黎明期
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(撮られる彼女)
先日無事ドーマ海賊団を傘下に加えた白ひげ海賊団。その功労者であるエースとシュイはしばらく船内でよく話題になっていた。
特にエースの炎が揺らめくなか、その炎を一切恐れることなく毅然と戦闘するシュイの姿は印象的であったと噂されている。
ちょうど話題の中心である2人は食堂の同じテーブルに隣同士で昼食をとっていた。食事中よく寝てしまうエースだが、シュイが傍に居るからか黙々と食べるだけ。この2人が揃えば、自然と周りに元スペードクルーが集まって来て賑やかになっていく。
そこにスカルが上機嫌で食堂に入ってきて、エースのもとにスキップしながら近寄ってくる。どうやらスカルが良い情報を手に入れたようである。
「どうした、スカル」
「エースくんに一番に見てほしくてさ。あとシュイちゃんにも」
「わたしも?」
シュイとエースの間は避けてシュイの隣に座り、皆が注目するなかスカルはファイルから2枚の紙を取り出してテーブル上に置いて披露した。
その2枚は手配書で、『火拳のエース』『螢火(ほたるび)のシュイ』と書かれており、ふたり共賞金額が上がっている。
それを見たクルー達は歓声を上げた。エースは満面の笑みで同テーブルに座るクルー達とハイタッチしていく。周りが盛り上がるなかシュイは手配書に載る写真に釘付けだった。
写真の自分は薙刀を構えており周りにエースの炎と思われる欠片が映り、更に背後にエースの背中があった。隣のエースの手配書の写真には、エースの肩越しにシュイの後頭部と髪紐、それに薙刀の1部が写り込む。
これはドーマ海賊団の船長等と対峙したときのシーンだろう。あの時援護に来てくれたエースと背中合わせで闘っていたから。
まるで対になる様な写真に嬉しくて、シュイが口元を緩めて眺めていると、背後からふわりと馴染みの香りがして振り向いた。
シュイの後ろにイゾウ隊長が立っていた。気付いて振り向いたシュイに目を細め、そっと前髪を撫でてくれる。
会合が終わって食事を取りにきたようで、他にもサッチ隊長とビスタ隊長が一緒だ。食堂内で一際賑やかなこのテーブルに立ち寄ったのだろう。
サッチがテーブルにある手配書を覗き込み、シュイのが初版でないことに目を真ん丸にした。
「なに、シュイって賞金首だったの?」
「はい。何故か非戦闘員なのに手配書が出てしまって」
「前のってある?」
「いいえ、持ってませ「ありますよ」…え?」
横にいたスカルがファイルから1枚手配書を取出し、素早くサッチへ渡した。目の前で起きたことにぽやっと目で追い、ひと呼吸遅れてシュイは慌てて昔の手配書を奪い返そうと手を伸ばした。だが、サッチはさらりとシュイの手を躱しながら手配書を見る。
「やだ、見ないでください…っ」
「うひょー! 何これ、可愛いじゃん!」
「ほお…」
「よく撮れてるね」
そこには花束を抱えて微笑むシュイが写っていた。手配書らしくない写真に不釣り合いな賞金が書かれており、初見では正式な手配書だと信じられないだろう。
サッチはシェアして見ていた手配書をイゾウに渡したので、シュイは伸ばしていた手を渋々引っ込めた。イゾウは手配書から視線を上げて、シュイと目が合うと口元に笑みを浮かべた。嫌な予感がする。
「これ貰っても?」
「もちろんです。そちらのコピーで良ければ」
「新しいのも欲しいんだが」
「後でお持ちします」
「助かる」
イゾウはシュイの手配書を丸めて懐に優しく入れた。シュイはイゾウとスカルのやり取りから何かを察し、引き止めるようイゾウの袖を摘んだ。
「…イゾウ隊長、私の手配書2枚をどうするおつもりで?」
「決まってんだろ。隊室に貼る」
「16番隊は隊室に貼らない主義でしたよね」
「ああ。だがたった今、気が変わっちまったな」
「そんなぁ…」
隊長の急な意向変更に、シュイの眉は下がりっぱなしである。大した賞金額ではない自分の手配書が隊員に見られることに、恥ずかしい様な照れくさい様な心情は複雑だ。
そんなシュイに、イゾウは顔を寄せて耳元で囁いた。他には聞こえないように。
「可愛い部下を自慢したくなったんだ。許せよ」
イゾウはシュイの反応は予想済みだからか、言うだけ言って満足し自分の昼食を取りに行った。ビスタとサッチはシュイの反応に笑みを深めながら、イゾウに続いていく。
イゾウにしてやられたシュイは赤く染まった頬を隠すように、テーブルに突っ伏している。耳元であんな台詞を囁くなんて、反則過ぎる。
一方隣で一部終始見ていたエースは、何とも言えない表情でイゾウの背を見送っていた。テーブルに伏してしまった彼女と、置かれた手配書の凛々しい彼女、そしてエースの頭から消えない共戦したときの彼女。
こんな近くにいるはずなのに、自分が知るシュイがシュイじゃなくなっているような感覚だった。
エースは腕を伸ばして、そっとシュイの頬に触れてみた。先の戦闘で負った火傷の跡に触れられて、シュイはエースの方に視線を向け不思議そうに瞬きしてくれる。
それはスペード時代から変わらない、彼女が気を許した相手に見せる仕草である。けど、エースがいま求めた反応じゃなかった。
エースの反応が鈍いことに首を傾げながら、スカルたちに話しかけられたシュイは振り返り返事をする。シュイに触れていたエースの手が虚しく揺れて、一文字に結ぶ口元を隠すように肘をついて顎を乗せた。
