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哀とコナンと…

翌朝…。

学校に行く支度をしながら、コナンの様子を見ていると…目を覚ましたコナンが目をキョロキョロさせていた。

「コナン、目が覚めたか!?」
「にーちゃん……」

昨日、灰原さんが帰った後から少し熱っぽいコナンは、顔を赤らめていた……。

「にーちゃん、学校行ってくるから……大人しく寝てるんだぞ……」
「え?」

そう言って、俺はコナンに背中を向けた……。

すると、コナンは顔を真っ赤にしてベッドから降りると俺の足にしがみ付いた。

「コナン!?」
「やだ。一緒にいて……」
「コナン、ダメだよ……学校があるんだから、帰ってきたら、ずっといてやるから……な?」
「やだやだやだ!」
「コナン……」

こんなコナンは久しぶりだった……二歳の頃、よくこうやって駄々をこねていたけど、博士からおもちゃを貰ってから…こう言う事はなくなった……。

そう思って、俺は……コナンにおもちゃを渡そうと、探したが……。

「コナン……おもちゃは!?」
「無くした……」
「そんなはずないだろ……」

そうこうしている内に、蘭が迎えに来た。

「新一、遅れちゃうよ……」
「あ、ちょっと待ってろ……コナン、とりあえず大人しく待ってろ!母さんや父さんがいるんだから、いいだろ?」
「やだ!」
「今日は半日なんだから、すぐ帰れるよ!!」
「やだ!!」

俺がどんなに言っても、コナンは首を縦に振らず……困り果てた俺は、頭を掻いていた。

コナンはゆっくり、俺の足に顔ごとくっ付けて……涙を流して泣いていた……。

「一人にしないでよ……兄ちゃん……」
「コナン……何、泣いてるんだよ……泣く事ないだろ」

そんなコナンを抱き上げると、俺の胸の中に顔を埋めて……さっきよりも、嗚咽を漏らして泣き出した……。

「どうしたんだよ……熱上がっても知らねーぞ……」
「新一……今日は土曜日だし、授業もそんなに無いしさ……コナン君の側に付いててあげたら?先生には、私から言っておくから!」
「けど……」

そんな、蘭の提案に……俺は、従うしかないと思い……学校の事は蘭に任せて、コナンの側に付いてあげる事にした……。

「大丈夫か?」
「うん……」

俺はコナンをベッドに寝かせた後、漸く落ち着いた弟に声を掛ける……。

「ほら、早く眠れよ……」
「どこにも行かない?」
「行かねーよ……それより、おもちゃどうしたんだよ?」

ベッドに寝かせても、なかなか眠ろうとしないコナンに俺は苛立ちを覚えた……。

おもちゃをなくした上に、淋しい感情を湧き起こして泣いている事は分かってはいたけど、おもちゃさえあれば……っと、俺はそう思っていた。

「そうだ、これ……」

そう、差し出す一冊の本に…コナンが勢いよく反応した……。

「あ……哀ちゃん、来たの?」
「あ、ああ……」
「僕の事、知られちゃったの!?」

俺は、何も言えなかった……。

俺が黙っていると、コナンは布団を被り……震えていた。

「ごめんな、コナン……今日、灰原さん来るかもしれないけど、どうする!?」
「…………会えない」

俺は…………身体が弱ってるコナンに、心まで弱らせた……。

暫く、コナンは涙が止まらないだろう……。

今は、自分の身体が人より弱いと言う事が……コナンには、とても辛いものだった。

成長すれば、強なって行くよと……そう教えても、今は納得出来ないでいた。

しかも……それを灰原さんに知られてしまった事も、恥ずかしくて堪らない物なのかもしれない。

そんなコナンの頼みを不本意とはいえ、破ったことが……俺にとっては、悔やんでも悔やみきれなかった。
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