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新一とコナン④

皆でテントの場所へ戻るとコナンはテントの中に座らせ、待ってろと言うと新一は外に出た。

「ああ、コナンは無事に見つかったよ!怪我もないし大丈夫!」

キャンプ場の駐車場で待っている優作と有希子に電話する新一。

事情を説明する為電話を掛けていた。

「だけど、コナンの奴落ちた所から叫んでたらしくて、喉痛めてるらしいからこのまま帰る事になったんだ…だから、テント片付けるの手伝ったらそっち戻るから、もう少し待っててよ」
「分かった!気をつけて戻るんだぞ」
「ああ、分かった」

電話を切ると、テントの中で休んでるコナンに顔を覗かせた。

「コナン、父さんと母さんが駐車場で待ってるからテント片付けたら帰るぞ!」

そう声を掛けると、コナンはコクリと首を振るとゆっくり立ち上がった。

それを聞いていた博士は新一に言う。

「新一、テントはワシらで片付けて帰るから君らはこのまま帰りなさい」
「いや、でも……」
「大丈夫よ、後はやっておくから!今日は色々あって大変だったんだから、早く帰って休ませてあげてください」
「後は俺らがやっとくからよ」
「任せてください」
「コナンくん、元気になったらまた会おうね!まったねー!」

阿笠博士や少年探偵団の言葉に甘え、そのまま帰ることになった。

「じゃ、悪いな博士!みんなも、ありがとな!後は任せたからな」
「「はーい」」

そう言って、新一はコナンの手を引きながら優作有希子の待つ車へ向かった。

「大変だったな、コナン…」
「にっ…ケホケホッ」
「声出るようになったら喋ればいいから、今は無理しなくていいんだぞ」

そんな事を話しながら車に向かっていくと、2人の姿を見つけた有希子が駆け寄ってくる。

「コナーンちゃん!大丈夫??大変だったわねー」

駆け寄った有希子の顔を見るコナンは、テントに戻ってから涙を我慢していたのが一気に湧き上がって来たのか、瞳を潤せた。

ガバッと、有希子に顔を埋め身体を震わしていた。

「無事で良かったわ、コナンちゃん!さあ、帰りましょう……」

有希子はコナンを抱き上げて後部座席に、新一は助手席に乗り込み、帰路に着くことになった。

父さんはバックミラー越しにコナンに声を掛ける。

「コナン、大丈夫か?」

優作の問いにコクンと頷くと父さんは微笑みもう一度声をかける。

「着くまでしばらく時間掛かる…今日は色々あって大変だっただろう?着くまで寝てなさい!」

有希子の隣で涙を拭うコナンは優作の掛ける言葉に再度コクンと頷いた。

車はゆっくりと発進し、だいぶ日の暮れた夜の道を静かに進んでいく。

車の中は無言の空間の中で、疲れ切ったコナンの身体はいつの間にか有希子の膝の上に倒れかかっていた。

有希子はそんなコナンの身体を包むかのように、ブランケットを掛けるとコナンの背中に手を当てながら、一緒に眠りについた。

外を眺めていた新一は後部座席を見るといつの間にか寝入っていた2人に目を向けるとフッと笑みを浮かべた。

「ただのキャンプがこんな事になるとはな…」
「ん?、まあー無事に見つかっただけでもよかったと思わなきゃ」
「しかし、随分早く見つけたな…もう少し掛かると思っていたんだが」
「ああ、それは……」

優作に問いかけられ、数時間前の事を思い出す。

「コナンの声が聞こえた気がしたんだ……あの時……そしたら、あれにつまづいて」
「そうか……見つけた時、コナンはどうしてた?」

新一はあの時のコナンの顔を脳裏に思い出しながら言った。

「抜け出せずに泣いてると思ってたんだよ、見つけるまで…だけど…………見つけた時、枯れて声は出せなかったけど、助かりたい一心でこっちに手を差し伸べていた。何とか抜け出そうと縋(すが)ってくるような…」

そこまでいうと微笑み再度口を開ける。

「きっと、自分で何とかしようとしてんだろうぜ?ずっと俺達に頼ってばかりだから、たまには俺達の手を掛けまいと、自分で…探偵バッヂもしかしたらわざと忘れてったのかもしれないしな!」
「なるほどな……母さんの顔を見るまで泣いてなかったから、どうしたものかと思っていたんだ。それには、そういう理由があったのか……」
「多分な……」

新一は、再び窓の外を見つめると呟いた…。

「コナンもきっと、成長しようとしてるんだよ…コナンなりにな」

もう時期、車は工藤邸に到着する。

眠ったままのコナンと有希子を揺らしながら、色々あった一日の終止符を打って。
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