妹君の2年生
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(妹君と杖十字会)
フィオは3階廊下の隅でため息をついた。視線の先にはインクで汚れされたフィオの鞄と中身がある。図書館で本を探すのに少し席を立ったらこれだ。
アイビス達には言っていないが、2年生になってから始まった嫌がらせ。次第に回数が増えている気がするが、誰がしているか特定できないので抗議も出来ない。気に入らないなら直接言ってもらったほうがいいのに、回りくどいやり方に辟易している。
いつもの様に同室から習ったインクを除ける呪文を唱え荷物を片付けていると、背後で扉がゆっくり開く音がした。その音にフィオは固まった。可笑しい。後ろは壁時計があるだけのはずなのに。
フィオは荷物をぎゅと抱きかかえ、ゆっくりと背後を振り返った。そこには−−−
スリザリン生のセバスチャンは目の前に広がる現状に、自分はどこから間違ったのだろうかと後悔している。
あの日不用意に親友との秘密の場所、地下聖堂から出てしまい彼女に見つかったことか。それとも続く嫌がらせにうんざりしている後輩にうっかり闇の魔術を教えたことだろうか。はたまたその後輩が思った以上に才能があって、地下聖堂を破壊しかねない呪文練習の域を超えた暴れっぷりに危機感を覚え、これまたうっかり杖十字会を紹介したことか。
いや、どれも避けられない状況だったはずだ。
「デパルソ!」
ドンッ
「ぎゃー!」
またひとりフィオの呪文で吹っ飛んで行った。
決闘クラブの杖十字会恒例である対戦は飛入り参加の登場で盛り上がっていた。対戦に呪文使用制限を設けているとはいえ、下級生がトーナメントを勝ち上がるためギャラリーも熱くなっていく。
現状を未だ受け入れられなくて遠い目をするセバスチャンの横では、現杖十字会の会長であるグリフィンドール生ルーカンは目をこれでもかと輝かせていた。
「セバスチャン、どこであんな逸材見つけてきたんだい?!」
「…たまたま知り合っただけだ」
「しかも彼女があの騎士の妹ちゃんで癒者クラブ所属だって? やっぱり魔力コントロールセンスが違うね。まだ2年生なのにあの見事な呪文組合せ、最高だよ!」
「それは…ヨカッタナ」
「インセンディオ!」
ドガンッ!
「わあー!」
カタコトになっていくセバスチャンの目の前で、またまたひとり豪快に吹き飛んでいった。
対戦が終わったフィオはとことことセバスチャンへ近寄ってくる。髪は乱れてローブは少し汚れているが、彼女の表情は晴れやかだった。あの不満をため込んだ表情とは違う。対戦相手には申し訳ないが、彼女の憂さ晴らしにはなったようで安心する。
「君すごいね! 是非うちに入会してくれない?」
「ルーカン、こいつまだ2年だぞ」
「対戦で使う呪文が唱えれれば誰でも入会可能なんだよ。君はもう使えるんだろう。大歓迎さ!」
フィオとセバスチャンはお互い顔を見合わせた。見学がてら参加しただけなのに、勧誘されることになるとは。
フィオが昨年入った癒者クラブは治療知識と共に魔力コントロールを学ぶ。魔力の流れを読むことで患者の負傷部を探知したり、患者自身の治癒能力向上を促進させるためである。基本治療は魔法薬や治癒呪文だが、緊急時は魔力をコントロールすることで止血等の応急処置をするのだ。
フィオは1年生ながらも上級生同様のコントロール訓練についていき、気づいたら高度な技術を身についていた。なのでセバスチャンがうっかり教えた呪文をすんなり使えたのもその訓練のおかげだ。
「癒者クラブがあるからあまり来れないけど、それでも良いかしら?」
「もちろんだよ、ありがとう! 参加はいつでもいいからね」
「分かったわ。セバスチャンとまた来るね」
「おい」
「待ってるよ!」
巻き込まれたセバスチャンはフィオにひと言申したかったけれど、彼女の向ける笑みがそれをさせてくれない。
日頃からプライドの高い同寮の女子たちに振り回されてはいるが、偶然知り合ったレイブンクロー生の彼女にも敵いそうにない。これはスリザリン寮の男子学生の定めなのだろうか。
降参したように肩を落とせば、フィオはセバスチャンの腕に飛びついた。多少の怪我が付きものの杖十字会に入ったことを、彼女の過保護な兄にバレたとき何を言われるだろうか。無邪気なフィオを見下ろしながら、セバスチャンはそれだけが心配であった。
「フィオ、その頬どうしたの?」
週末に図書館で一緒に課題をしていたフィオとセドリック。セドリックはフィオの左頬に貼られた傷バンドを見つけて聞いた。
