ホークス短編
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恋人はスマホを2台持ちしている。プライベートと仕事用だ。仕事用の端末は緊急連絡なども入るし、余計な設定は何もしていないシンプルな端末で、ケースは落下の衝撃吸収タイプのゴツい物。
一方プライベート用はと言えば、プライベートなのだから好きにすれば良いとは思うのだけれど、さりげなくNo.1仕様となっていた。
ネイビーのケースはシンプルだけど、待ち受けはしっかりとエンデヴァーの写真である。しかも雑誌に掲載する写真のデータを貰ったとかで無駄に画質が良い。
わざわざアンドロイドの中身をカスタマイズしてアイコンもそれっぽく設定してある辺り、気合いが入っている。
「あのさぁ……」
文句を言いたい気持ちはあるが、いつもその先の言葉を上手く話せないでいた。私の端末は特に弄ってはないし、スキャンダルを掴ませる訳にもいかないので待ち受けを2ショット写真に変えたりも出来ない。
けれど一応、空を飛んでいる彼の写真に設定してあるし、パスコードは彼の誕生日である。我ながら単純だとは思う。
「あ、気付きました?ホーム画面の写真、新しいのになったんですよ」
それでもにこにこしている彼の頭を一発殴ってやりたい気持ちも、分かって欲しい。大きなため息を吐いて、何とかどうしようもない気持ちを抑え込んだ。
そして私は、打倒No.1のために、ひとまず自分の待ち受けを変えることにした。
こんなことに使われて大変申し訳ないが、雑誌に載っていたショートのページを撮影して待ち受けにして、アイコンの弄り方を検索して、それっぽい設定に変更する。暫く気付かれなかったので、週替わりくらいの頻度でいろんな男性ヒーローの写真を設定していく。先週はジーニストだったし、その前はプレゼントマイクだった。
「……ファン、でしたっけ」
ようやく気付いた時の待ち受けはファットガムだった。美味しそうにたこ焼きを食べる姿が食欲をそそる、実に良い写真だ。
「かわいいよね、この写真」
「わざわざ待ち受けにするほどに?」
「私の気持ちが分かった?」
「なる、ほど」
自分の端末を見て合点がいったようで、ほっとしたような複雑そうな顔をしていた。
言い訳をしたいようだが、ここで何を言っても意味がないことも分かっているのだろう。
「嫌って訳じゃないよ、今は」
「前は嫌だったんですか?」
「我儘言ったって仕方ないもん」
彼の待ち受けが私の写真だったとして、どこから情報が洩れるかは分からないし、人気商売でスキャンダルは避けたい。
「ちょっといじわるしたかっただけ、ごめんね」
謝っても特に何の反応もなかった。それどころか深く息を吐いている。
怒らせてしまっただろうか、と表情を窺えば、彼はプライベート用端末のケースを外して見せた。
「……引かんでくださいよ?」
そうしてケースの内側から出てきたのは、私の写真だった。これは付き合い始めたばかりの時に食事へ行った時の写真だろう。
わざわざ印刷して、ケースに入るサイズに切り取って、大事に持ち歩いていたと言うのか。かぁっと顔が火照る。何だ、私は結構しっかり、愛されているじゃないか。
「はずかしい」
「写真を持ち歩かれているのが?嫌ならやめます」
「ちがう」
「じゃあ何が」
「あいされてるな、って、おもった、だけ」
自覚したら余計に恥ずかしくて視線をそらすと、頬を両手で挟まれて正面を向かされる。
顔が赤くなっている自信しかないので、何とか視線だけをそらして抵抗してみても、無駄だった。
「かわいい人。心配しなくても、愛してますよ」
ちゅ、と唇にキス。からかうように笑われて、そのまま抱き上げられる。行先は寝室、今日の予定はキャンセルになりそうだった。
一方プライベート用はと言えば、プライベートなのだから好きにすれば良いとは思うのだけれど、さりげなくNo.1仕様となっていた。
ネイビーのケースはシンプルだけど、待ち受けはしっかりとエンデヴァーの写真である。しかも雑誌に掲載する写真のデータを貰ったとかで無駄に画質が良い。
わざわざアンドロイドの中身をカスタマイズしてアイコンもそれっぽく設定してある辺り、気合いが入っている。
「あのさぁ……」
文句を言いたい気持ちはあるが、いつもその先の言葉を上手く話せないでいた。私の端末は特に弄ってはないし、スキャンダルを掴ませる訳にもいかないので待ち受けを2ショット写真に変えたりも出来ない。
けれど一応、空を飛んでいる彼の写真に設定してあるし、パスコードは彼の誕生日である。我ながら単純だとは思う。
「あ、気付きました?ホーム画面の写真、新しいのになったんですよ」
それでもにこにこしている彼の頭を一発殴ってやりたい気持ちも、分かって欲しい。大きなため息を吐いて、何とかどうしようもない気持ちを抑え込んだ。
そして私は、打倒No.1のために、ひとまず自分の待ち受けを変えることにした。
こんなことに使われて大変申し訳ないが、雑誌に載っていたショートのページを撮影して待ち受けにして、アイコンの弄り方を検索して、それっぽい設定に変更する。暫く気付かれなかったので、週替わりくらいの頻度でいろんな男性ヒーローの写真を設定していく。先週はジーニストだったし、その前はプレゼントマイクだった。
「……ファン、でしたっけ」
ようやく気付いた時の待ち受けはファットガムだった。美味しそうにたこ焼きを食べる姿が食欲をそそる、実に良い写真だ。
「かわいいよね、この写真」
「わざわざ待ち受けにするほどに?」
「私の気持ちが分かった?」
「なる、ほど」
自分の端末を見て合点がいったようで、ほっとしたような複雑そうな顔をしていた。
言い訳をしたいようだが、ここで何を言っても意味がないことも分かっているのだろう。
「嫌って訳じゃないよ、今は」
「前は嫌だったんですか?」
「我儘言ったって仕方ないもん」
彼の待ち受けが私の写真だったとして、どこから情報が洩れるかは分からないし、人気商売でスキャンダルは避けたい。
「ちょっといじわるしたかっただけ、ごめんね」
謝っても特に何の反応もなかった。それどころか深く息を吐いている。
怒らせてしまっただろうか、と表情を窺えば、彼はプライベート用端末のケースを外して見せた。
「……引かんでくださいよ?」
そうしてケースの内側から出てきたのは、私の写真だった。これは付き合い始めたばかりの時に食事へ行った時の写真だろう。
わざわざ印刷して、ケースに入るサイズに切り取って、大事に持ち歩いていたと言うのか。かぁっと顔が火照る。何だ、私は結構しっかり、愛されているじゃないか。
「はずかしい」
「写真を持ち歩かれているのが?嫌ならやめます」
「ちがう」
「じゃあ何が」
「あいされてるな、って、おもった、だけ」
自覚したら余計に恥ずかしくて視線をそらすと、頬を両手で挟まれて正面を向かされる。
顔が赤くなっている自信しかないので、何とか視線だけをそらして抵抗してみても、無駄だった。
「かわいい人。心配しなくても、愛してますよ」
ちゅ、と唇にキス。からかうように笑われて、そのまま抱き上げられる。行先は寝室、今日の予定はキャンセルになりそうだった。