ホークス短編
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「相変わらず煮詰まってますね~」
昔より随分と端に追いやられて縮小された喫煙所のガラスを軽く叩かれたと思ったら、にこにこと胡散臭い笑顔でこちらを見ているホークスがいた。身体が資本の仕事をしている彼に、ここへは来るなと何度言っても聞きやしない。
自販機で買ったらしい缶コーヒーを土産に入室して堂々と隣に腰かけた。
「ちょっと息抜きですよ、お互い様でしょう」
いい音を響かせてプルタブを開けると、それを私に差し出してくる。
無言で受け取って一気に半分ほど飲み干せば、いい飲みっぷりだと笑いながら自分の分の缶を開けていた。
「疲れた」
「でしょうねぇ、そんな顔してます。ちなみに俺も疲れてます」
へらり、と笑ってちびちびコーヒーを飲む彼のスケジュールは強行軍のとんぼ返りだったはずだ。こんなところにいるくらいなら10分でも仮眠を取った方がいい。
けれど追い出したところでガラス越しに会話が続くだけなのは分かっているので、追い出すことはかなり前に諦めた。
「便利なのも考え物だね」
「それこそお互い様です。あなただって羽根がなくても馬車馬のように働くでしょう」
コーヒーがなくなるまでは付き合ってくれるのだろう。その態度に甘えて電子煙草にスティックを差し込んでスイッチを入れる。
「あれ、いつの間に鞍替えしたんですか」
「紙は最近肩身が狭いの、こっちのが臭くなくていいでしょ」
現にこの喫煙所からも水の入った灰皿は消え、小さなゴミ箱だけになっている。紙煙草は火事の元だとか臭いが不快だと言って、敷地内では吸えなくなってしまった。
確かに電子煙草の方が幾分か臭いはマシに思うし、灰が落ちないおかげで掃除も楽だ。
「あなたの煙を纏うの、結構好きだったのに」
「……物好き」
本当ですよ、と言う言葉が真実かどうかは分からない。けれどだからと言ってこれからここに来なくなることもないだろう。
コーヒー1缶分の逢瀬。私たちはそのくらいの距離感がとても心地よかった。
きっと、これからも。
昔より随分と端に追いやられて縮小された喫煙所のガラスを軽く叩かれたと思ったら、にこにこと胡散臭い笑顔でこちらを見ているホークスがいた。身体が資本の仕事をしている彼に、ここへは来るなと何度言っても聞きやしない。
自販機で買ったらしい缶コーヒーを土産に入室して堂々と隣に腰かけた。
「ちょっと息抜きですよ、お互い様でしょう」
いい音を響かせてプルタブを開けると、それを私に差し出してくる。
無言で受け取って一気に半分ほど飲み干せば、いい飲みっぷりだと笑いながら自分の分の缶を開けていた。
「疲れた」
「でしょうねぇ、そんな顔してます。ちなみに俺も疲れてます」
へらり、と笑ってちびちびコーヒーを飲む彼のスケジュールは強行軍のとんぼ返りだったはずだ。こんなところにいるくらいなら10分でも仮眠を取った方がいい。
けれど追い出したところでガラス越しに会話が続くだけなのは分かっているので、追い出すことはかなり前に諦めた。
「便利なのも考え物だね」
「それこそお互い様です。あなただって羽根がなくても馬車馬のように働くでしょう」
コーヒーがなくなるまでは付き合ってくれるのだろう。その態度に甘えて電子煙草にスティックを差し込んでスイッチを入れる。
「あれ、いつの間に鞍替えしたんですか」
「紙は最近肩身が狭いの、こっちのが臭くなくていいでしょ」
現にこの喫煙所からも水の入った灰皿は消え、小さなゴミ箱だけになっている。紙煙草は火事の元だとか臭いが不快だと言って、敷地内では吸えなくなってしまった。
確かに電子煙草の方が幾分か臭いはマシに思うし、灰が落ちないおかげで掃除も楽だ。
「あなたの煙を纏うの、結構好きだったのに」
「……物好き」
本当ですよ、と言う言葉が真実かどうかは分からない。けれどだからと言ってこれからここに来なくなることもないだろう。
コーヒー1缶分の逢瀬。私たちはそのくらいの距離感がとても心地よかった。
きっと、これからも。
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