妹君の1年生
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(妹君と獅子寮の監督生)
「おい、フィオ。何度目だ?」
「ご、ごめんなさい…」
皆に見せてる鷲寮の騎士の仮面を捨てた、腕を組んで凄むアイビスはとても怖い。
フィオは思わず横にいる彼のローブを掴んだ。横にいる彼、獅子寮の監督生チャーリーは怯えるフィオの頭をそっと撫でると怒るアイビスに苦笑した。
「あまり怒ってやるなよ」
「これが今月3回目じゃなかったらそうしてます」
そんなになるのか。チャーリーが小さな彼女を伺えば、目があった彼女の眉がさらに下がってしまった。
チャーリーが監督生の見回りをしているところ、司書に連れられるフィオと出逢った。聞けば閉館時間ギリギリまで読書に熱中していたので強制退室させられたそうだ。時間も遅いので彼女の自寮へ付き添いを頼まれ一緒に帰っていると、レイブンクロー塔の入口で仁王立ちで待つアイビスがいたのだ。
アイビスは大きくため息をつき、縮こまるフィオと視線を合わせるよう身を屈めた。
「熱中するのは分かるが、余り遅いと心配する。それに今日は夕飯も取ってないだろ? 頼むから食事だけは抜くな」
フィオはこくんと頷き、おずおずとアイビスに抱きついた。アイビスも彼女を優しく受け止める。その横でチャーリーが目を瞠っているのは気づくことなく。
「あ。フィオちゃん見つかったの?」
そこに厨房から調達した網籠を持ったナナバが現れた。心配したよーと言いながらアイビスの腕に収まるフィオの頭を撫でている。
「ナナバ、飯さんきゅ。先にフィオ連れて上がっててくれ」
「はいよ」
手を繋いで階段を上る二人を見送るアイビスは、横から意味あり気な視線を感じて苦い顔が浮かぶ。
「……なんすか」
「いや、お前もそんな顔するだなぁって微笑ましくて」
チャーリーは思わず口元が緩んだ。
あのいつも卒なく騎士を演じる男が妹ひとりにこうも百面相するとは。フィオを腕におさめて安堵しきった破顔には特に目を瞠ってしまう程。飾らない彼の素の一面を見れた気がした。
「俺はそっちの方がらしくて好きだぜ」
「そりゃどーも、1ミリも嬉しくないですが。ここまでの付き添い感謝します」
引きつった口元を隠そうとせず礼を言うと、アイビスは足早に階段を上っていった。チャーリーはその背を見送ると、自分も寮へ戻るためレイブンクロー塔をあとにした。
これをきっかけに騎士の妹君と親しくなっていくのは、また別のお話。
アイビスがレイブンクローの談話室に入れば、食事をするフィオを見守るナナバが振り返った。
「おかえりー。アイビスも紅茶飲む?」
「ああ」
空いていたフィオの隣に腰かけて小さな彼女をみると、ポタージュの入ったカップを両手に持ち、美味しそうに目を細めて飲んでいる。相変わらず呑気なお姫さまだ。
チャーリーに素を知られた腹いせに、デザートのひと口目をいこうとしたフィオの腕を掴み寄せ、ばくりとスプーンを口に入れた。
苺とクリーム付きのプディングだ。アイビスには甘過ぎる。
「いちご…」
「こらー、横取りしないの」
ナナバが呆れながら紅茶を差し出したので、口の中の甘さを紅茶で流し込む。横目で見ればフィオは軽く頬を膨らませて残りのデザートを食べている。
アイビスの視線に気づきフィオも視線を合わせる。眼鏡越しに見えるアンバー色の瞳が温かい。彼女がこうして見つめるときはこちらの機嫌を尋ねているのだ。
「ったく、変なのに目つけられやがってお転婆が」
「?」
アイビスの独り言はフィオには届かなかったが、気にするなの意味を込めて頭を撫でれば笑みを浮かべてデザートの続きに戻った。反対側に座るナナバは頬にかかるフィオの癖毛をそっと耳にかけている。
そんな様子を見守る自分も結局彼女に甘いのだと呆れたアイビスだった。
*******
「ご機嫌いかがお嬢さま?」
チャーリーは休日の中庭の木陰でひとり読書をしているフィオを見つけて声をかけた。
あれから2人は手紙のやり取りを始め、面倒見の良いチャーリーにフィオはすっかり懐いて兄のように慕っている。
「まぁまぁよ」
「今日は図書館じゃないんだな」
「いまは図書館のほうが人が多いから避難してるの」
チャーリーはそうかと頷いた。いまは冬期休暇前の課題に向けて勉強する生徒が図書館に殺到しているから。普段と違う利用者で混んでいるのだ。
