そんなこんなで私は米花町にやって来たのだ

『ここかぁ…想像してたより少し大きいかも…』

建物はあまり使われていなかったこともあってか思いの外綺麗なままだった
中には必要最低限の家具があっただけなので余計に広く見える

『これくらいスペースがあったらカフェだってできるよね!』

ずっと夢だった自分の店を持てるのだと思うと、準備も済んでいないのにもうドキドキしてしまう

親戚の手伝いもあって準備は滞りなく進んだ
メニュー自体はいつかの未来を想像して前々からある程度考えていたので特に問題はない
アレルギーの対策もバッチリである
しなければならないことはあと1つ
カフェ以外の飲食店いにおいても最も重要とされる料理の味だ
専門学校を出ているしそこそこ優秀な成績を取ってきたので自信はある
だがどれだけ成績が良くてもそれは学校内だけでの評価だ
不安が無いわけではない
しかしその不安を無くすには経験が必要だというのが現実である

『くよくよしてても仕方ないよね…!ずっと夢だったんだもの!』

持ち前の気丈さで立ち直り開店に向けての準備を済ませ、使わない家具を全て二階に運んで引っ越しの方も終わらせる

『はぁ〜…疲れた…けど、楽しみだなぁ〜』

明日食材などの買い出しを済ませたら開店はいよいよ翌日

期待に胸を高鳴らせながら菫は眠りに着いた