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コナンが産まれた頃の話

それからも、時々熱を出すコナンを俺は心配していた。母さんと病院から帰ってしばらくは大人しく寝ていたのだが、一人で眠る事が寂しいのか…俺達を探してベッドから度々起き上がってもっと熱を上げていた。

熱がある身体で無理して這ってくるコナン。

「一人やだ~」
「熱あるんだからベットから出ちゃダメだろ?」

その度俺達はコナンに駆け寄り、抱き上げてベッドに戻していた。ベッドに戻しても、眠るまで付いていたが、また一人ぼっちになるのが心配で中々寝ようとしなかった。誰かが傍に居ないのを知るとベッドから出て探し回るコナン。そんなコナンから目が離せなかった。

寂しい想いと熱の苦しさで辛く泣きじゃくるコナンを見て、一度博士に相談しようと思っていた。

「ずっと付いてやるから寝ろよ…寝ないと熱下がんねーぞ?」
「一人にしない?」
「ああ、しないよ…だから安心して寝てろ」

涙を流す弟を心配しつつ…熱を出す度に大騒ぎするコナンに、俺はほとほと困り果てていた。

「新一…後は代わるわよ」
「いいよ、母さんだってコナンの看病で寝てないんだろ?」

母さんと交代でコナンの傍に付いてやってる俺に母さんは様子見ながら声を掛けられたが、俺は母さんの事も心配になり後は俺が看病する事になった。



そんな事があり、俺は隣の博士んちに元太君達と遊びにいくというコナンに連れ添って、相談がてらこの日は俺もついて行った。

「新一も一緒とは珍しいの~」
「いや、今日は相談があってな…」
「ん?コナン君の事か?」

そう的中され、俺はコナンの事を博士に相談し始めた。

「迷惑してる訳じゃねーんだ、ただ寂しいのか無理して俺達を探して起き上がる度に熱が上がっちまってさ…本当はもっと早く治るらしいんだ、だけど誰かが傍に居ないとすぐ探し回るからさ…何かいい方法ないかな?って思ってよ…」

俺は博士に相談しながら、元太君達とゲームしながら楽しそうに遊んでるコナンを見つめていた。

「なるほどの~それじゃここはわしが力になるかの~」
「え!?」
「寂しくならないおもちゃでも考えてみるかの~出来たら君の家に持っていくから、少し待っててくれ」
「本当か!?ありがとう、博士!コナンも喜ぶよ」

そう言って、安心しながら喜ぶ俺の傍に、コナンはいつの間にか近づいてきていた。

「兄ちゃん、どうしたの?」

そう言って、俺が何で喜んでいたのか…気になって近づいて来たコナン。今はまだ教えず"何でもねーよ"と頭を撫でると再度元太君達の所に戻って遊び始めた。


そして、数日後…。

博士はある物を持って工藤家へやって来た。

「博士…」
「おお、新一…コナン君おるかの?この前頼まれた物持ってきたんじゃ…」
「え!?出来たのか!?すぐ呼んでくるよ」

そう言って、俺は急いでコナンを呼びに行った。コナンを連れて戻ってくると博士からおもちゃを渡された。

「わあ~」

そう歓声を上げるコナンの前で、そのボールの様に丸い物の底に付いているスイッチを押すと普通のボールが星空に変わりキラキラと光っていた。そしてその丸い物は半分に開くことが出来、タッチする度に色んな効果音に変わり、もう反対側をタッチすると色んなシーンの空や星空が次々に変わっていった。

「すっごーい!きれーい」

そう言って、コナンは夢中になってタッチし続けて嬉しそうに笑っていた。

「よかったな、コナン!」
「うん!ありがとう、博士~」
「気に入ってくれてよかったわい、風邪引いた時はそれいじってるといい…きっと寂しくないぞ」
「うん!」

そう言って、その後も俺と博士が話してる間もずっと俺の隣でそのおもちゃをいじり続けていた。

「今は効果音だけしか入っとらんが…パソコンと接続すれば、好きな曲を入れる事も出来るから入れてやるといい」
「ありがとう、博士!本当に助かったよ」

これで少しは大人しく寝てくれるかもしれないと、俺はそのおもちゃに少し期待していた。博士に貰ったばかりのおもちゃからしばらく手を離さなかったコナン。

次に熱を出して寝込んだ時、そのおもちゃを渡してやるとしばらくいじっていたが薬のせいもあって…ベッドから出ることも無く大人しく寝ていた。




そんな様子を扉の隙間から覗き込みながら見ると、いつものコナンとは思えないくらい大人しく寝ていてやっと俺達は安心出来るようになった。

「博士のお陰だな…」

そう父さんがぽつりといい、母さんもにこにこと頷いていた。手のかかるコナンがやっと眠った事に、安堵して…俺達も安心して眠りについた。
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