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☆四周年小説꙳★*゚本当に戻るべき選択☆

そして、数日後……。

「新一~遅れるよ~!」
「わ~ってるよ~」

新一を迎えに来た蘭はまだ出てこない新一に呼び掛けていた。工藤邸に響く蘭の声を聞いて、返事をしながらバタバタと掛けてくる新一に、蘭は呆れながら待っていてくれた。

「わりぃ、わりぃ…」
「もう、いっつも遅いんだから…」
「しゃーねーだろ、父さんも母さんも外国に行ってていねーし、一人で色々大変なんだからさ」
「どうせ、遅くまで推理小説でも読んでたんでしょ?」
「え!?ま、まあ…」
「本当、コナン君とそっくりなんだから…」
「え!?」

学校までの道を歩きながら、蘭はついこの間まで弟の様に可愛がっていたその名前を口にする。

「コナン君、元気かな?突然外国の両親の所へ行く事になってびっくりしちゃったけど、あの子思い出すと新一と似てるとこ沢山あったんだよね!」
「そ、そうか?」
「でも、元気でやってるなら…いいな。」

蘭は哀しげな寂しそうな表情を浮かべてポツリ呟く。

「元気でやってるさ!」
「そうよね…」

新一の言葉に笑顔を返す蘭はコナンが居なくなったことに少しづつ立ち直ろうとしていた。半年以上も一緒に暮らしていた弟の様なコナンが突然居なくなってしまった寂しさは、これからは…きっと新一が拭ってくれる。

やっと訪れた平和な生活だけど、コナンでいた頃に出会った人達全て途切れた訳では無い。少なからずコナンがいた事は、今まで関わってきた人達がよく知っていた。






居なくなってしまった小さな探偵の事を時より思い出す人達の中で…新一の姿に戻ってしまった今でも、コナンはこうして存在している事を現していた。

そして、新一が元に戻れた事を外国にいる優作と有希子に報告すると、何よりも喜んでくれていた。テレビで大事件として放送されたのを知ってはいたが、直接…息子から聞いた事で、やっと解決出来たのだと自覚出来たのだった。

「本当、よかった~新ちゃんが元の身体に戻って~でも、小さくなって可愛かったけどね~」
「新一…これに懲りて、あまり危ない事に首突っ込むんじゃないぞ?今度こそ、死ぬかも知れないのだからな?」
「分かってるよ」

遠く離れて暮らしていても、やっぱりたったひとりの息子の事は、心配で堪らなかった。でもこうして、事件も解決し…息子の身体も元に戻って、やっと安堵する日々を待ち望んでいたのは確かだった。


そして…。

「よっ!」
「確かに、貴方の言う通り…戻れたわよ。今の所、問題ないわね…」

灰原も元に戻り、その姿を新一にさらけ出して見せた。

「よかったな」

新一は、その姿を目の前に笑みを送る。灰原も宮野志保に戻り、これからの人生をこの街で歩んでいく……。この街を出ていくと言った灰原を…志保を…博士も新一も止めた。

そして、博士と一緒にこの家で住んで行く事を決めたのだった。

「わしはいつまで居てくれてもいいんじゃ!哀く…いや、志保君がそれで良ければの~」
「こういってんだから、甘えとけよ!」

二人のお節介にも似た優しさを感じ…志保として、この街で生きて行く決心をした。それに、きっとこの街を出ていった所で、この探偵さんにかかれば…悪魔的に長けた頭脳で探し出し、必ず見つけだし逃げきれないだろう。そんな事を思っていた。

長い戦いの末に出した結果を肝に銘じて…もう戻りたくても戻れない子供の姿で過ごした生活を時より思い出して笑みを浮かべる志保の心は…コナンを含めた少年探偵団が救ってくれた。






ひとりじゃないと教えてくれた友達に…姿形は変わっても、あの頃の気持ちはいつまでも心の中に宿っている想い出は…あの子達が大人になっても消えないだろう。

そして、今日も…米花町の事件現場に遭遇し、新一と一緒に少年探偵団はあーだこーだと殺人事件の捜査に携わっていた……。


☆四周年小説(本当に戻るべき選択)☆

~完~蘭ran
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