なのも嘘ではないですけど、まぁ、口実ですね」
ホークスの顔がゆっくり近付く。
ちゅ、と音を立てて軽く唇が重なると、コスメフロアで試したばかりの新作リップがホークスの唇に移って、やけに艶めかしく見えた。
「つまり俺は、どんなあなたでも好きってことです」
とろけるような瞳で見つめられて、抱きしめられて。
与えられる愛情に、こうしてどんどん溺れていく。でもまぁ、悪くないな、なんて。思ってしまうほどには、絆されていた。
突然そんなことを言われてきょとんとしてしまった。
ホークス曰く、大規模な潜入と言うほどではないが、とある調査で身元を隠してパーティに参加する必要があるらしい。そこまで聞くと、なるほどと思いつく。
ホークスの目元には特徴的なラインが入っており、最初は飛ぶための反射軽減のメイクかと思っていたが、これが素顔なのだと知ったのも、懐かしい話だ。
「コンシーラー重ねれば消えるかなぁ」
自分のメイク用品を広げてみるけれど、肌に合うかは分からない。
洗顔をしてもらってから導入美容液、化粧水、乳液、日焼け止めになる下地を叩き込むと、それだけで割と整った風には見える。けれどコンシーラーを入れるためにはファンデーションも必要で、私の物を使うとホークスの場合、確実に顔だけが浮いてしまうだろう。
「じゃあ、買い物に付き合ってください」
「今から?!」
「勿論、善は急げですよ」
変装用の、と言う割には連れていかれたのはデパートのコスメ売り場。目深に被った帽子からちらりと見える顔は、何だか楽しそうだった。
どうせ毎日使う訳じゃないんで、と言ってスキンケアは私と同じラインで揃え、店員さんにタッチアップをお願いする訳にもいかずに私が経験と勘でホークス用のコスメを見繕っていく。
「これあなたに似合いそうじゃないですか」
「今日は私の買い物じゃないよ」
「リップって季節で色味を変えるんですね、じゃあこっちがいいかな」
私の制止も意味なく、ホークスはあれもこれもと購入して行く。そんなにあっても使いきれないのに、と思いながら気が済むまで買い物に付き合うとホークスの両腕は紙袋で一杯になっていた。
「もう、たった一回のメイクのためにこんなに買ってどうするの!」
漸く帰宅して、机の上に買った物を並べる。ちょっとお会計は計算したくない。
でもまぁ、これはホークスの変装用だから、きっと経費になるのだろう。詳しくは知らないけれど。
「こっちのベースメイク?以外はあなたの分ですよ」
「……え?」
「別に俺、女装して潜入する訳じゃないんでリップもアイシャドウもいらないですし」
「えええええ!ちょっと待って、聞いてない!」
確かに買った物の中には新作のアイシャドウやチークなども含まれる。買い物の内容から、結構念入りにメイクするんだなとぼんやり思っていたけれど、まさか買った物のほとんどが私宛だとは思ってなかった。
「素顔のあなたも好きですけど、メイクしているあなたを見るのも好きなんですよね」
スキンケアを馴染まるために両頬に沿える手、
リップを塗る時の少し開いたくちびる、
アイシャドウを乗せる時の伏せた瞳、
ひとつひとつ好きな個所を指摘されて恥ずかしさで顔が熱くなる。
「メイクが終わって、俺の方を向いて笑うあなたが一番好き。あなたを彩る時間の手伝いがしたかっただけです」
「……恥ずかしいこと言わないでよ」
「自分にメイクが必要なのも嘘ではないですけど、まぁ、口実ですね」
ホークスの顔がゆっくり近付く。
ちゅ、と音を立てて軽く唇が重なると、コスメフロアで試したばかりの新作リップがホークスの唇に移って、やけに艶めかしく見えた。
「つまり俺は、どんなあなたでも好きってことです」
とろけるような瞳で見つめられて、抱きしめられて。
与えられる愛情に、こうしてどんどん溺れていく。でもまぁ、悪くないな、なんて。思ってしまうほどには、絆されていた。
