哀とコナンと…
それからというもの…私とコナン君はお互いの家を行き来して、度々遊びに行く様になった。幼稚園も一緒という事もあってどんどん仲良くなっていった。
一緒の幼稚園に通ってる歩美ちゃん達共仲良くなって、時々博士の家に集まって遊ぶようになった。
そんなある日、私はいつもの様に工藤家へ向かい、コナン君と遊ぶ為に尋ねていた。
「あ、ごめんな…コナンなら今体調崩して寝てるんだ」
「え!?」
私はその言葉で驚いて声を上げた。やっぱり未熟児で産まれたら、多少のリスクは背負わないといけないんだ…私はお兄さんに聞かされて悲しい気持ちになって俯いていた。
すると、お兄さんが私を安心させる様に気遣って声を掛けてきた。
「灰原さん…でも、大丈夫だよ…今体調崩してるけどそんなに心配する事ないからな。その内元気になるから…そしたら、また遊んでやってな?」
顔を上げる私に優しく説明してくれるお兄さん…それでも、私はコナン君の様子が気がかりで仕方なかった。
「看病したいの…」
「えっ!?」
私はやっと絞り出した声でお兄さんにお願いした。私の真剣な瞳を見たお兄さんは少し困っていたけど、次の瞬間には笑ってコナン君の所へ案内してくれた。
「さっき寝たばかりなんだ…」
お兄さんはコナン君の寝てる寝室の扉をそっと開けながら私に説明してくれる。
「でも、灰原さんにも風邪移っちゃうといけないから、少しだけな?」
「うん!」
そう言って、コナン君のベットに寄りかかる私。枕元にはこの間コナン君が貸してくれたおもちゃが置いてあった。遊びながらいつの間にか寝ちゃったのかな?って思いながら、私はコナン君の寝顔を見つめながら手を握っていた。
すると、お母さんの有希子さんが入ってきて私の口にマスクを付けると言った。
「哀ちゃん、お見舞いありがとね~でも、風邪移っちゃうかも知れないからこれ付けて置いてね~」
「……」
そう言って、私の口元に突然付けられたマスクに驚く私に有希子さんがもう一度言う。
「コナンちゃん、今寝た所だから当分起きないと思うの。でも、もし起きたら教えてくれる?それまでコナンちゃんの看病よろしくね…」
「うん」
そう言って、有希子さんとお兄さんは部屋から出ていった。その後私はコナン君の手を握ったまま離さず心配でコナン君から目を離さなかった。
しばらくして、コナン君はゆっくり目を開けた。そして、私の存在に驚いて目をぱちぱちしていた。
「コナン君!?大丈夫?」
「哀ちゃん…な、んで?」
「遊びに来たら風邪で寝てるって言われたの。だから、お見舞いに来たの。」
私がそう言うと、恥ずかしそうに反対側の腕で顔を隠してた。
「やだ…恥ずかしいよ」
そう言って、熱が上がったのか息が荒くなって行くコナン君を心配して有希子さんを呼んでくると言って、席を立った時…コナン君は私の腕をガシッと掴んだ。
「大丈夫。平気だから…」
そう言って、辛そうに笑顔を向けるコナン君に、私は離した手をまたそっと握っていた。
一度起きたせいで眠れなくなったのか、熱が上がってきたのか…コナン君は涙を流して自分の体調と戦ってるようだった。
「うっ…うっ…」
「大丈夫だよ、コナン君…」
私は近くに置いてあったハンカチで涙を拭いてあげたり、温くなったタオルを変えてあげたりしていた。
その内、心配になったお兄さんが部屋に入って来てコナン君の様子を覗いていた。
「コナン、どうだ?大丈夫か?」
「うん…」
そう言うものの、コナン君はお兄さんの顔を見ながら涙を溜めて私が居るせいもあって泣くのを我慢してる様でもあった。
お兄さんはコナン君の額に触れ唸りながら難しい表情をさせていた。
「熱下がんねーな…」
「兄ちゃん…」
もう限界だったんだと思う。お兄さんの顔を見た途端、顔を歪ませ助けを求める様に泣き出してしまった。
「どうしたんだ、コナン?辛いのか?」
「うっ、うっ…」
なかなか下がらない熱で寝付けなかったのに私が来てしまったから…そう思った私は申し訳ない気持ちで"ごめんなさい"と口をついて出てしまっていた。
泣いてるコナン君を抱き上げながら…お兄さんは私に向かって言う。
「灰原さんのせいじゃないから気にしなくていいからな?コナンのやつ熱出るといつもこうなんだ…元気になれば元に戻るから…な?コナン?」
「うん…」
お兄さんの胸の中で涙を止めながらやっと返事をするコナン君。辛いんだろうなと思いながら、私はどうすればいいのか分からずその場で立ち尽くしていた。
「あらあらどうしたの?」
