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✩.*˚警察官は苦悩の連続✩.*˚

目暮警部からそれぞれ事件の概要の話を聞き、互いに報告し合う緊迫な雰囲気に終始緊張は収まらなかった。それぞれがメモを取りながら報告をし合ってるのを聞いて、警察学校時代を思い出す。

僕も必死で高木刑事の横でメモを取りながら、今日行く現場の状況に耳を傾けていた。

2時間にも及ぶ捜査会議が終わった後、各部署に分かれてミーティングするという事で小さめな会議室へ案内された。そこでやっと僕は一息着くことが出来て、高木刑事がコーヒーを前に置いてくれる。

「ありがとうございます」
「緊張したでしょ?その内慣れるよ」

そう言われて、僕は苦笑いを浮かべていた。置かれたコーヒーを1口飲むとあまりの苦さに咳き込んでしまい、余計に高木刑事に心配された。

「大丈夫かい?ちょっと苦かったかな??」
「あ、いえ。コーヒー飲むの久しぶりで…」
「普段コーヒー飲まないのかい?」
「普段はココアを…」

僕がそう言うと、高木刑事はクスッと笑って可愛いんだね~と言ってきた。

「兄弟と言っても、違う所は違うんだね~」

と、高木刑事は僕を見て納得しながら席に着くと、同じ課の一緒に動く人達もぞろぞろ入って来て、高木刑事を筆頭にミーティングは始まった。

高木刑事は近日に起きた殺人事件を担当していて、今日はその聞き込みに行くのが初めの仕事だった。

「米花町は殺人事件が多いからね」

まだ何も分かってない僕にそっと教えてくれる。現場検証と聞き込み等に分かれ、僕は高木刑事について聞き込みに向かった。最初は聞き込みの仕方だけ見ておくように言われ、僕は高木刑事の後ろから近隣の家を回って手際よく聞き込みをしている高木刑事に圧倒されていた。

僕はこんな風に聞ける様になるのかと不安になっていた。少し人見知りな所もあるのは自分でも理解している。そんな僕が…。でも、交番勤務をしていて少しは解消出来たと自負しているけど、まだ人に声をかける時は少し緊張気味な部分がある。

聞き込みが終わり、高木刑事と肩を並べて車へ戻る途中…高木刑事から質問された。

「コナン君、今の聞き込み聞いてどう思った??」
「え?あ、凄く上手く聞き出せていて、凄いと思いました。」
「え?」
「え?」

高木刑事の反応に、何かおかしな事を言ったのか不思議に思っていると、高木刑事はクスリと笑い訂正しながらもう一度聞いてくる。

「聞き込みの仕方じゃなくて、内容だよ。さっきの3人の聞き込み聞いてどう思ったのかなって、君の意見を聞きたくてね…」

それを聞いて僕はとんだ勘違いをしていた事に、恥ずかしくなり慌てた様に多少早口になって言った。

「事件当時、悲鳴や衝撃音で近隣中大騒ぎだったじゃないですか、だから…二人目の証言で何も聞いてないと言うのはおかしいかなと。寝ていたと言っても、一人目、三人目の方も寝ていたけど音にびっくりして起きて見に行ったと証言してましたし、その後のヘッドフォン付けて寝ていたという証言も後付けの様な気がして…だから、一番怪しいのは二人目なんじゃないかと。」

僕はあまり断言は出来ないけど、今は自分の意見を率直に話すのが一番かと思い…合ってるのか不安はあれど、しっかりと話した。

「そうだね」

そう言って高木刑事は僕の意見に賛同してくれる。

「じゃあ何でそんな嘘を付いたのかな?」
「それは、家にいなかったから?事件があった事を知っていたけど、悲鳴や激しい衝撃音等はその場にいないと分からないんじゃないかなと…だから、手っ取り早く寝ていたと逃れた?」
「うん。よく聞いていたんだね…今の証言を元に矛盾点を見つけたら、次は証拠だ。逃れない証拠を見つけて、家に居なかった事実を突き付け、家に居なかったとしたら、なぜ居なかったのか!?何処へ行っていたのかを探って、二人目の人に自白させよう。」
「はい!」
「きっと、犯人に繋がる何かが出てくると思うよ。捜査を撹乱していたのかもしれないしね」
「はい、そうですね」

僕はそう返事をして、高木刑事と一緒に車に乗り込み警視庁へ戻った。

遅めの昼食を摂りながら警視庁に戻ると雑用や、人手不足の事件があると出動しなくてはいけなかった。そして、雑用にひと段落着いた頃、高木刑事に呼ばれ、再び聞き込みに向かう。今度は近隣の人ではなく、二人目の男があの日、何処へ出掛けていたのかを探る為に。

この日、あの男を尾行して探ろうとしたが巻かれてしまい…これ以上の追跡は不可能となり、捜査資料をまとめる為警視庁に帰ってきたのは0時を回っていた。




そろそろ帰りたいと思っていると、高木刑事がやって来てそれが終わったら今日は帰っていいよと言われ、安心するのも束の間…目の前には整理しないと行けない資料が山積みに。

思った以上にスパルタな高木刑事に助けを求めても無駄だと察し、僕は早く帰る為に目の前の資料を少しつづ片付けていった。



「ただいま。」

帰る頃には、皆が寝静まった深夜2時を超えていて、僕は静かに帰宅した。

「あ、お疲れ様」
「ごめん、起こしちゃった?」

僕は手早くシャワーを済ませ寝室に行くと、哀はむくりと起き上がり僕の帰宅を迎えてくれた。

「ううん。どうだった??刑事課は…」
「あ、うん。思った以上に大変だったよ。でも、高木刑事が居てくれたから何とかやれたよ。」
「そう。でも、無理しちゃダメよ?」
「うん。寝る時間少ないからもう寝るね!」
「ええ。おやすみ」
「おやすみ」

僕は家の事何もしてやれず、哀に申し訳ない思いでありながら、そそくさと布団に入り、明日の出勤に備えた。

交番勤務が楽だと思える程、刑事課の仕事は大変な仕事だった。帰宅は0時過ぎが当たり前で、ひとつの事件が終わらない限り帰宅出来ないと思っていい程自由の効かない事に僕の体力は少しつづ削られていった。

そして…刑事課に移動して最初の事件が片付こうとしていた頃、僕は寝坊をしてしまった……。
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