新一とコナン⑤
警部との話にキリがついた頃、俺は急いで警察署を出て蘭の家に向かった。コナンが迷惑掛けてないか心配だったけど、蘭の家のチャイムを鳴らし、ドアを開けると勢いよくコナンが俺の足に抱きついてきた。
「兄ちゃん!怖かった~」
「え!?」
俺はその言葉に耳を疑い、蘭じゃなくその言葉はおっちゃんを指してることにおっちゃんのムッとした表情をみて、瞬時に理解した。
「違うの、新一…お父さんが色々煩く聞くもんだから…」
「俺はただ質問しただけだろうが!」
蘭の説明に、奥の方からおっちゃんが不貞腐れながら文句を言っていた。
「すいません、おじさん。こいつ人見知りなもんで…気にしないでください。」
「たくっ…あんま甘やかすんじゃねーぞ…」
そう言って、おっちゃんはすっと立つと俺とコナンに言った。
「時間もおせーし、飯食ったらお前らも早く家に帰れよ?明日も学校あるんだからよ…」
そう言って、静かに食卓から出ていった。おっちゃんもおっちゃんなりに、俺たちに気を使ってくれてるんだろう?と、思い…俺は背後からおっちゃんに声をかける。
「あ、コナンの事、ありがとうございました」
そう言っておっちゃんの背中を見送った後、俺の足に抱きついているコナンの頭を擦りながら声をかける。
「ほら、お前もお礼言って帰るぞ?」
「え?でも…ご飯…」
困った顔をしながら俺に訴えかけるコナンの様子に不思議に思っていると、どうやらまだ食事の途中だと言う事を言っていた。
「良かったら、新一も食べていく?」
「え?」
「だって、コナン君まだご飯食べたそうだし…折角だし…ね?」
「そうしよう!兄ちゃんもご飯食べよう!蘭ねーちゃんのご飯美味しいよ~」
「本当か!?」
その言葉に俺はすぐ様反応してしまった。それを見た蘭は笑みを浮かべながら、俺の分のご飯も用意してくれた。
蘭の料理を美味しそうに食べるコナンを見つめながら、俺も蘭の作った料理を口いっぱいに頬張っていた。
「美味しい?」
そう蘭に尋ねられ、"う、うん…まあな。"と曖昧に返答する俺を見てコナンは笑いながら言ってきた。
「兄ちゃん照れてる~」
「バッ、そんなんじゃねーよ!」
ムキになって返答する俺に、蘭は隣でクスクス笑って俺が居ない間のコナンの事を話してくれた。
「さっきまで、コナン君…大人しかったのよ。お父さん苦手なのかな?」
「なんだよ、コナン…おじさんの事嫌いなのか?」
「嫌いじゃないよ…何か、怒られてるみたいで怖かっただけだもん…」
箸を咥えながら、ぽつりぽつりそんな事を言うコナンに、俺と蘭は顔を合わせて笑っていた。
「コナン君が好きなのはお兄ちゃんだもんね~」
「別に好きじゃないもん」
「あらそう?電車の中で好きって言ってたのに…」
「言ってないもん」
照れ隠しにも似たコナンのムキになって答える口調がおかしくてもっとからかいたくなってきた俺はコナンに言う。
「んな事言ってると、おじさん所に置いて兄ちゃん一人で帰っちまうぞ?」
「やだー!僕も兄ちゃんと帰る!」
コナンの口からやっと素直な言葉が聞けたことに安堵する。分かっていた事だが、人前じゃ本当に恥ずかしがり屋な弟で…その態度を見ると笑えてくる。
食事が終えた後、俺とコナンは蘭に階段下まで見送られた。
「じゃ、今日は色々と悪かったな…」
「いいのよ。また明日学校で。」
「ああ。」
「またね、コナン君!」
「バイバ~イ、蘭ねーちゃん!」
蘭に見送られながら、俺とコナンは帰路についた。
「そっか、電車で帰ってきたのか…」
「うん!また電車乗ろうね、新一兄ちゃん!」
「ああ、また今度な。」
久しぶりの電車が嬉しかったのか、俺の手を持ってブラブラしながら訴えかけてきた。しばらく電車で出掛ける事は無くなったが、またいつかと約束させられた。
「そういえば、兄ちゃん…ボールは?」
そう聞かれ、俺はハッとして大きな声を上げる。
「…あ!警察署に忘れてきちまった…」
「ええー?」
「明日学校終わった後取りに行ってやるから、心配すんな。」
「約束だよ?」
「ああ。」
そして、またひとつ約束が増える。俺の言葉ひとつひとつに、コナンの表情に笑顔が灯る。それはきっと、俺を慕ってくれている証なんじゃないかと、時々思う。
俺に面と向かって好きだとは言わなくとも、今日蘭に言っていたと思う言葉が人から伝わる。俺は、それでいいと思っている。
何しろ、こいつを見ていれば…一目瞭然だと言うことは、目の前のコナンをみればよく分かっていた。
コナンの手を繋いで工藤邸の門を開けながら、明かりのついてないはずの家を目の前にして俺とコナンは顔を見合わせた。
