ホークス短編
名前変換が必要な場合はどうぞ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雨の日は、静かだ。
今朝からしとしと降り続ける雨は、豪雨にはならずに部屋の湿度を上げている。こんな日は傷が痛むのか、それとも気圧のせいなのか、ぼんやりと過ごすことが多かった。
「夕飯、どうしよっかなぁ」
いつもなら拾ってくれるひとり言にも反応がなく、彼の手にある本もページが捲られないまま時間が経っていた。
出会った当初はうるさいくらいに話しかけてくれていた彼も、共に過ごす時間が重なれば取り繕う必要がない相手だと信じてくれたようで、今ではこうして無言の時間も苦ではなくなっている。
そっとリビングから出てコーヒーを淹れていると、いつの間にか移動してきた彼が後ろから私を抱きしめる。
「どしたの」
「甘いのがいいです」
「ん、じゃあお砂糖も入れようね」
ドリップコーヒーにブラウンシュガーを溶かしてから、少しのミルク。ふわりと香るコーヒーは、湿度の高さを少し和らげてくれるような気がした。
コーヒーが出来上がっても私を離さない彼は、マグカップを渡そうとしても受け取ってくれない。困ったな、と思うのは簡単だけれど、実際大きく困っている訳ではない。
「そっち向いてもいい?」
身動きが取れないほどきつくホールドされていた訳でもないので、ゆっくりと振り返って私からも抱きしめる。
「コーヒー飲んだらすっきりするよ、多分」
「飲んだら昼寝しませんか」
「いいねぇ、だらだらする休日って感じ」
軽く頬にキスをすると、同じように返してくれる。くすぐったくて、やさしい。
こんな彼の小さなわがままを、誰よりも側で叶えてあげたいと思うのは、私のわがままだろうか。
「何か、こういう日も悪くないよね」
「そうですか?」
「うん、私だけが知ってるオフモードって感じ」
部屋着姿の彼は、少しきょとんとしてからくすくすと笑う。
「すっぴんの貴方も、オフモードですか?」
「やだまじまじ見ないでよ、お望みなら今から化粧するけど!」
「俺だけが知ってるって感じなので、このままがいいです」
お互いいつから部屋着で過ごす間柄になったのか、正確には覚えていないけれど。それでもまぁ、安らげる場所であるのならいいか、なんて。
コーヒーが冷めない内に飲めることを祈りながら、もう一度少し背伸びをしてキスをすることにした。
今朝からしとしと降り続ける雨は、豪雨にはならずに部屋の湿度を上げている。こんな日は傷が痛むのか、それとも気圧のせいなのか、ぼんやりと過ごすことが多かった。
「夕飯、どうしよっかなぁ」
いつもなら拾ってくれるひとり言にも反応がなく、彼の手にある本もページが捲られないまま時間が経っていた。
出会った当初はうるさいくらいに話しかけてくれていた彼も、共に過ごす時間が重なれば取り繕う必要がない相手だと信じてくれたようで、今ではこうして無言の時間も苦ではなくなっている。
そっとリビングから出てコーヒーを淹れていると、いつの間にか移動してきた彼が後ろから私を抱きしめる。
「どしたの」
「甘いのがいいです」
「ん、じゃあお砂糖も入れようね」
ドリップコーヒーにブラウンシュガーを溶かしてから、少しのミルク。ふわりと香るコーヒーは、湿度の高さを少し和らげてくれるような気がした。
コーヒーが出来上がっても私を離さない彼は、マグカップを渡そうとしても受け取ってくれない。困ったな、と思うのは簡単だけれど、実際大きく困っている訳ではない。
「そっち向いてもいい?」
身動きが取れないほどきつくホールドされていた訳でもないので、ゆっくりと振り返って私からも抱きしめる。
「コーヒー飲んだらすっきりするよ、多分」
「飲んだら昼寝しませんか」
「いいねぇ、だらだらする休日って感じ」
軽く頬にキスをすると、同じように返してくれる。くすぐったくて、やさしい。
こんな彼の小さなわがままを、誰よりも側で叶えてあげたいと思うのは、私のわがままだろうか。
「何か、こういう日も悪くないよね」
「そうですか?」
「うん、私だけが知ってるオフモードって感じ」
部屋着姿の彼は、少しきょとんとしてからくすくすと笑う。
「すっぴんの貴方も、オフモードですか?」
「やだまじまじ見ないでよ、お望みなら今から化粧するけど!」
「俺だけが知ってるって感じなので、このままがいいです」
お互いいつから部屋着で過ごす間柄になったのか、正確には覚えていないけれど。それでもまぁ、安らげる場所であるのならいいか、なんて。
コーヒーが冷めない内に飲めることを祈りながら、もう一度少し背伸びをしてキスをすることにした。
12/12ページ