「フィオは課題しなくて良いのか?」
「課題なら終わってるわ。大した量なかったし」
さすが勤勉さを誇るレイブンクロー生だ。本当に不思議そうに首を傾げた彼女にチャーリーは笑みをこぼした。
そのときフィオがじっと顔を見つめているのに気付いた。
「どうした?」
「チャーリー何かあったの?」
見抜かれたチャーリーは一度息を吐くと、観念したようにゆっくりフィオの隣へ腰を下ろした。
「実は進路について悩んでいるんだ。俺は成績は悪くないし選択肢は魔法省をはじめ色々ある。クィディッチのプロチームからもオファーが来た」
「でも貴方は違う道を行きたい?」
「正解。…ドラゴントレーナーになりたいんだ」
あえてエリートコースから外れているし、稀有で危険な職種なのでフィオの反応が気になる。恐る恐る目を向ければ、彼女はこれでもかと目を輝かせていた。
「ドラゴンなんて素敵!最高じゃない!」
彼女の良い意味で予想を裏切る反応に、肩に力が入っていたチャーリーは脱力した。フィオの無垢な好奇心には救われる。
「ご家族には言ったの?」
「それがまだ。反応が怖くてね。兄貴は薄々気付いてそうだけど」
「でもチャーリーのご両親は頭ごなしに反対するような人達じゃないでしょ。そりゃあ危険な職業だから心配はするだろうけど。きっとチャーリーから言ってくれるの待ってるよ」
フィオは膝の上にあるチャーリーの拳を勇気付けるようにとんとんと叩いた。そしていたずら好きな笑顔で続ける。
「それに反対されてもチャーリーは諦めないだろうし」
「お嬢さんはよくお分かりで」
チャーリーもにやりと笑みを浮かべて応えた。簡単に諦めるようなら悩んでいない。
チャーリーの答えに満足気に頷くと、フィオは本を抱えて立ち上がり手を差し出した。その小さな手を掴んでチャーリーは立ち上がる。もうすぐ昼食の時間だ。
「今度チャーリーの噂のお兄さんに会ってみたいなぁ。癒者クラブの活動で時間が合わなくて」
「ハンサムで完璧な兄貴だよ。アイビスとは合わなそうだけど」
「それはぜひ仲良くなりたいわ」
「意地悪な妹だなー」
お互い完璧な兄を持つ同士なので、大広間までの道中話が尽きなかった。
「おい、フィオ。何度目だ?」
「ご、ごめんなさい…」
皆に見せてる鷲寮の騎士の仮面を捨てた、腕を組んで凄むアイビスはとても怖い。
フィオは思わず横にいる彼のローブを掴んだ。横にいる彼、獅子寮の監督生チャーリーは怯えるフィオの頭をそっと撫でると怒るアイビスに苦笑した。
「あまり怒ってやるなよ」
「これが今月3回目じゃなかったらそうしてます」
そんなになるのか。チャーリーが小さな彼女を伺えば、目があった彼女の眉がさらに下がってしまった。
チャーリーが監督生の見回りをしているところ、司書に連れられるフィオと出逢った。聞けば閉館時間ギリギリまで読書に熱中していたので強制退室させられたそうだ。時間も遅いので彼女の自寮へ付き添いを頼まれ一緒に帰っていると、レイブンクロー塔の入口で仁王立ちで待つアイビスがいたのだ。
アイビスは大きくため息をつき、縮こまるフィオと視線を合わせるよう身を屈めた。
「熱中するのは分かるが、余り遅いと心配する。それに今日は夕飯も取ってないだろ? 頼むから食事だけは抜くな」
フィオはこくんと頷き、おずおずとアイビスに抱きついた。アイビスも彼女を優しく受け止める。その横でチャーリーが目を瞠っているのは気づくことなく。
「あ。フィオちゃん見つかったの?」
そこに厨房から調達した網籠を持ったナナバが現れた。心配したよーと言いながらアイビスの腕に収まるフィオの頭を撫でている。
「ナナバ、飯さんきゅ。先にフィオ連れて上がっててくれ」
「はいよ」
手を繋いで階段を上る二人を見送るアイビスは、横から意味あり気な視線を感じて苦い顔が浮かぶ。
「……なんすか」
「いや、お前もそんな顔するだなぁって微笑ましくて」
チャーリーは思わず口元が緩んだ。
あのいつも卒なく騎士を演じる男が妹ひとりにこうも百面相するとは。フィオを腕におさめて安堵しきった破顔には特に目を瞠ってしまう程。飾らない彼の素の一面を見れた気がした。
「俺はそっちの方がらしくて好きだぜ」
「そりゃどーも、1ミリも嬉しくないですが。ここまでの付き添い感謝します」
