ホークス短編
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「正直、何かあって搬送された時に邪魔でしかないと思うんです」
ジェルネイルを施した私の指先を掬い上げてキスをした男は、何でもないことのようにそう呟いた。
これがそこらのどうでもいい人なら一瞬にして好感度が下がるだけだろう。
けれど、感想の次にまだ言葉が続くことは、それなりの付き合いの長さで分かっているので、琥珀色の瞳をじっと見つめて待ってみる。
「でもあなた、考えてネイルをしているんですよね? これは春の色、きっと季節に合わせてる」
「そうだよ、ホークスとお花見に行けるって思ったからはしゃいだ結果のネイルだもん」
数日前にサロンを予約して、今日のために付け替えたジェルネイルは、シェルストーンで桜を模したものだった。
丁寧に施されたアートネイルは、記念に写真を撮ってサロンのSNSにアップされている。
「俺のため、ですか」
「ちょっと違う。ホークスに会う私を着飾るため、かな。お花見が終わっても、爪が伸びて不格好になるまでは、デートのことを思い出せるでしょ」
ジェルオフすれば跡形もなく消えてしまう。物として残ることはないし、この爪が何かの役に立つこともない。
自己満足でしかない行為。
走りにくいパンプスも、動けば乱れる巻き髪も、泣いたら崩れるメイクも、何もかも。
君と過ごす時間を彩るだけの、無駄なもの。
きっと生きていくだけなら、不要なはずだ。
「でもなんか、いいなって思ったんですよ。こうして着飾るあなたを見られるのって、彼氏の特権じゃないですか」
「……無駄だって、思わない?」
「時には無駄も人生には必要だって、あなたと出会って何となく分かるようになりました。聞いてください、新しいジャケットを買ったんです。今日のために」
スポンサーでもないメーカーの、と続ける君は楽しそうで。
「似合ってるよ」
「あなたも、似合ってます」
今日も不要な物を積み重ねて、君と地上を歩いて行く。どこまでも続きそうな桜並木に、未来を重ねて。
ジェルネイルを施した私の指先を掬い上げてキスをした男は、何でもないことのようにそう呟いた。
これがそこらのどうでもいい人なら一瞬にして好感度が下がるだけだろう。
けれど、感想の次にまだ言葉が続くことは、それなりの付き合いの長さで分かっているので、琥珀色の瞳をじっと見つめて待ってみる。
「でもあなた、考えてネイルをしているんですよね? これは春の色、きっと季節に合わせてる」
「そうだよ、ホークスとお花見に行けるって思ったからはしゃいだ結果のネイルだもん」
数日前にサロンを予約して、今日のために付け替えたジェルネイルは、シェルストーンで桜を模したものだった。
丁寧に施されたアートネイルは、記念に写真を撮ってサロンのSNSにアップされている。
「俺のため、ですか」
「ちょっと違う。ホークスに会う私を着飾るため、かな。お花見が終わっても、爪が伸びて不格好になるまでは、デートのことを思い出せるでしょ」
ジェルオフすれば跡形もなく消えてしまう。物として残ることはないし、この爪が何かの役に立つこともない。
自己満足でしかない行為。
走りにくいパンプスも、動けば乱れる巻き髪も、泣いたら崩れるメイクも、何もかも。
君と過ごす時間を彩るだけの、無駄なもの。
きっと生きていくだけなら、不要なはずだ。
「でもなんか、いいなって思ったんですよ。こうして着飾るあなたを見られるのって、彼氏の特権じゃないですか」
「……無駄だって、思わない?」
「時には無駄も人生には必要だって、あなたと出会って何となく分かるようになりました。聞いてください、新しいジャケットを買ったんです。今日のために」
スポンサーでもないメーカーの、と続ける君は楽しそうで。
「似合ってるよ」
「あなたも、似合ってます」
今日も不要な物を積み重ねて、君と地上を歩いて行く。どこまでも続きそうな桜並木に、未来を重ねて。
