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新一とコナン④

カレー屋に着くまでの道を服部と新一は事件の事を話しながら歩いていく。その前を和葉に手を引かれながらコナンはニコニコしながら歩いていた。

「そうなんや~、コナンくんって言うんやね~?」
「うん!新一兄ちゃんが付けてくれたんだ~」
「へ~、面白い名前付けてもろたね~」

そう話しながら、前を歩く和葉の言葉を聞きながら、言葉が詰まる新一。悪気はないのだが、改めて言われると変わった名前を付けたことにコナンに対して罪悪感が芽生える。

隣にいる服部はそれを聞いて新一の肩を小突きながら言う。

「おい、工藤~言われとんぞ」

そう言いながら、ニヤニヤする服部に…"いや~"といいながら、自分の頬を掻きながら苦笑いを浮かべていた。

「うち、何か変な事言うた?」

和葉は不思議になりながら服部と新一の方へ振り向くと、服部は呆れながら言い放った。

「もうええから、お前はそのガキと話しとけ」
「もう、なんなん…」

しばらく各々談笑しながら歩いていると、カレー屋に近づいたのか、コナンが和葉の手を引いて急に走り出した。

「ちょー、コナン君?」
「あそこだよ!カレー屋さん!」

そう言って、コナンが指さす方向の先に行列を作るカレー屋にギョッとする。

「おい、ちょー待ちーや…ぎょーさん並んどるやんけ」
「あー、あそこ結構人気あるから…」

服部の面食らった言葉に、新一が説明すると服部は怠そうに和葉に言う。

「無しや、無しや!あんなん待たれへん別のとこ食いいこや」
「いやや!おばちゃんらに頼まれてんねんから…ここやないとあかんもん」
「せやけど、こないな行列待っとったらいつ順番くるか分からへんで?」
「せやけど…」

服部と和葉の二人が言い争いをしていると、話を聞いていたコナンがぽつりと提案した。

「じゃあさ、蘭ねーちゃん呼べば?」
「蘭ねーちゃん?」
「あー、蘭っていうのは…」

そう言いかけた新一だったが、それを遮ってコナンが言う。

「新一兄ちゃんの恋人さん!」

その言葉に慌てる新一は、コナンを宥めるように言い聞かせた。

「コナン!違うだろ、幼馴染みだよ、幼馴染み…何回も説明しただろ…まったく。」
「でも、蘭ねーちゃんも一緒に皆で待ってた方が楽しいよ、きっと!」

その提案に服部は、唖然…諦めたように口を開いた。

「しゃーないな、そんじゃ、その蘭ねーちゃんちゅーねーちゃんここに呼んで皆で待とか?」
「やったー!」

そう声を上げるコナンに、一同は微笑むと行列に並んだ。

少しして、新一が呼んだ蘭が駆け寄ってくる。コナンはそれを発見して、"蘭ねーちゃん!"と蘭を迎えに行き、蘭の手を引き連れて合流場所へ戻ってきた。

「すいません…」

新一達の後ろに並んでいたお客さんに申し訳なさそうに挨拶をしながら一緒に並ぶ蘭。

「もー、いきなり呼び出すんだもん。びっくりしちゃった…」
「あー、わりーわりー。コナンがどうしてもお前を呼べって言うからさ…」
「あらー、本当~?」
「うん!」

そんなコナンに嬉しそうにしながら、蘭は見知らぬ二人が自分を見てるのを目にし不思議な顔をして立っていた。

「あ、蘭…こいつ服部平次で、一緒に来た遠山和葉ちゃん。」
「恋人同士~」

蘭に説明終わると同時にコナンは下の方から指を指して、ニコニコと笑顔で言う。そのコナンの言葉に、蘭は笑顔で胸の前で手を合わせると喜ぶ様に言った。

「へー、そうなんですか~」

その蘭の笑顔に二人は慌てて各々否定していた。

「ちゃうちゃう、何言うてんねん」
「せやせや、うちと平次が恋人同士かて、ありえへんって…」
「違うんですか!?」
「こんガキが勝手な事言うとんねん、ホンマにもう…ずっと恋人同士、恋人同士連呼しよって…」

そう文句を言う服部に、新一は不思議に思いもしかしたら…と口にする。

「もしかしたら、父さんと母さんに入れ知恵されたな?父さんの小説でも読んだんだろ?」

そう聞く新一に、コナンは首をぶんぶん振っていたが、態度はあからさまだったので、当たりだな。と新一は心の中で思っていた。

「工藤君のご両親、小説家やったんかー凄いなぁ~」
「ああ、親父がな。まあ、その代わり今日は締切間近で二人とも書斎に閉じこもってるけどな。父さんなんか話し掛けても声なんて届いてなかったぜ…」

はははっといつもの事だといいながら、笑いながら話す新一に、気難しそうな両親だと想像を浮かべた和葉は苦笑いを浮かべながらぽつりと言う。

「そりゃ、大変やな…」

その後もコナンを交えて、新一蘭、服部と和葉は色々と事件の事等を話しながらまだかまだかと、順番を待っていた。その間コナンは蘭の手をコナンの両手で握りしめていた。

「お待たせ致しました。何名様ですか!?」
「5名!」

ついに順番が来て、新一達が呼ばれる。店員さんから人数を聞かれ、答えようとすると先にコナンが片手で5と示して答えていた。

「お前はいいんだよ、あ、すいません。五人で!」
「はい。」

新一がそう答えると店員さんはコナンを見ながら笑って席に案内してくれた。

「それでは、ご注文お決まりになりましたらそちらのボタンでお呼びください」
「はい」
「失礼します」
「バイバイ」

余計な事をしない様にコナンは新一と蘭の間に挟んで座らせたが、それは無駄だと新一は呆れていた。
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