杖十字会は内密の集まりなので正直に言うわけにはいかず、フィオは曖昧に答えを濁すことにした。
「本で読んだ呪文を試したくて、練習してるの。うまく出来なかっただけよ」
「怪我するなんて危ないなあ。どの呪文かな、僕と一緒にやろう」
「ううん、大丈夫。もう少しでコツ掴めそうなの。あとちょっと頑張ってみるね」
「そう? 怪我には気をつけてね」
「心配してくれてありがとう、セドリック」
セドリックはフィオが隠しごとをしているのはわかっていたが、困らせたくないので無理に聞くことはしなかった。
けれどそれから会う度に顔や手足のどこかを怪我してくるフィオ。これ以上は見過ごせないと思い、ある日の夕方レイブンクロー塔の入り口近くでフィオを待っていれば、セドリックの前にフィオを背負うスリザリン上級生が現れたのだった。
目を見開いて驚くセドリックに気づいたセバスチャンは声をかけた。
「ハッフルパフ生、この子の知りあい?」
「ディゴリーです。背中にいる彼女はどうしたんですか?」
「ちょっと、な。はりきり過ぎたみたいで疲れて寝てるだけさ」
「…何してたんですか?」
「悪いがそれは言えないことになっている。それと寮まで運ぶのに、こいつの兄以外を呼んでもらえると助かるんだが」
セバスチャンの言葉から、他寮とはいえセドリックは自分がフィオを運べる対象にされていないことに下唇を噛んだ。確かに背丈は成長途中で目の前の彼にはまだ届かない。決して縮まらない年齢差を見せつけられているようだった。
「近ごろいつも怪我してるんです。あなたがフィオに危ないことさせてるんじゃないんですか」
「彼女の意思だよ、ディゴリー。心配する気持ちは分かるが、あんまこいつに押し付けるなよ。お前にこの子の行動を制限する権利ないだろ」
セバスチャンは止まらなかった。目の前にいる王子さまが危うかったからだ。自分の目が届くところに閉じ込めるだけが守ることではない。
だがいつもの悪い癖でキツい言い方をしてしまった。下を向いて黙ってしまった後輩に対し、バツが悪くなり頭をかいていると重い空気を変える人物が現れた。
「ちょっと。あんま後輩虐めないであげてよ」
「…ちょうどいいのが来たな。お前さん達の妹連れてきたぜ」
「悪いねサロウ。助かるよ」
何処かで監視してたかのようにタイミング良く現れたナナバに、セバスチャンは溜め込んだ息をはいた。
ナナバはセバスチャンの背中から眠るフィオを受取り、自分の肩へ彼女の頭が寄りかかるよう前に優しく抱えた。
「ブライス、ついでに兄貴の方にも上手くいっておいてくれ」
「その必要はないよ。この子のする事をアイビスが知らないわけないじゃん」
「あー、そういうこと。なんか無駄に心配して損したな。アイツもただの過保護じゃないわけだ」
シスコンで有名なアイビスだが、フィオが自分からやることに対して、多少危なくても見守ることが出来るらしい。苦労無くして成長しないことを知っているのだろう。それとも彼女に何かあれば、どんな事でもフォロー出来るだけの自信があるのか。
何にしてもセバスチャンの心配は杞憂に終わったみたいだ。余り接点はないが、思ったより話が分かるみたいで安心した。
用が済んだセバスチャンは、ナナバとセドリックに手を振って背を向けて行く。その背を見送るナナバは隣に立つ落ち込む後輩へ声をかけた。
「キツい言い方するけど、彼は悪いやつじゃないよ。決してフィオを傷つけたりしない。だからアイビスも黙認してるんだ」
「…それでも、僕は黙って見たくない」
隣にいると思っていた彼女は自らの足で立ち、前へどんどん進んでいる。
彼女の隣にいる為には距離が広がらないよう、何かしなきゃいけない。でもそれは必然じゃないし、今でなくてもいいことかもしれない。上級生になれば自然と身につくものだろう。
それでも、今やらなくちゃ。前へ進むフィオをいずれ見失う気がするんだ。
「ナナバ先輩、僕は…どうしたら良いんだと思う?」
迷いながらも強い瞳で見上げて問うてくる後輩に、ナナバは目を細めた。
それでも君がやりたいならば、答えはひとつだ。
「聞く相手が違うよ、セドリック。君が知りたい答えは、8階にある」
今度こそ迷いなく足早に去っていく後輩の背を見つめて、ナナバは腕の中で眠る小さな彼女に言葉をこぼす。
「君もだよ、フィオ。…あまり早く大人にならないでね」
フィオは好奇心から、セドリックは強い想いを抱いて成長していく彼ら。そんな彼らは頼もしくもあり、先輩として少しさびしくも感じる。
僕たちはまだ可愛い妹分を甘やかせあげたいんだけどなあ。
腕の中のフィオを起こさないように、ナナバはゆっくり寮へ続く階段を登っていった。
