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コ蘭短編小説

雪崩に巻き込まれたコナンを救った蘭。

埋もれていた雪から救いあげ、もう一度コナンの顔を見る蘭の瞳から1粒の涙が……。

「良かっ…た……」

ぎゅっとコナンの身体を抱きしめる蘭の胸には安堵感でいっぱいだった。

もし、見つけられなかったら……。

そんな事を考えると恐ろしい。

身体は冷たいけど、コナンの温もりを感じられている事が蘭の心に安心感が宿っていた。

「良かったなあ…とりあえず、医務室へ運ぼう!」

小五郎の一言で、コナンの身体を乗せた車は山小屋にある、医務室へ運ばれた。




点滴を打たれ、ベットの上で眠るコナンの周りに心配して見つめる人達の視線が集中していた。

「大丈夫、目を覚ませばきっと元気になってるよ!」

先生は、子供達に話しかけるとその言葉に満面の笑みを輝かせながら笑っていた。

「しばらくこのまま様子を見ましょう。」

蘭や小五郎に視線を移すと、そう言った。

「まあ、でも助かって良かった!」
「はい。」

先生の言葉に蘭は返事をする。

蘭は眠るコナンの頭に手を置いてゆっくり撫でる。

伝わる体温を感じながら、蘭は心の底から安堵していた。


しばらくして、コナンの瞳がゆっくり開いた。

「コナン君!!」
「ら、蘭ねえーちゃん…」

その言葉にコナンを発見した時の事が同時に脳裏に浮かび上がる。

「大丈夫?」
「うん!ちょっと身体痛いけど…」

そう言って、コナンはうっすら笑みを浮かべる。

「もう無茶しないで…」

そう言って、困った顔をする蘭に……コナンは申し訳なさそうにポツリという。

「ごめんなさい…」

その言葉ににっこりと笑顔を向けながら蘭は言う。

「生きててくれて良かった……」
「……」

蘭のその言葉に目を丸くするコナンだが、次の瞬間には笑みを浮かべていた。

心配ばかり掛けているのに、蘭はいつも自分の事のように心配してくれる。

その優しさが嬉しかった。

その様子を見ていた先生がコナンに近寄り、ニコニコしながら言った。

「うん、この分なら大丈夫そうですね!あんまり心配かけるなよ?坊や…」
「うん!」

もうダメかと思った瞬間に蘭や皆がギリギリまで自分の事を見つけようとしてくれていたことに感謝するしか出来なかった。

「明日帰るから、コナン君はゆっくり休んで!身体少しでも回復したら……そしたら、皆で一緒に帰ろ?」
「うん!」

今は身体がボロボロで起き上がる事すらできないけど、明日までには治して元気になろうと決めた。

心配して止まないこの大切な仲間の為に。

そっとコナンの頭を撫でる蘭の手を静かに触れる。

「蘭ねぇーちゃんも、この怪我治してね!」

コナンを探す為に怪我をしてまでも懸命に探してくれた蘭の手を見つめるコナン。

その傷跡を見つめるコナンは、心を込めて感謝の言葉を呟いた。

「ありがとう。」
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