「父さん達、帰ってきてるのかもな?」
「ほんとー?」
俺がコナンにそう伝えてやると…叫びながら一目散に工藤邸の玄関まで走り、勢いよくドアを開けていた。
「お父さん!お母さん!」
コナンを追って、工藤邸に入る俺は二人の姿が目に入った。俺が追いつく頃には、コナンは母さんの胸に抱きついていた。
「帰ってきてたのか、早かったな。明日かと思ったぜ…」
「何よ、その言い草は…」
「そうだぞ、わざわざ1便ずらして早く帰ってきたと言うのに…」
「わりぃ、わりぃ…」
俺の言葉に、父さんと母さんから文句が飛び交う。
「というのは冗談でな…警部に呼ばれてな、話をする為に早く帰ってきたんだ。ほら、コナン…」
「あー!僕のサッカーボール!」
そう説明する父さんの手には、忘れてきたはずのコナンのサッカーボールがあった。父さんは、片手でそれをコナンに渡すとコナンは嬉しそうに両手で受け取っていた。
「ありがとう!」
満面の笑みでお礼をいうコナンに、父さんも笑みを浮かべてコナンの頭を撫でていた。
「お前達、夕飯は食べたのか?」
「うん!蘭ねーちゃんのご飯食べたー」
「あ…」
俺が言うよりも早く、コナンが答えてしまい俺は気まずそうに立ち竦んでいた。
「あら~、蘭ちゃんの料理を?」
「な、なんだよ…色々あって、そういう訳になっただけで…」
「いいのよ、誤魔化さなくても…」
「別にそういう訳じゃ…」
「今度は蘭君に礼をしないといかんな。」
二人で盛り上がってる時に、コナンは不安そうな表情を浮かべ蘭のおじさんの事を思い出した様に口から出る。
「でも、おじさんは呼ばないでね?」
その発言にさっきあった事を話すと二人とも大きな口を空けて笑っていた。そんな二人を見て、コナンはムーっとしていた。
「そんなに苦手だったのか?コナン…」
「だって…」
「大丈夫よ、本当はすっごく優しいんだから…」
「本当に?」
「ええ。」
母さんの説得を疑いつつ、まだ納得の行かない様子でいるコナンに父さんは言う。
「これはコナンに毛利探偵の事を慣れさせなくてはいかんな。」
「慣れなくてもいいもん!」
父さんの言葉に歯向かうコナンに、父さんは何も言わず黙っていたが…きっといずれ…この試練は二人によって強引にさせられるだろう。
"会わなくていい"、"いやいや"と駄々をこねているコナンを見つめながら、母さんはどんな風に会わせようかと考えている様子だった。
飛びっきりの悪戯な笑みを浮かべて……。
「兄ちゃん!怖かった~」
「え!?」
俺はその言葉に耳を疑い、蘭じゃなくその言葉はおっちゃんを指してることにおっちゃんのムッとした表情をみて、瞬時に理解した。
「違うの、新一…お父さんが色々煩く聞くもんだから…」
「俺はただ質問しただけだろうが!」
蘭の説明に、奥の方からおっちゃんが不貞腐れながら文句を言っていた。
「すいません、おじさん。こいつ人見知りなもんで…気にしないでください。」
「たくっ…あんま甘やかすんじゃねーぞ…」
そう言って、おっちゃんはすっと立つと俺とコナンに言った。
「時間もおせーし、飯食ったらお前らも早く家に帰れよ?明日も学校あるんだからよ…」
そう言って、静かに食卓から出ていった。おっちゃんもおっちゃんなりに、俺たちに気を使ってくれてるんだろう?と、思い…俺は背後からおっちゃんに声をかける。
「あ、コナンの事、ありがとうございました」
そう言っておっちゃんの背中を見送った後、俺の足に抱きついているコナンの頭を擦りながら声をかける。
「ほら、お前もお礼言って帰るぞ?」
「え?でも…ご飯…」
困った顔をしながら俺に訴えかけるコナンの様子に不思議に思っていると、どうやらまだ食事の途中だと言う事を言っていた。
「良かったら、新一も食べていく?」
「え?」
「だって、コナン君まだご飯食べたそうだし…折角だし…ね?」
「そうしよう!兄ちゃんもご飯食べよう!蘭ねーちゃんのご飯美味しいよ~」
「本当か!?」
その言葉に俺はすぐ様反応してしまった。それを見た蘭は笑みを浮かべながら、俺の分のご飯も用意してくれた。
蘭の料理を美味しそうに食べるコナンを見つめながら、俺も蘭の作った料理を口いっぱいに頬張っていた。
「美味しい?」
そう蘭に尋ねられ、"う、うん…まあな。"と曖昧に返答する俺を見てコナンは笑いながら言ってきた。
「兄ちゃん照れてる~」
「バッ、そんなんじゃねーよ!」
ムキになって返答する俺に、蘭は隣でクスクス笑って俺が居ない間のコナンの事を話してくれた。
「さっきまで、コナン君…大人しかったのよ。お父さん苦手なのかな?」
「なんだよ、コナン…おじさんの事嫌いなのか?」
