蘭嶺小説

「嶺ちゃん、お疲れ様」

「寿さん、お疲れ様です」

声がした方を見るとHAYATOとトキヤの二人(またの名を一ノ瀬ツインズとも言う)と廊下ですれ違ったところであった。

これから音楽番組の収録なのだろうか
二人はまだ衣装のままだった。

HAYATOは白でトキヤは黒の対の衣装が目を引いた。

「ハヤハヤ、トッキー、お疲れちゃーん☆じゃあ、まったねー♪」

何時もの調子でそう言うと二人に手を振りながら嶺二は歩き出す。

(ちょっと遅いけど今から行っても大丈夫かな…?)

駐車場に辿り着くと嶺二はレトロな緑色のボディの愛車へと乗り込んだ。


時暫くして、とあるアパートの一室の前に嶺二は居た。

コンコン。

「はい、どちらさんで?」

中から部屋の主の声がした。

「ぼくだよ」

一言だけそう告げる。

ガチャ。

目の前には驚いた表情の蘭丸が立って居る。

「嶺二…」

「てへっ、来ちゃった☆」

軽めにVサインを作ってウインクをしてみた。

そんな嶺二を呆れて蘭丸は見ていた。

「そんな所に居たんじゃ寒いだろ、早く中に入れ」

部屋の中に入り、コートを脱いでいた嶺二に蘭丸はコーヒーを差し出した。

「ほら、何時も通り砂糖とミルク一杯ずつ入ってるから」

「有難うランラン」

蘭丸の隣に座ると貰ったコーヒーを一口啜る。

「うん、とっても美味しい♪」

「それは良かったが、急にどうした?
来るなら携帯に連絡を寄越せばいいだろ」

「ごめんね、でも少しでも早くランランに逢いたかったから…」

「嶺二…」

そっと蘭丸は嶺二の顔に触れる。

すうっと嶺二は瞳を閉じた。

(ああ、やっぱりランランの声ってとても心地が良い…)

そう、その声が聞きたかった。

自分の名を呼ぶ少し掠れた低くて甘くて優しいその声が。

嶺二は何よりもその声が大好きだった。

出来るならずっと聞いていたい位に…。

「…嶺二?」

耳をすますとすーすーと微かに寝息が聞こえてくる。

どうやら疲れてそのまま眠ってしまった様だ。

「ったく、本当に何しに来たんだか…よく分かんねぇ奴だな」

蘭丸は溜め息を吐く。

そう言いながらもその顔はとても幸せそうだった。

「おやすみ、おれの天使」

嶺二をベッドに寝かせると蘭丸はそう呟いた。

今頃嶺二は一体どんな夢を見ているのだろうか、蘭丸もソファへ向かうと横になった。

(朝になったら弄り倒す)

そんな事を蘭丸が考えているとも知らずに嶺二は眠るのだった。
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