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☆四周年小説꙳★*゚本当に戻るべき選択☆

そして、その時…お店のベルがカランカランと鳴り響き、扉が開く。

新一と灰原の存在に、目を見開いてフッと笑みを浮かべるその男は、赤井秀一…。安室とは、顔を合わせれば、バチバチと敵意を散りばめていた。

「赤井さん…」

新一は赤井の来店に驚いて顔を上げ、名を呼ぶ。何をしに来たのか。…新一は、不思議な顔をしながら赤井を目で追っていく。

「ツケを払いに来ただけだ…払いに来ないと追いかけ回されそうだからな…」

赤井のその言葉に、不敵な笑みを浮かべて安室は言う。

「ええ、付け回しますよ。貴方の行く所どこまでも…払って頂けるまでずっとね…僕のRXを舐めないで貰えますか?」
「フッ…」

その言葉に…二人は目を合わせると、笑顔を宿さず笑い声だけはあげていた。

「「ハハハハ…」」

その様子に、少し離れたテーブル席で見ていた新一は"こっわっ…"と思いながら、そのまま食事を進めていると…支払いが終わった赤井は、新一達のテーブルを通り過ぎながら灰原に目線を移すと言い放った。

「君はいつまでその姿でいるんだ?」
「煩いわね、そんなの私の勝手でしょ?」

またか…と、しつこいくらいに向けられるその言葉が、灰原にとって悩みの種になってしまっていた。

「そうか…君がそれでいいなら、まあいいが…引け目を感じているのなら、気にするな。」

赤井はそれだけ言うと、新一と灰原に笑みを浮かべたと同時に喫茶店から出ていった。

赤井が出ていったの扉を見つめながら、灰原は言う。

「なる程ね…」
「ん?」
「貴方が私を連れ出したのは、あの人に合わせる為かしら?」
「ま、まあな…」
「本当は…貴方をこんな風にしてしまった薬を作ったのは、私だから…戻れる道理はないと思っていたのよ…それを、貴方もあの人にも見透かされていたのね…」
「まあな…お前がもう両親が亡くなったことに立ち直ってるの分かっていたし…まだくだらねー事考えてるのかと思ってよ!それに、俺が何言ってもダメなら、お前の姉さんと接点のあった赤井さんに言われた方が分かってくれるんじゃねーかと思ってな…」

新一は、最後のひと口を頬張りながら灰原に淡々と言葉を投げかけていた。

「でも、お前が本当は戻りたくないと思ってるなら強制はしねーけど、あの薬の事を気にして戻れねーと思ってんなら、それは無用だとわかって欲しかったんだ。」
「……」
「あの薬の被験者だった俺が元に戻れたんだ。戻って24時間以上経過してるが、何もねーしな…だから、もう心配する事なんか、なんも…」
「分かったわよ」

新一の一つ一つの言葉を噛み締めながら、灰原は悩んでいた事が馬鹿らしく思えて来る。等の被験者に説得させられ、灰原は新一の言葉を遮ると言い放つ。

「分かったわよ、戻るわよ…戻ればいいんでしょ?でも…少し考えさせて頂戴。あの子達の事もあるし…」
「あの子達って、元太達の事か?あいつらなら…」
「大変だったのよ…貴方が引越したって聞かされた後…私、ずっと慰めていたんだから…それで、私も居なくなったらあの子達立ち直れないわよ。」

コナンとしてずっと元太達と登下校を共にして来た友達が急に居なくなってしまった事に、ショックが大きかった事を聞かされる。




子供として一緒にいた頃は、他愛のない毎日をあいつらと一緒に送っていた。だけど、今は…すぐ会える場所に住んでいても、遠い存在になってしまった事を新一は思い知らされていた。

「大丈夫さ、あいつらはつえーじゃねーか!すぐ、元気になるだろ?」
「それは貴方がいたからでしょ!」
「え!?」
「貴方がいたから…強く居られたの。貴方が私達を守ってくれたから…どんな所へ迷い込んだとしても、貴方がきっと助けてくれるって信じていたから…だから、あの子達頑張れたのよ…でも、貴方…もう居ないじゃない…」

江戸川コナンはもういない。それが、どれだけあいつらの心に寂しい思いをさせているのか…新一は灰原に聞かされるまで、大きな問題だと言うことは知る由もなかった。

「じゃ、行こうぜ!」
「どこへ?」
「あいつらの所にだよ!安室さん!お金ここに置いて置くから…」

そう言って、乱暴にお金をテーブルの上に置く新一は、灰原の手を引いて喫茶店を出た。

「ちょっと、コナン君!?」
「え!?コナン君?」
「あ、すいません、つい…気にしないでください。」
「もう、安室さん!びっくりするじゃないですか…」

つい口走ってしまった言葉が、安室自信をハッとさせる。ついこの間まで小さな探偵として関わってきた新一。その面影は、安室の中では完全に消える事はなかった。
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