エースはこの渦巻く気持ちに、どうすれば良いか分からなかった。
先日無事ドーマ海賊団を傘下に加えた白ひげ海賊団。その功労者であるエースとシュイはしばらく船内でよく話題になっていた。
特にエースの炎が揺らめくなか、その炎を一切恐れることなく毅然と戦闘するシュイの姿は印象的であったと噂されている。
ちょうど話題の中心である2人は食堂の同じテーブルに隣同士で昼食をとっていた。食事中よく寝てしまうエースだが、シュイが傍に居るからか黙々と食べるだけ。この2人が揃えば、自然と周りに元スペードクルーが集まって来て賑やかになっていく。
そこにスカルが上機嫌で食堂に入ってきて、エースのもとにスキップしながら近寄ってくる。どうやらスカルが良い情報を手に入れたようである。
「どうした、スカル」
「エースくんに一番に見てほしくてさ。あとシュイちゃんにも」
「わたしも?」
シュイとエースの間は避けてシュイの隣に座り、皆が注目するなかスカルはファイルから2枚の紙を取り出してテーブル上に置いて披露した。
その2枚は手配書で、『火拳のエース』『螢火(ほたるび)のシュイ』と書かれており、ふたり共賞金額が上がっている。
それを見たクルー達は歓声を上げた。エースは満面の笑みで同テーブルに座るクルー達とハイタッチしていく。周りが盛り上がるなかシュイは手配書に載る写真に釘付けだった。
写真の自分は薙刀を構えており周りにエースの炎と思われる欠片が映り、更に背後にエースの背中があった。隣のエースの手配書の写真には、エースの肩越しにシュイの後頭部と髪紐、それに薙刀の1部が写り込む。
これはドーマ海賊団の船長等と対峙したときのシーンだろう。あの時援護に来てくれたエースと背中合わせで闘っていたから。
まるで対になる様な写真に嬉しくて、シュイが口元を緩めて眺めていると、背後からふわりと馴染みの香りがして振り向いた。
シュイの後ろにイゾウ隊長が立っていた。気付いて振り向いたシュイに目を細め、そっと前髪を撫でてくれる。
会合が終わって食事を取りにきたようで、他にもサッチ隊長とビスタ隊長が一緒だ。食堂内で一際賑やかなこのテーブルに立ち寄ったのだろう。
サッチがテーブルにある手配書を覗き込み、シュイのが初版でないことに目を真ん丸にした。
「なに、シュイって賞金首だったの?」
「はい。何故か非戦闘員なのに手配書が出てしまって」
「前のってある?」
「いいえ、持ってませ「ありますよ」…え?」
横にいたスカルがファイルから1枚手配書を取出し、素早くサッチへ渡した。目の前で起きたことにぽやっと目で追い、ひと呼吸遅れてシュイは慌てて昔の手配書を奪い返そうと手を伸ばした。だが、サッチはさらりとシュイの手を躱しながら手配書を見る。
「やだ、見ないでください…っ」
「うひょー! 何これ、可愛いじゃん!」
「ほお…」
「よく撮れてるね」
そこには花束を抱えて微笑むシュイが写っていた。手配書らしくない写真に不釣り合いな賞金が書かれており、初見では正式な手配書だと信じられないだろう。
サッチはシェアして見ていた手配書をイゾウに渡したので、シュイは伸ばしていた手を渋々引っ込めた。イゾウは手配書から視線を上げて、シュイと目が合うと口元に笑みを浮かべた。嫌な予感がする。
「これ貰っても?」
「もちろんです。そちらのコピーで良ければ」
「新しいのも欲しいんだが」
「後でお持ちします」
「助かる」
イゾウはシュイの手配書を丸めて懐に優しく入れた。シュイはイゾウとスカルのやり取りから何かを察し、引き止めるようイゾウの袖を摘んだ。
「…イゾウ隊長、私の手配書2枚をどうするおつもりで?」
「決まってんだろ。隊室に貼る」
「16番隊は隊室に貼らない主義でしたよね」
「ああ。だがたった今、気が変わっちまったな」
「そんなぁ…」
隊長の急な意向変更に、シュイの眉は下がりっぱなしである。大した賞金額ではない自分の手配書が隊員に見られることに、恥ずかしい様な照れくさい様な心情は複雑だ。
そんなシュイに、イゾウは顔を寄せて耳元で囁いた。他には聞こえないように。
「可愛い部下を自慢したくなったんだ。許せよ」
イゾウはシュイの反応は予想済みだからか、言うだけ言って満足し自分の昼食を取りに行った。ビスタとサッチはシュイの反応に笑みを深めながら、イゾウに続いていく。
イゾウにしてやられたシュイは赤く染まった頬を隠すように、テーブルに突っ伏している。耳元であんな台詞を囁くなんて、反則過ぎる。
一方隣で一部終始見ていたエースは、何とも言えない表情でイゾウの背を見送っていた。テーブルに伏してしまった彼女と、置かれた手配書の凛々しい彼女、そしてエースの頭から消えない共戦したときの彼女。
こんな近くにいるはずなのに、自分が知るシュイがシュイじゃなくなっているような感覚だった。
エースは腕を伸ばして、そっとシュイの頬に触れてみた。先の戦闘で負った火傷の跡に触れられて、シュイはエースの方に視線を向け不思議そうに瞬きしてくれる。
それはスペード時代から変わらない、彼女が気を許した相手に見せる仕草である。けど、エースがいま求めた反応じゃなかった。
エースの反応が鈍いことに首を傾げながら、スカルたちに話しかけられたシュイは振り返り返事をする。シュイに触れていたエースの手が虚しく揺れて、一文字に結ぶ口元を隠すように肘をついて顎を乗せた。
エースはこの渦巻く気持ちに、どうすれば良いか分からなかった。