引きつった口元を隠そうとせず礼を言うと、アイビスは足早に階段を上っていった。チャーリーはその背を見送ると、自分も寮へ戻るためレイブンクロー塔をあとにした。
これをきっかけに騎士の妹君と親しくなっていくのは、また別のお話。
アイビスがレイブンクローの談話室に入れば、食事をするフィオを見守るナナバが振り返った。
「おかえりー。アイビスも紅茶飲む?」
「ああ」
空いていたフィオの隣に腰かけて小さな彼女をみると、ポタージュの入ったカップを両手に持ち、美味しそうに目を細めて飲んでいる。相変わらず呑気なお姫さまだ。
チャーリーに素を知られた腹いせに、デザートのひと口目をいこうとしたフィオの腕を掴み寄せ、ばくりとスプーンを口に入れた。
苺とクリーム付きのプディングだ。アイビスには甘過ぎる。
「いちご…」
「こらー、横取りしないの」
ナナバが呆れながら紅茶を差し出したので、口の中の甘さを紅茶で流し込む。横目で見ればフィオは軽く頬を膨らませて残りのデザートを食べている。
アイビスの視線に気づきフィオも視線を合わせる。眼鏡越しに見えるアンバー色の瞳が温かい。彼女がこうして見つめるときはこちらの機嫌を尋ねているのだ。
「ったく、変なのに目つけられやがってお転婆が」
「?」
アイビスの独り言はフィオには届かなかったが、気にするなの意味を込めて頭を撫でれば笑みを浮かべてデザートの続きに戻った。反対側に座るナナバは頬にかかるフィオの癖毛をそっと耳にかけている。
そんな様子を見守る自分も結局彼女に甘いのだと呆れたアイビスだった。
*******
「ご機嫌いかがお嬢さま?」
チャーリーは休日の中庭の木陰でひとり読書をしているフィオを見つけて声をかけた。
あれから2人は手紙のやり取りを始め、面倒見の良いチャーリーにフィオはすっかり懐いて兄のように慕っている。
「まぁまぁよ」
「今日は図書館じゃないんだな」
「いまは図書館のほうが人が多いから避難してるの」
チャーリーはそうかと頷いた。いまは冬期休暇前の課題に向けて勉強する生徒が図書館に殺到しているから。普段と違う利用者で混んでいるのだ。
「フィオは課題しなくて良いのか?」
「課題なら終わってるわ。大した量なかったし」
さすが勤勉さを誇るレイブンクロー生だ。本当に不思議そうに首を傾げた彼女にチャーリーは笑みをこぼした。
そのときフィオがじっと顔を見つめているのに気付いた。
「どうした?」
「チャーリー何かあったの?」
見抜かれたチャーリーは一度息を吐くと、観念したようにゆっくりフィオの隣へ腰を下ろした。
「実は進路について悩んでいるんだ。俺は成績は悪くないし選択肢は魔法省をはじめ色々ある。クィディッチのプロチームからもオファーが来た」
「でも貴方は違う道を行きたい?」
「正解。…ドラゴントレーナーになりたいんだ」
あえてエリートコースから外れているし、稀有で危険な職種なのでフィオの反応が気になる。恐る恐る目を向ければ、彼女はこれでもかと目を輝かせていた。
「ドラゴンなんて素敵!最高じゃない!」
彼女の良い意味で予想を裏切る反応に、肩に力が入っていたチャーリーは脱力した。フィオの無垢な好奇心には救われる。
「ご家族には言ったの?」
「それがまだ。反応が怖くてね。兄貴は薄々気付いてそうだけど」
「でもチャーリーのご両親は頭ごなしに反対するような人達じゃないでしょ。そりゃあ危険な職業だから心配はするだろうけど。きっとチャーリーから言ってくれるの待ってるよ」
フィオは膝の上にあるチャーリーの拳を勇気付けるようにとんとんと叩いた。そしていたずら好きな笑顔で続ける。
「それに反対されてもチャーリーは諦めないだろうし」
「お嬢さんはよくお分かりで」
チャーリーもにやりと笑みを浮かべて応えた。簡単に諦めるようなら悩んでいない。
チャーリーの答えに満足気に頷くと、フィオは本を抱えて立ち上がり手を差し出した。その小さな手を掴んでチャーリーは立ち上がる。もうすぐ昼食の時間だ。
「今度チャーリーの噂のお兄さんに会ってみたいなぁ。癒者クラブの活動で時間が合わなくて」
「ハンサムで完璧な兄貴だよ。アイビスとは合わなそうだけど」
「それはぜひ仲良くなりたいわ」
「意地悪な妹だなー」
お互い完璧な兄を持つ同士なので、大広間までの道中話が尽きなかった。