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☆コ哀の短編小説集☆

私は、病室に入らず病室の外から工藤君の顔を覗く。

昨日、拳銃で撃たれた工藤君の体は彼女の輸血が助かって、手術は成功し回復に向かっている。

病室に入らない私を心配して隣にいる博士が病室に入る様に声を掛けてくる。

「大丈夫、ここでいい」

私はそれだけ言うと、手術を終えて眠っている工藤君の顔を見つめていた。

「お前らはそろそろ帰れ!」

そう毛利のおじさんに声を掛けられる子供達は、工藤君が目を覚ますのを今か今かと待っているようだったもんだから、ブーイングの嵐だった。

「「えーー?」」
「手術は成功したんだし、医者ももう心配ないといってるんだ!いつ目を覚ますかわからねーし、このまま待っててもしゃーねーだろ?後は俺達が見てるから心配しねーで今日はひとまず帰れ!な?」
「「う、うん……」」

毛利のおじさんにそう諭された子供達は悲しそうな顔をしながら納得した様に首を縦に振る。

病室の外に出されながら、おじさんは子供達と私達に言う。

「今日はお前らも疲れただろ?帰ったらゆっくり休め、コナンが元気になったらまた見舞いに来てくれ!」
「「はい!」」
「博士もすいませんでしたな~」
「いやいや、それじゃまた」

そう言って、私達はこの日工藤君が目覚めるのを待たずに病室を後にした。工藤君が眠る病室を見やる私は手術前に彼女が言った言葉を思い出していた。

“わたしもこの子と同じ血液型ですから……”

そう言った彼女の中で、工藤君の正体を確信しているようだった。

(まずいわね……)

私はそう思いながら、ある事を計画していた。

退院も間近に迫ったある日、私は夜こっそり工藤君の病室へいき、工藤君の顔を見るなり銃口を向けた。

(やっぱり、あなた…話すつもりでいるのね…彼女に、危険が覆い被さるのを分かっているのかしら?)

工藤君は私のその行動に驚いていた。工藤君に今の自分の立場を分からせる為の行動だから…こうでもしないと…あなた、わからないもの。

そこで銃口からお見舞いの花を抜く私は驚かせついでに3つの選択肢を工藤君に掲げた。どう選択するのかは、工藤君自身だけど、きっとあなたは3つ目の選択をするでしょうね…。

「死ぬかもしれないけど……試してみる?」

だから、私は持ってきたわ…私が手に持つ解毒剤を見つめる工藤君は、迷わずそれを試す事を選んだ。全てを打ち明けようとした直前の提案に、彼女を巻き込まないで居られる唯一の手段を工藤君は掴んだのだ。

「サンキュー、灰原!」

工藤君はそう言うと、解毒剤を手に取り私にお礼を言った。


だけど、数日後の帝丹高校の演劇で彼女だけに会う約束だったはずなのに…工藤君は大勢の舞台の上で、しかもそこで起きた殺人事件を解決するという、派手な行動をしてしまい、私は飽きれていた。

「ばか……」

言う通りにしないこの探偵さんの体は、1日しか維持出来ず、結局小学生の身体に戻ってしまったんだけどね…。

工藤君…今度私の言いつけを守らなかったら、私は許さないわよ?

「こんなんだったら、さっさと蘭に言う事言っときゃよかったぜ!」
「……」

でも工藤君のこの言葉で、私の怒る様な気持ちは自然と静まり返った。どうしてだかわからないけど……。
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