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新一とコナン⑤

私とコナン君は、警察署を後にした後…手を繋ぎながら私の家へ向かっていた。

「そっかあ、公園でみんなとサッカーしてたんだ。サッカー上手だもんね、コナン君。」
「うん!サッカー面白いよ!蘭ねーちゃんもやる?」
「う~ん。そうね…じゃあ今度一緒にやろっか?」
「うん!」

コナン君は目を輝かせながら、サッカーの事を楽しそうに話していた。サッカーボールを警察署に置いてきてしまったけど、きっと新一が持って帰ってきてくれるかな?なんて…私は密かに思いながら、隣のコナン君を見ると…眠いのを我慢して歩いていた。

「そうだ!コナン君、今日電車に乗って帰ろうか??」
「え?」
「着くまで寝ててもいいし…ね?そうしよ?」
「うん!電車乗る!」

その言葉に納得した私は、コナン君を連れて近くの駅へ向かった。

コナン君と一緒に切符を買って、改札口を通るとコナン君は嬉しそうに走り出した。

「あ、コナン君…危ないよ?」
「大丈夫!」
「コナン君、電車くるから下がっていようね?」

そう言って、コナン君がどこか行かないように手をしっかり握って電車を待っていた。

「もう来る?」
「もうちょっとで来るわよ」

コナン君は私の手を握って、電車が来る方向をずっと見ていた。

「きた!」

しばらくすると、大きな音を立てて電車がやって来た。ドアが開くと嬉しそうに飛び乗るコナン君を追いかけて、私は慌てながらコナン君に手を引っ張られるように飛び乗る。

「蘭ねーちゃん!空いてるよ!」

帰宅ラッシュは去り、車内の人はまばらになっていた。コナン君と一緒にに真ん中の席に座る。

「コナン君、電車は久しぶり?」
「うん!前に兄ちゃんと乗ったことあるよ!でも、最近あんまり乗らない。」
「そうなんだ…」

私の隣で大人しく座りながら話してるコナン君を見て、私はそっと質問した。

「ねえ、コナン君はお兄ちゃんの事好き?」
「好きー!」

その質問に、コナン君は満面の笑顔を浮かべながら即答した。

「でも、時々口煩い時あるよ!でも、兄ちゃん優しいから。」
「そっか。」

その答えに、新一もちゃんとお兄ちゃんやってるんだと、その答えを聞いてコナン君に笑みを送った。

しばらくして、電車の揺れにウトウトし始めたコナン君に私は声を掛ける。

「コナン君、着くまで寝てていいわよ。起こしてあげるから…」

そう言うと、目を擦りながら…私の膝に倒れ込む様に身体を預けてコナン君はすやすや眠っていった。

3駅ほど過ぎてもうすぐ降りる駅に差し掛かった時、私の膝で眠っているコナン君を起こそうと試みるけど中々目を覚ましてはくれなかった。

仕方なく、私はコナン君を背負って家へ目指した。

少し遅くなった帰宅に、お父さんが心配してるんじゃないかと思いながら、3階の自宅へ入ると案の定お父さんはやきもきしながら私の帰りを待っている所だった。

「おい、蘭…どこ行ってたんだ?心配したぞ~」
「ごめんなさい…ちょっと新一に頼まれちゃって…」

そう言って、私の背の上で眠っているコナン君を見るお父さんは、読んでいた新聞をたたみ珍しい来訪に目を丸くしていた。

「なんだ?新一の弟か?」
「そうなの。新一まだ警察から帰れなくて…私がそれまで預かる事になって…ほら、新一の両親今仕事で海外行ってるからコナン君一人になっちゃうんだもん…それまでいいでしょ?お父さん…」
「ああ、まあしゃーねーか。」

そう納得してくれたお父さんに、私は安心して夕食の支度をする間にコナン君を居間に寝かせた。

「じゃあ、お父さん。夕食の支度してくるから少しだけコナン君見ててくれる?」
「あ、ああ…」

お父さんはそう言って少し気まずそうに返事をすると再び新聞を広げながら、コナン君をチラチラと時々見ていてくれた。

「お待たせ~」

夕食の準備が整い、お盆に乗せてテーブルに食事を運び終わると、未だ眠っているコナン君を起こした。

まだ眠いらしく、両手で目を擦りながらやっと起きると、コナン君はぼっーとしながらキョロキョロして私の顔を覗き込みながら聞く。

「蘭ねーちゃん…ここどこ?」
「私の家よ…新一の用事が終わるまでここで待っていようね…」
「うん。」

そう話す私の背後に映るお父さんを視界に入れると…コナン君は目をぱちぱちしてお父さんを凝視していた。

「お父さんと前に会ったことあるでしょ?忘れちゃった?」
「え!?」
「ほらー、私と新一の高校の入学式の時に…でも、コナン君4歳の時だったから、覚えてないかな?」
「う、うん…」

そう説明するけど、相変わらずコナン君は不思議な表情をさせたままで、お父さんと会ったことなんて覚えていない様子だった。

「まー、とりあえず新一が迎えに来るまで食ってろ!残んじゃねーぞ?」

そう言って、お父さんに声を掛けられるとコナン君は黙って頷いて私が渡した箸を笑顔で受け取っていた。頂きますと言って、食事が進むに連れてコナン君をチラチラ見ながらお父さんは問いかける。

「お前…好き嫌いあんのか?」

そう質問するお父さんの言葉に、コナン君はただ頭を横に振りながらお父さんの質問におどおどしながら答えているだけだった。

そのコナン君の態度がカンに障ったのか…ムッとしてコナン君に文句を言い放っていた。

「何か言えねーのか?」
「え!?」

お父さんの問いにびっくりしながらコナン君は食べていた箸が突然止まる。見兼ねた私はコナン君を庇うようにお父さんに言葉を投げた。

「もうっ、お父さん!そんな言い方しなくていいでしょ?コナン君怖がってるじゃない…」
「おらー、普通に聞いただけだろうが。」
「言い方って物があるでしょ?」
「……」
「ふんっ」
「大丈夫よ、コナン君。食べられるだけ食べてくれればいいから。」
「うん!」

私の言葉にホッとしたのか…コナン君は私の投げかけた言葉に満面の笑みで返事をしていた。

しばらくすると…階段の下から足音が聞こえてハッとする。

「きっとお兄ちゃんよ?」

その言葉にコナン君はほっとした様に安堵の表情を浮かばせて玄関口へ視線を移した。
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