フィオは3階廊下の隅でため息をついた。視線の先にはインクで汚れされたフィオの鞄と中身がある。図書館で本を探すのに少し席を立ったらこれだ。
アイビス達には言っていないが、2年生になってから始まった嫌がらせ。次第に回数が増えている気がするが、誰がしているか特定できないので抗議も出来ない。気に入らないなら直接言ってもらったほうがいいのに、回りくどいやり方に辟易している。
いつもの様に同室から習ったインクを除ける呪文を唱え荷物を片付けていると、背後で扉がゆっくり開く音がした。その音にフィオは固まった。可笑しい。後ろは壁時計があるだけのはずなのに。
フィオは荷物をぎゅと抱きかかえ、ゆっくりと背後を振り返った。そこには−−−
スリザリン生のセバスチャンは目の前に広がる現状に、自分はどこから間違ったのだろうかと後悔している。
あの日不用意に親友との秘密の場所、地下聖堂から出てしまい彼女に見つかったことか。それとも続く嫌がらせにうんざりしている後輩にうっかり闇の魔術を教えたことだろうか。はたまたその後輩が思った以上に才能があって、地下聖堂を破壊しかねない呪文練習の域を超えた暴れっぷりに危機感を覚え、これまたうっかり杖十字会を紹介したことか。
いや、どれも避けられない状況だったはずだ。
「デパルソ!」
ドンッ
「ぎゃー!」
またひとりフィオの呪文で吹っ飛んで行った。
決闘クラブの杖十字会恒例である対戦は飛入り参加の登場で盛り上がっていた。対戦に呪文使用制限を設けているとはいえ、下級生がトーナメントを勝ち上がるためギャラリーも熱くなっていく。
現状を未だ受け入れられなくて遠い目をするセバスチャンの横では、現杖十字会の会長であるグリフィンドール生ルーカンは目をこれでもかと輝かせていた。
「セバスチャン、どこであんな逸材見つけてきたんだい?!」
「…たまたま知り合っただけだ」
「しかも彼女があの騎士の妹ちゃんで癒者クラブ所属だって? やっぱり魔力コントロールセンスが違うね。まだ2年生なのにあの見事な呪文組合せ、最高だよ!」
「それは…ヨカッタナ」
「インセンディオ!」
ドガンッ!
「わあー!」
カタコトになっていくセバスチャンの目の前で、またまたひとり豪快に吹き飛んでいった。
対戦が終わったフィオはとことことセバスチャンへ近寄ってくる。髪は乱れてローブは少し汚れているが、彼女の表情は晴れやかだった。あの不満をため込んだ表情とは違う。対戦相手には申し訳ないが、彼女の憂さ晴らしにはなったようで安心する。
「君すごいね! 是非うちに入会してくれない?」
「ルーカン、こいつまだ2年だぞ」
「対戦で使う呪文が唱えれれば誰でも入会可能なんだよ。君はもう使えるんだろう。大歓迎さ!」
フィオとセバスチャンはお互い顔を見合わせた。見学がてら参加しただけなのに、勧誘されることになるとは。
フィオが昨年入った癒者クラブは治療知識と共に魔力コントロールを学ぶ。魔力の流れを読むことで患者の負傷部を探知したり、患者自身の治癒能力向上を促進させるためである。基本治療は魔法薬や治癒呪文だが、緊急時は魔力をコントロールすることで止血等の応急処置をするのだ。
フィオは1年生ながらも上級生同様のコントロール訓練についていき、気づいたら高度な技術を身についていた。なのでセバスチャンがうっかり教えた呪文をすんなり使えたのもその訓練のおかげだ。
「癒者クラブがあるからあまり来れないけど、それでも良いかしら?」
「もちろんだよ、ありがとう! 参加はいつでもいいからね」
「分かったわ。セバスチャンとまた来るね」
「おい」
「待ってるよ!」
巻き込まれたセバスチャンはフィオにひと言申したかったけれど、彼女の向ける笑みがそれをさせてくれない。
日頃からプライドの高い同寮の女子たちに振り回されてはいるが、偶然知り合ったレイブンクロー生の彼女にも敵いそうにない。これはスリザリン寮の男子学生の定めなのだろうか。
降参したように肩を落とせば、フィオはセバスチャンの腕に飛びついた。多少の怪我が付きものの杖十字会に入ったことを、彼女の過保護な兄にバレたとき何を言われるだろうか。無邪気なフィオを見下ろしながら、セバスチャンはそれだけが心配であった。
「フィオ、その頬どうしたの?」
週末に図書館で一緒に課題をしていたフィオとセドリック。セドリックはフィオの左頬に貼られた傷バンドを見つけて聞いた。
杖十字会は内密の集まりなので正直に言うわけにはいかず、フィオは曖昧に答えを濁すことにした。
「本で読んだ呪文を試したくて、練習してるの。うまく出来なかっただけよ」