「嫌いじゃないよ…何か、怒られてるみたいで怖かっただけだもん…」
箸を咥えながら、ぽつりぽつりそんな事を言うコナンに、俺と蘭は顔を合わせて笑っていた。
「コナン君が好きなのはお兄ちゃんだもんね~」
「別に好きじゃないもん」
「あらそう?電車の中で好きって言ってたのに…」
「言ってないもん」
照れ隠しにも似たコナンのムキになって答える口調がおかしくてもっとからかいたくなってきた俺はコナンに言う。
「んな事言ってると、おじさん所に置いて兄ちゃん一人で帰っちまうぞ?」
「やだー!僕も兄ちゃんと帰る!」
コナンの口からやっと素直な言葉が聞けたことに安堵する。分かっていた事だが、人前じゃ本当に恥ずかしがり屋な弟で…その態度を見ると笑えてくる。
食事が終えた後、俺とコナンは蘭に階段下まで見送られた。
「じゃ、今日は色々と悪かったな…」
「いいのよ。また明日学校で。」
「ああ。」
「またね、コナン君!」
「バイバ~イ、蘭ねーちゃん!」
蘭に見送られながら、俺とコナンは帰路についた。
「そっか、電車で帰ってきたのか…」
「うん!また電車乗ろうね、新一兄ちゃん!」
「ああ、また今度な。」
久しぶりの電車が嬉しかったのか、俺の手を持ってブラブラしながら訴えかけてきた。しばらく電車で出掛ける事は無くなったが、またいつかと約束させられた。
「そういえば、兄ちゃん…ボールは?」
そう聞かれ、俺はハッとして大きな声を上げる。
「…あ!警察署に忘れてきちまった…」
「ええー?」
「明日学校終わった後取りに行ってやるから、心配すんな。」
「約束だよ?」
「ああ。」
そして、またひとつ約束が増える。俺の言葉ひとつひとつに、コナンの表情に笑顔が灯る。それはきっと、俺を慕ってくれている証なんじゃないかと、時々思う。
俺に面と向かって好きだとは言わなくとも、今日蘭に言っていたと思う言葉が人から伝わる。俺は、それでいいと思っている。
何しろ、こいつを見ていれば…一目瞭然だと言うことは、目の前のコナンをみればよく分かっていた。
コナンの手を繋いで工藤邸の門を開けながら、明かりのついてないはずの家を目の前にして俺とコナンは顔を見合わせた。
「父さん達、帰ってきてるのかもな?」
「ほんとー?」
俺がコナンにそう伝えてやると…叫びながら一目散に工藤邸の玄関まで走り、勢いよくドアを開けていた。
「お父さん!お母さん!」
コナンを追って、工藤邸に入る俺は二人の姿が目に入った。俺が追いつく頃には、コナンは母さんの胸に抱きついていた。
「帰ってきてたのか、早かったな。明日かと思ったぜ…」
「何よ、その言い草は…」
「そうだぞ、わざわざ1便ずらして早く帰ってきたと言うのに…」
「わりぃ、わりぃ…」
俺の言葉に、父さんと母さんから文句が飛び交う。
「というのは冗談でな…警部に呼ばれてな、話をする為に早く帰ってきたんだ。ほら、コナン…」
「あー!僕のサッカーボール!」
そう説明する父さんの手には、忘れてきたはずのコナンのサッカーボールがあった。父さんは、片手でそれをコナンに渡すとコナンは嬉しそうに両手で受け取っていた。
「ありがとう!」
満面の笑みでお礼をいうコナンに、父さんも笑みを浮かべてコナンの頭を撫でていた。
「お前達、夕飯は食べたのか?」
「うん!蘭ねーちゃんのご飯食べたー」
「あ…」
俺が言うよりも早く、コナンが答えてしまい俺は気まずそうに立ち竦んでいた。
「あら~、蘭ちゃんの料理を?」
「な、なんだよ…色々あって、そういう訳になっただけで…」
「いいのよ、誤魔化さなくても…」
「別にそういう訳じゃ…」
「今度は蘭君に礼をしないといかんな。」
二人で盛り上がってる時に、コナンは不安そうな表情を浮かべ蘭のおじさんの事を思い出した様に口から出る。
「でも、おじさんは呼ばないでね?」
その発言にさっきあった事を話すと二人とも大きな口を空けて笑っていた。そんな二人を見て、コナンはムーっとしていた。
「そんなに苦手だったのか?コナン…」
「だって…」
「大丈夫よ、本当はすっごく優しいんだから…」
「本当に?」
「ええ。」
母さんの説得を疑いつつ、まだ納得の行かない様子でいるコナンに父さんは言う。
「これはコナンに毛利探偵の事を慣れさせなくてはいかんな。」
「慣れなくてもいいもん!」
父さんの言葉に歯向かうコナンに、父さんは何も言わず黙っていたが…きっといずれ…この試練は二人によって強引にさせられるだろう。
"会わなくていい"、"いやいや"と駄々をこねているコナンを見つめながら、母さんはどんな風に会わせようかと考えている様子だった。
飛びっきりの悪戯な笑みを浮かべて……。