「痛って～～」


日も落ちた、夕方……阿笠邸で俺は、悲鳴の様な声をあげていた……。


「騒がないでくれる！？」

「だったら、もうちょっと優しくやってくれよ……」

「これでも、優しくやってるつもりだけど？？」



灰原に、文句を言いつつ…手当をされていた……。



実は帰る途中……飛び出してきた自転車に引かれそうになった灰原を庇って…結局は、自分が大怪我してしまったという……。



そして今、そいつに手当してもらっているのだ……。



「まったく…庇ってくれるのは嬉しいけど、もうちょっと怪我しない方法で庇ってくれない！？」

「いいじゃないか、無事だったんだから……」

「これの何処が無事よ……当分、歩けないわね……」



呆れ顔の灰原に、俺もふて腐れながら手当をされていた……。



「蘭君、今来るそうじゃ…相当心配しとったから、見たら大変じゃの～……」

「おい、あんま大袈裟にするなよな……」


そう言って、博士の方へ向きを変えて言った俺の身体を灰原によって戻された……。



「ちゃんと、前向いてなさい！！ずれるじゃない……」

「わり…」

「まぁ、いいんじゃない……いとしの彼女におんぶされて帰れるんだから……良かったわね、探偵さん……」


ニヤつきながら言う灰原に、俺は少し照れながら否定した……。


「ばっ、そんなんされなくても、自分で帰れるよ……」

「そんなの、蘭さんが許さないんじゃない！？」


結局、終始灰原に、からかわれ続けた俺は…自転車のタイヤに踏まれて、今まさに灰原によってグルグル巻にされている足を見つめながら……。


「はぁ～」


結局は、ため息しか出てこなかった……。