あんスタ
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「折り入ってお願いをしたいことがあるのです」
お時間を頂けませんか、と神妙な面持ちで、否、声色で末っ子くんから電話が入ったのが一昨日。
何かあったのなら早い方が良いと思いその週末に約束を取り付けたのが昨日。
そうしてやってきた土曜日の昼間に何をしているかと言えば、ふたりでこそこそと行列に並んでいるのであった。そう、スイーツの食べ放題のお店である。
「何事かと思ったでしょ」
「先輩たちには断られてしまいまして……頼れるのはお姉さましかいなかったのです」
少し強い口調で注意をすれば、しゅんと両肩を落としてまるで怯える小型犬のように縮こまってしまった末っ子くんを見ると、どうも甘やかしてしまうのだから、後で泉くんに怒られる覚悟をして、よしよしと頭を撫でてあげた。
そうするとぱぁっと顔を輝かせて、事前にリサーチしたであろうスイーツの情報を指折り教えてくれる。あぁ、かわいい。
真くんも弟気質ではあるけれど、あの子は割りとしっかりしている。無意識に甘え上手な末っ子くんを、ついつい甘やかしてしまっては泉くんや嵐ちゃんに叱られてしまうのは私なのに、これは末っ子くんがかわいいから仕方ないことなのだ。
「ここはtakeoutも出来るんですよ、お姉さま」
「そうなんだ、気に入ったのがあれば頼んでみようかな」
「瀬名先輩が好きそうなもの、あると良いですね」
当たり前のようにそうやって言ってくれるものだから、可愛がってしまっても仕方のないことだろう。
泉くんも最初はユニットのメンバーであれ他の男と二人きりで出かけるなんて、と言っていたこともあったけど、自分ありきで話が進んでいるからか、諦めているのか、最近は特に何も言わなくなった。
未だにチクチクと棘がささるのは、真くんとふたりで出掛けた時くらいのものだ。それだけは、変わらないらしい。
「millefeuilleも素敵ですし、あぁ、tarteも美味しそうです!pudding parfaitも捨て難い……っ!」
「食べられるだけにしないと駄目だよ、あと消費出来るカロリーも考えてね」
「お姉さまは年々瀬名先輩に似てきますね……司は複雑な気持ちです」
「そぉ?それは私も複雑な気持ちになるね、やだやだ面倒なとこだけ似ちゃって」
カフェオレのガムシロップを控えるようになったのはいつからだったか。くすくすと笑い合いながら、目の前のケーキにフォークを刺す。
たまには良いでしょう、なんて言い訳を心の中でして、甘い生クリームを頬張った。美味しい。
季節のフルーツがたっぷり乗ったタルト、カラメルをぱりぱりにした焼きプリン、あぁそれからやっぱりショートケーキは外せない。
全て小ぶりなサイズになっていて、いろんなものを少しずつ食べられるとなると、注意した側からお腹がいっぱいになるまで食べてしまった。
これは、叱られるかもしれない。お腹を撫でながらこれでおしまいにしよう、とフォークを置くと、目の前の末っ子くんは唇の端に生クリームをつけて、にっこりと笑った。
「……お姉さま」
「お互いに薔薇の下ってことね」
「はい、そう言うことです」
しぃ、と人差し指を立て笑い合う。秘密のサインだ。そのままとんとんと頬を叩けば、自分のそこに生クリームがついていることに気付いた末っ子くんが慌てて紙ナフキンで頬を拭っていた。
秘密も何も、テイクアウトのケーキを選んでくれた辺りで全てバレてしまうのに。なんて野暮な事は言わずに、今日も私は末の騎士を甘やかしてしまったのであった。
持たされた小さな箱を揺らさないように歩きながら、秘密のお茶会から彼の待つ家に向かう。
さて、何と言い訳をしようか。
お時間を頂けませんか、と神妙な面持ちで、否、声色で末っ子くんから電話が入ったのが一昨日。
何かあったのなら早い方が良いと思いその週末に約束を取り付けたのが昨日。
そうしてやってきた土曜日の昼間に何をしているかと言えば、ふたりでこそこそと行列に並んでいるのであった。そう、スイーツの食べ放題のお店である。
「何事かと思ったでしょ」
「先輩たちには断られてしまいまして……頼れるのはお姉さましかいなかったのです」
少し強い口調で注意をすれば、しゅんと両肩を落としてまるで怯える小型犬のように縮こまってしまった末っ子くんを見ると、どうも甘やかしてしまうのだから、後で泉くんに怒られる覚悟をして、よしよしと頭を撫でてあげた。
そうするとぱぁっと顔を輝かせて、事前にリサーチしたであろうスイーツの情報を指折り教えてくれる。あぁ、かわいい。
真くんも弟気質ではあるけれど、あの子は割りとしっかりしている。無意識に甘え上手な末っ子くんを、ついつい甘やかしてしまっては泉くんや嵐ちゃんに叱られてしまうのは私なのに、これは末っ子くんがかわいいから仕方ないことなのだ。
「ここはtakeoutも出来るんですよ、お姉さま」
「そうなんだ、気に入ったのがあれば頼んでみようかな」
「瀬名先輩が好きそうなもの、あると良いですね」
当たり前のようにそうやって言ってくれるものだから、可愛がってしまっても仕方のないことだろう。
泉くんも最初はユニットのメンバーであれ他の男と二人きりで出かけるなんて、と言っていたこともあったけど、自分ありきで話が進んでいるからか、諦めているのか、最近は特に何も言わなくなった。
未だにチクチクと棘がささるのは、真くんとふたりで出掛けた時くらいのものだ。それだけは、変わらないらしい。
「millefeuilleも素敵ですし、あぁ、tarteも美味しそうです!pudding parfaitも捨て難い……っ!」
「食べられるだけにしないと駄目だよ、あと消費出来るカロリーも考えてね」
「お姉さまは年々瀬名先輩に似てきますね……司は複雑な気持ちです」
「そぉ?それは私も複雑な気持ちになるね、やだやだ面倒なとこだけ似ちゃって」
カフェオレのガムシロップを控えるようになったのはいつからだったか。くすくすと笑い合いながら、目の前のケーキにフォークを刺す。
たまには良いでしょう、なんて言い訳を心の中でして、甘い生クリームを頬張った。美味しい。
季節のフルーツがたっぷり乗ったタルト、カラメルをぱりぱりにした焼きプリン、あぁそれからやっぱりショートケーキは外せない。
全て小ぶりなサイズになっていて、いろんなものを少しずつ食べられるとなると、注意した側からお腹がいっぱいになるまで食べてしまった。
これは、叱られるかもしれない。お腹を撫でながらこれでおしまいにしよう、とフォークを置くと、目の前の末っ子くんは唇の端に生クリームをつけて、にっこりと笑った。
「……お姉さま」
「お互いに薔薇の下ってことね」
「はい、そう言うことです」
しぃ、と人差し指を立て笑い合う。秘密のサインだ。そのままとんとんと頬を叩けば、自分のそこに生クリームがついていることに気付いた末っ子くんが慌てて紙ナフキンで頬を拭っていた。
秘密も何も、テイクアウトのケーキを選んでくれた辺りで全てバレてしまうのに。なんて野暮な事は言わずに、今日も私は末の騎士を甘やかしてしまったのであった。
持たされた小さな箱を揺らさないように歩きながら、秘密のお茶会から彼の待つ家に向かう。
さて、何と言い訳をしようか。
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