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新一とコナン④

翌朝……。

昨夜、車の中で寝入ってしまったコナンは新一の手によってベッドへ運ばれていた。

コナンが目を覚ますと視界の先には新一の姿があった。

「よっ、コナンおはよう!大丈夫か?」
「に、兄ちゃん…」

まだ頭がハッキリしてないコナンに新一はもう一度声を掛ける。

「昨日の事、覚えてるか?」
「昨日……?あ!」

そう言われ、思い出すと同時にガバッと布団から起き上がるコナン。

「兄ちゃん、昨日……」
「ほい!」

言いかけたコナンの手に探偵バッヂを渡す新一。

「もう、忘れちゃダメだぞ?」
「う、うん…兄ちゃん……ごめんね!」
「もういいから!」

そういうと、コナンの頭を撫でる新一の態度でコナンは見透かされてるような気がしてその後何も言えなかった。

「今度置いてったら、許さないぞ!」
「え?知ってたの?」
「やっぱな…」

コナンはしまったと言わんばかりに顔を伏せた。

「今回は運良く見つけられたけど、もしこれがなかったらコナンを見つけられないぞ!」
「うん、分かったよ」
「ま、声も元に戻ってるみたいだから、よかったな!さ、飯にしようぜ!」
「うん!」

ゆっくりベッドを降りるコナンは新一を見上げると照れくさそうに言った。

「新一兄ちゃん!僕を見つけてくれてありがとう!」
「えっ…」

コナンにそんな事を言われ、目を丸くする新一はコナンに目線を合わせると頭を撫でながら言った。

「何言ってるんだよ、俺はコナンの兄ちゃんなんだから、そんな事当たり前だろ?何かあったら、絶対兄ちゃんが見つけてやるから安心しろ!」
「うん!」
「でも、これは絶対に置いてっちゃいけない!分かったな?」
「うん、分かった!」

素直に返事するコナンに、新一は微笑んだ。

リビングに行くと、元気そうなコナンを優作と有希子は出迎えた。

元通り声の戻ったコナンの口から出る言葉に2人共ニコニコしていた。


その後、食事を済ませた後新一とコナンは阿笠博士の家へ向かった。

玄関を開けると、そこにはコナンが心配で来ていた少年探偵団達がいた。

「「コナンくーん!」」
「みんな!」

コナンの元気そうな登場に側に駆け寄る少年探偵団達。それとは逆にコナンは目を大きく見開いて
いた。

「声元に戻ったんですねー」
「うん、もうすっかり!」
「よかった~」

元気になったコナンと笑顔で話す子供達を見て、新一はホッとする。

「それよりごめんな、せっかくのキャンプだったのにさ…」
「何言ってるのよ、キャンプなんかまたいつでも行けるわ…あなた、危なかったのよ!」
「そうですよ~」
「また行こうね、キャンプ!」
「え……?」

怖い思いをしたコナンは、そう問いかけられて緊張が走る。

「行くよな?コナン!」

問答無用に元太に聞かれ、一瞬固まるコナンだったけど、次の瞬間には笑って返事をしていた。

「う、うん!」

それを見かねた新一は、子供達に声を掛ける。

「でも、キャンプは少し間を置こう。大変な想いしたんだし、しばらくしてら行ってやってな!」
「「はーい」」

心配する新一をよそに、コナンは言う。

「心配いらないよ、兄ちゃん……僕大丈夫!」
「え?いや、でもな…」
「大丈夫だよ!」

力強いコナンの言葉に新一はそれ以上何も言えなかった。

「コナンくん、またキャンプ行きたいか?」
「うん!」
「そうか、じゃあまた皆で行こうかの~」

阿笠博士の言葉に嬉しそうに子供達は笑っていた。

「その代わり、今度探偵バッヂ忘れて行ったら、私工藤君と話してあげないんだから!」
「えー?なんでだよー」
「話して貰いたかったら忘れないようにね!」
「分かったよ…」

灰原の言葉に困りながら返事するコナン。

そんな2人を見守る様にニコニコ見つめる阿笠博士一同は、次のキャンプの計画を決めるのであった。




そして、2週間後の日曜日。

阿笠低に集まる少年探偵団と阿笠博士や哀、そして新一とコナン。

今度こそ、楽しいキャンプで終えれる様に今度は新一も見送る為、集まっていた。

「よし!」

そう言って、コナンの服に探偵バッヂを付ける新一。

「無くすなよ!」
「うん!」
「気をつけて行ってこいよ!」
「分かってるよ」

前回の事があったからか、心配で堪らない新一に哀は呆れながら言う。

「過保護よ、お兄さん!」
「あ、じゃあよろしくな!灰原さん!みんなも!」
「ええ……」
「まっかせてください!」

そして、阿笠博士の運転する車はキャンプ場へ走り出した。

今度こそ、笑って帰って来れるような……。

楽しいキャンプをする為に。
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