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コナンが産まれた頃の話

その後……。

毎日の様に弟の見舞いを続けていたある日……。

蘭がお見舞いに来ると言うので、仕方なく弟に会わせる事にした。

本当は蘭には、見せたくなかった……。

今の弟のあんな状態を見れば……きっと、蘭だって暗い影を落とすはずだとそう思っていた……。

だけど…………。

「わぁっ、可愛い……小ちゃいのね!あ、今指動いたよ!!」
「蘭、はしゃぐなよっ……」

俺は、拍子抜けをしてしまった……小さすぎる弟を蘭に見せて……こんな反応をされるなんて思ってなかったから……。

「私、赤ちゃん見るの初めてだもん……いいな、赤ちゃん……可愛いね……」
「弟は、小さすぎるんだぞ……あんなにいっぱい機械に繋がれて……辛いんだぞ……」
「分かってるわよ、その位……でも、小さいけど、ちゃんと生きてるじゃない……看護婦さんに教えてもらったよ!これから、どんどん大きくなるって……だから、心配ないわよ……」

バカじゃないか……蘭に励まされて……。

弟を蘭に見せて、悲しむ蘭を想像していた俺は、逆に……蘭に励まされた。

何やってるんだ、俺は……一番辛いのは弟だ。

俺じゃない……。

そう、思った瞬間……俺は、弟に付ける名前が頭に浮かんだ……。

「コナン……」
「え?」
「弟の名前だ……」
「コナン!?何よ、それ……」
「いいじゃね~か、俺が考えた名前なんだ!!」

思った以上の反応だったけど……俺は、弟に自分が崇拝しているコナンドイルとおなじ名前を付けた。

ただ、俺が敬愛しているからだけじゃない……コナンドイルという名前に、力強いイメージがよぎったのは、確かだった。

今の弟、コナンには……ただ、元気で逞しく生きて欲しいと只々、願うだけだった。




それを父さんや母さんに伝えたら、あっさり許可してくれ……、反対されると思った俺は、蘭と顔を見合わせると……なんだか、笑いが立ち込めていた。

「コナン……」

ガラスの向こうでで眠っている弟の名前を呼ぶ俺は、早く大きくなって……その小さな手を握りしめたいと願っていた……。

名前が決まってからといい……他の人に名前を聞かれる度に、笑われてしまい……。

恥ずかしいと言うより……弟に、悪いと言う思いでいっぱいだった……。
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