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哀とコナンと…

「ほら、コナン……」

俺は、未だに恥ずかしがって俺の足にくっ付いて離れないコナンを誘導し、灰原さんと部屋に入った。

博士の話が終わるまで、俺はこの二人をどうにかして仲良くさせようと、本を読んだりして遊んでやったが……思うように、仲良くさせる事は出来なかった。

それよりも、灰原さんが……何か悩みがありそうで……暗い影を落としてる感じがした……。

そんな事をしてる時……俺達の部屋にノックが響いた。

「新ちゃん、ちょっといい!?」
「え?ああ……」

そう、母さんに呼ばれて立つと……コナンも勢いよく立ち上がって、俺に向けて困った表情をさせた。

「兄ちゃん……」
「大丈夫だよ、二人で仲良く遊んでろよ……すぐ来るから……」
「うん……」

そう言って、ぽんっとコナンの頭を撫でると…淋しそうな表情をするものの、納得したようで頷いた。









新一がコナンと哀を部屋に残して、去った後……コナンはチラチラと哀を見た後、哀に近寄り声をかけた。

「ね、ねえ……」
「何!?」

コナンは哀に声を掛けるものの、哀にそう反応され……ドキッとした。

「あ……本、読む!?」
「別にいい……」
「あ……」

コナンは、哀に一生懸命声を掛けるが……哀に、素っ気ない態度を取られ、どうするか分からなかった。

「今日から、博士の家に住むの!?」
「え?」

そう、コナンが声をかけたとき……哀の反応が変わり、俯いてしまった。

「博士はいい人だよ!いろいろオモチャ作ってくれたりね……」

そう言って、オモチャ箱から一つだけ取り両手にそれを置いて、哀に見せた。

「これもね、博士が作ってくれたんだよ!!」

そう、コナンが笑いながら哀に見せると哀は……無性に悲しみがひしひしと胸に伝わって涙が頬を濡らした。

「ううっ……」
「あ……哀ちゃん、ごめん……ごめんね、僕のせい!?僕が何か言っちゃった!?」

顔を両手で覆って、泣き出した哀に……コナンは、手を差し伸べながら、必死に謝っていた。

そんなコナンに、哀はただ首を振って否定した。

「私の……お母さんとお父さんとお姉ちゃん、いなくなっちゃったの……もう、会えないって…………」
「え?どうして……?」
「死んじゃったって……」

コナンには、その意味が分からなかった……。

死んだら、もう会えない……その意味を理解して泣いている哀に、コナンはもう一度聞いた。

「死ぬって何!?」
「え?」
「死んじゃうと、会えなくなるの!?」

コナンは必死に哀が言った言葉を、理解しようとしていた……。

コナンには、体験した事がない事で……分かるはずがなかった。

「コナン君……」
「これ、貸してあげる……僕には、よく分からないけど……寂しいんだよね!?だったら、これ貸してあげる!きっと、淋しくなくなるよ!!博士が言ってたから!!」

コナンは、それを哀に渡した……。

コナンが二歳の時、熱を出して寝ていた時に……博士が作って持ってきてくれた物だった。

コナンが一人で寝ていても淋しくならないようにって……。

「コナン君も……寂しい時があったの!?」
「うん…………ちょっとだけ……」

コナンは笑って、そう言った。

「ありがとう……」

そう、受け取ったオモチャを見ると……哀は少しだけ、淋しい気持ちを和らげる事ができた……。

「私も……」
「え?」
「私も何か貸してあげる……いっぱい絵本貰ったから……後で持ってくる!」

そう言って、今日初めての笑顔を見せた。

二人は笑って顔を見合わせた時……哀は部屋の隅の本棚にあったアルバムを指差した……。

「この本、見せて……」
「あ、それはダメ!絶対ダメ!!」

哀が、その本を本棚から出した時、コナンは慌ててそれを哀から取って、両手で抱き締める様に首を振った。

「ごめん……これは、ダメなの……」
「どうして!?」
「恥ずかしいから…………」

コナンは、恥ずかしいと言うより……それは、とても見せたくなかった物だった……。

コナンが本棚に、それを戻しながら……一瞬、悲しい表情をさせたのを、哀は見逃さなかった……。

だけど、こうして……二人は、仲良くなる事が出来た……。

少し前に部屋の前に戻ってきた新一が、様子を伺ってた……。

そんな新一にも、二人が仲良くなった事は……二人の雰囲気から、分かり知り得た事だった……。
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