「怪我するなんて危ないなあ。どの呪文かな、僕と一緒にやろう」
「ううん、大丈夫。もう少しでコツ掴めそうなの。あとちょっと頑張ってみるね」
「そう? 怪我には気をつけてね」
「心配してくれてありがとう、セドリック」
セドリックはフィオが隠しごとをしているのはわかっていたが、困らせたくないので無理に聞くことはしなかった。
けれどそれから会う度に顔や手足のどこかを怪我してくるフィオ。これ以上は見過ごせないと思い、ある日の夕方レイブンクロー塔の入り口近くでフィオを待っていれば、セドリックの前にフィオを背負うスリザリン上級生が現れたのだった。
目を見開いて驚くセドリックに気づいたセバスチャンは声をかけた。
「ハッフルパフ生、この子の知りあい?」
「ディゴリーです。背中にいる彼女はどうしたんですか?」
「ちょっと、な。はりきり過ぎたみたいで疲れて寝てるだけさ」
「…何してたんですか?」
「悪いがそれは言えないことになっている。それと寮まで運ぶのに、こいつの兄以外を呼んでもらえると助かるんだが」
セバスチャンの言葉から、他寮とはいえセドリックは自分がフィオを運べる対象にされていないことに下唇を噛んだ。確かに背丈は成長途中で目の前の彼にはまだ届かない。決して縮まらない年齢差を見せつけられているようだった。
「近ごろいつも怪我してるんです。あなたがフィオに危ないことさせてるんじゃないんですか」
「彼女の意思だよ、ディゴリー。心配する気持ちは分かるが、あんまこいつに押し付けるなよ。お前にこの子の行動を制限する権利ないだろ」
セバスチャンは止まらなかった。目の前にいる王子さまが危うかったからだ。自分の目が届くところに閉じ込めるだけが守ることではない。
だがいつもの悪い癖でキツい言い方をしてしまった。下を向いて黙ってしまった後輩に対し、バツが悪くなり頭をかいていると重い空気を変える人物が現れた。
「ちょっと。あんま後輩虐めないであげてよ」
「…ちょうどいいのが来たな。お前さん達の妹連れてきたぜ」
「悪いねサロウ。助かるよ」
何処かで監視してたかのようにタイミング良く現れたナナバに、セバスチャンは溜め込んだ息をはいた。
ナナバはセバスチャンの背中から眠るフィオを受取り、自分の肩へ彼女の頭が寄りかかるよう前に優しく抱えた。
「ブライス、ついでに兄貴の方にも上手くいっておいてくれ」
「その必要はないよ。この子のする事をアイビスが知らないわけないじゃん」
「あー、そういうこと。なんか無駄に心配して損したな。アイツもただの過保護じゃないわけだ」
シスコンで有名なアイビスだが、フィオが自分からやることに対して、多少危なくても見守ることが出来るらしい。苦労無くして成長しないことを知っているのだろう。それとも彼女に何かあれば、どんな事でもフォロー出来るだけの自信があるのか。
何にしてもセバスチャンの心配は杞憂に終わったみたいだ。余り接点はないが、思ったより話が分かるみたいで安心した。
用が済んだセバスチャンは、ナナバとセドリックに手を振って背を向けて行く。その背を見送るナナバは隣に立つ落ち込む後輩へ声をかけた。
「キツい言い方するけど、彼は悪いやつじゃないよ。決してフィオを傷つけたりしない。だからアイビスも黙認してるんだ」
「…それでも、僕は黙って見たくない」
隣にいると思っていた彼女は自らの足で立ち、前へどんどん進んでいる。
彼女の隣にいる為には距離が広がらないよう、何かしなきゃいけない。でもそれは必然じゃないし、今でなくてもいいことかもしれない。上級生になれば自然と身につくものだろう。
それでも、今やらなくちゃ。前へ進むフィオをいずれ見失う気がするんだ。
「ナナバ先輩、僕は…どうしたら良いんだと思う?」
迷いながらも強い瞳で見上げて問うてくる後輩に、ナナバは目を細めた。
それでも君がやりたいならば、答えはひとつだ。
「聞く相手が違うよ、セドリック。君が知りたい答えは、8階にある」
今度こそ迷いなく足早に去っていく後輩の背を見つめて、ナナバは腕の中で眠る小さな彼女に言葉をこぼす。
「君もだよ、フィオ。…あまり早く大人にならないでね」
フィオは好奇心から、セドリックは強い想いを抱いて成長していく彼ら。そんな彼らは頼もしくもあり、先輩として少しさびしくも感じる。
僕たちはまだ可愛い妹分を甘やかせあげたいんだけどなあ。
腕の中のフィオを起こさないように、ナナバはゆっくり寮へ続く階段を登っていった。
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