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新一とコナン⑤

「おーい!コナン、そろそろ帰ろうぜ!」

俺は、学校の帰り道…公園でサッカーして遊んでるコナンを発見して声を掛けた。

「あ、兄ちゃん!」

光彦君から飛んできたサッカーボールが丁度回ってきた所で、コナンは一度ボールを手に持ちながら俺に気づいて振り向いていた。

「ちょっと待って!」

コナンは帰る前にゴールしようと思ったのか、再びボールを蹴りながら走り出した。

ゴール前にいる元太君を避けて上手くシュートを決めたのを見て、俺はコナンに近寄り頭を撫でながらコナンに声を掛けた。

「やったな!」
「うん!」
「帰ろうぜ?」
「うん!じゃあね、皆!」

コナンの言葉に元太君達はバイバイと大きく手を振り別方向へ帰宅して行った。

「ずっと、サッカーしてたのか?」
「うん!」

コナンは俺の隣でサッカーボールを手に持ちながらニコニコしていた。そういえば、俺も1年の時はサッカーやっていたんだったな…と、しんみりと思い出しているとコナンから質問を投げかけられた。

「蘭ねーちゃんは?」
「蘭はまだ部活だよ」
「そっか……ねえ、兄ちゃん…何でサッカー辞めちゃったの?」

コナンはそう悲しげ言うと、手に持っていたサッカーボールを見つめていた。

「また蘭ねーちゃんと一緒に兄ちゃんのサッカーの応援行きたかったのに…」
「前も言ったろ?サッカーが嫌になった訳じゃないんだ…探偵に必要な運動神経付ける為にやってただけだって。」
「何で必要なのー?」
「犯人に逃げられた時、捕まえられるだろ?」
「ふーん。でも危ないよ?」
「いいんだよ、そんな事お前が心配しなくても…」

そんな会話をしていると、コナンはハッと思い出した様に口を開く。

「でもそっかあ…兄ちゃんは探偵が部活みたいな物だもんね!」
「え?」
「だって…前にお母さんがそう言ってたもん。兄ちゃんの部活は探偵だって!」
「え?母さんが?」
「うん!」

それを聞いた俺はコナンに何を言ってたんだと思いながら、母さんに呆れていた。

そんな会話をはぐらかす様に、俺はコナンに夕食の相談を持ち掛けた。

「コナン、夕食何にする?今日はファミレスでいいか?」
「えー?また外食~?」
「しょうがねーだろ?二人とも外国行ってんだから…明日には帰ってくるよ。」
「お母さんのご飯が食べたいな…」

いつもは外食って言うと喜ぶくせに…父さん達が外国に行ってる間は必然的にいつも外食になる事で、両親への寂しさが芽生えているんだろうとコナンを見つめながら思っていた。

「今日まで母さん達いねーんだから、我慢しろよ…」
「わかったよ…」

そう言い聞かせると、コナンは仕方なく頷いていた。

そんな時、俺の携帯が勢い良く鳴り出した。

「もしもし?」

そう応答して出ると、電話の相手は目暮警部だった。この間の事件の事をもう少し詳しく聞きたいと、俺に電話を掛けてきたようだ。

今すぐにでも行きたい俺だったが、俺の隣で心配そうに俺の顔を見つめるコナンの事が気がかりで直ぐには返事が出来なかった。

そう思っている時、そうか。阿笠博士に預かって貰えばいいかと、俺の脳裏に提案が過ぎった。

そう思った俺は、考えるよりも早く目暮警部に返事をしていた。

「大丈夫です。じゃあ、直ぐに行きます」

その言葉にコナンが困った顔をさせていた事は、直ぐに理解し、コナンに謝りながらいい聞かせた。

「ごめん、コナン。兄ちゃん今から警察に行かなきゃなんねーんだ。だから、今日お前は兄ちゃんの用が終わるまで阿笠博士んちに…」
「僕も行く!」

俺が言い終わる前にコナンは言い放っていた。

「警察に行くんだよ、遊びじゃないんだぞ?」
「知ってるよ!僕も警察いく!大人しくしてるから!」
「しょうがねーな…」

俺は、コナンと目線を合わせながら、言い聞かせていたが、どうしても行くと言って聞かないコナンを連れて、俺は米花警察署に向かった。

着くと、目暮警部が俺達を出迎えてくれたのだが、俺の顔を見る目暮警部の視線が段々と下の方へ下がっていき、コナンに留まった。

「あ、すいません。どうしても行くって聞かなくて…少しだけこいつもいいですか?」
「ああ、構わんよ。コナン君、お兄ちゃんと大事な話があるから…終わるまで大人しくしてるんだよ?」
「うん!」

目暮警部の言葉にコナンは元気よく返事を返していた。

その後、俺達は小さな会議室の様な部屋に通され…四人がけのテーブルに座り、コナンを横に置いてこの間の事件の話は始まった。

事件現場の資料を元に、俺は目暮警部と事件の事を話している時…目暮警部の会話が止まり、コナンに視線を移された。

難しい話を横でされて、眠くなったのだろう。コナンは俺の隣でうとうとし始めていた。

「コナン、眠いのか?」
「ううん。大丈夫!」

そう声を掛けると一瞬起きるのだが、直ぐにうとうとは再開する。仕方なく、コナンを椅子から引き離し…長椅子に寝かせ、話が終わるまで待ってろと言って目暮警部との話は再開した。

だが、やはりコナンの事が心配になって来た俺は…ある人物へ委ねる事にした。

「あ、蘭か?実はコナンの事で頼みがあるんだけどさ…」

そう切り出して、俺は蘭に事情を話すと丁度近くにいる所で、すぐ来てくれるらしい。蘭を待つ間…俺は、コナンが大人しく寝てるのを見て安心し、警部との話を再開した。

しばらくして、コンコンとノックをする音がした瞬間に扉が開き、蘭が顔を覗かせた。

「蘭!悪いな…ずっとサッカーして遊んでたみたいで疲れたんだと思うんだ…終わったらすぐ迎えに行くから、それまで…」
「分かった。大丈夫よ!家で預かっておくから、新一は心配しないで。」
「悪いな…」

快く引き受けてくれた蘭に礼をいい、コナンを起こすと眠そうに目を擦るコナンだったが、蘭が迎えに来た事を知って嬉しそうに立ち上がった。

「じゃあ、私の家でコナン君と一緒に待ってるから。」
「おう、悪いな。」
「いいのよ、じゃあ目暮警部…失礼します。」
「ああ。気をつけて帰るんだぞ?」
「じゃあね~」

そう言って、コナンは蘭の手を握りながら一緒に会議室を出ていった。

単純な奴だな…と、俺はコナンを見て思いながら、やっと事件の話を進められると思い、目暮警部と一緒に椅子に腰掛けた。

それから、1時間近く…目暮警部と事件の概要をこと細かく話していた。

話がひと段落ついた頃、蘭の家で待ってるだろうコナンを迎えに行く為、目暮警部に挨拶もそこそこにやっと警察署を後にした時にはすっかり日も暮れていた。
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