「コナンの熱下がんなくてよ、泣き出しちまったんだ…」
「そう…」
騒ぎを聞きつけて、部屋に入ってきた有希子さんは心配そうにコナン君の顔を覗き込むとお兄さんからバトンタッチして今度は有希子さんがあやしていた。
「新ちゃん、哀ちゃんの事送って行ってあげてくれる?」
「あ、ああ…」
そうお兄さんに頼むとコナン君を抱いたまま、私に近づいて笑顔を向けながら言ってきた。
「哀ちゃん、大丈夫よ…コナンちゃん、今は熱が高いけど、下がればすぐ治っちゃうから…元気になったら遊んであげてくれる?」
「うん」
「コナンちゃんも、哀ちゃんにお礼言わなきゃね…」
「うん、哀ちゃん…元気になったら遊ぼ?ごめんね…」
「ううん。風邪が治ったらまた来るね?そしたら遊ぼうね!」
コナン君は、お礼より謝っていた。コナン君が悪いわけじゃないのに…勝手に来た私が悪いのに、そんな事思いながら辛いのに私に言葉を投げ掛けてくれたコナン君に悪い事したと思っていた。
その後、私はお兄さんに手を引かれ…隣の家まで送り届けてくれた。
「今日はありがとな、コナンの奴きっと嬉しかったと思うぜ?」
「でも、私が来たせいでコナン君を起こしちゃった…ごめんなさい」
「いや、違うんだ…いつも熱出ると中々眠れないみたいでさ…灰原さんが来てくれて、びっくりしたかもしれないけど…きっとこれで眠れると思うから心配しなくていいんだぞ」
そんな風に励まされる私は、静かに頷いた。優しいお兄さんが居て羨ましい反面、早く元気なコナン君と遊びたいと密かに思っていた。
家族が居なくなってしまった私には、コナン君の家族がとても暖かなものと感じている。
そんなお兄さんにお礼を言って、私は阿笠邸の家に帰ってくると、博士がニコニコと出迎えてくれた。
「おかえり、哀くん」
コナン君が風邪で寝込んでたと聞かされた博士は最初は驚いていたけど、大丈夫だと言う事を説明すると安心した様に微笑んでいた。
心配が消えない気持ちの中で…今頃コナン君が眠れていればいいなと、私は博士が作ってくれたココアを飲みながらぼーっとそんな事を考えていた。
一緒の幼稚園に通ってる歩美ちゃん達共仲良くなって、時々博士の家に集まって遊ぶようになった。
そんなある日、私はいつもの様に工藤家へ向かい、コナン君と遊ぶ為に尋ねていた。
「あ、ごめんな…コナンなら今体調崩して寝てるんだ」
「え!?」
私はその言葉で驚いて声を上げた。やっぱり未熟児で産まれたら、多少のリスクは背負わないといけないんだ…私はお兄さんに聞かされて悲しい気持ちになって俯いていた。
すると、お兄さんが私を安心させる様に気遣って声を掛けてきた。
「灰原さん…でも、大丈夫だよ…今体調崩してるけどそんなに心配する事ないからな。その内元気になるから…そしたら、また遊んでやってな?」
顔を上げる私に優しく説明してくれるお兄さん…それでも、私はコナン君の様子が気がかりで仕方なかった。
「看病したいの…」
「えっ!?」
私はやっと絞り出した声でお兄さんにお願いした。私の真剣な瞳を見たお兄さんは少し困っていたけど、次の瞬間には笑ってコナン君の所へ案内してくれた。
「さっき寝たばかりなんだ…」
お兄さんはコナン君の寝てる寝室の扉をそっと開けながら私に説明してくれる。
「でも、灰原さんにも風邪移っちゃうといけないから、少しだけな?」
「うん!」
そう言って、コナン君のベットに寄りかかる私。枕元にはこの間コナン君が貸してくれたおもちゃが置いてあった。遊びながらいつの間にか寝ちゃったのかな?って思いながら、私はコナン君の寝顔を見つめながら手を握っていた。
すると、お母さんの有希子さんが入ってきて私の口にマスクを付けると言った。
「哀ちゃん、お見舞いありがとね~でも、風邪移っちゃうかも知れないからこれ付けて置いてね~」
「……」
そう言って、私の口元に突然付けられたマスクに驚く私に有希子さんがもう一度言う。
「コナンちゃん、今寝た所だから当分起きないと思うの。でも、もし起きたら教えてくれる?それまでコナンちゃんの看病よろしくね…」
「うん」
そう言って、有希子さんとお兄さんは部屋から出ていった。その後私はコナン君の手を握ったまま離さず心配でコナン君から目を離さなかった。
しばらくして、コナン君はゆっくり目を開けた。そして、私の存在に驚いて目をぱちぱちしていた。
「コナン君!?大丈夫?」
「哀ちゃん…な、んで?」
「遊びに来たら風邪で寝てるって言われたの。だから、お見舞いに来たの。」
私がそう言うと、恥ずかしそうに反対側の腕で顔を隠してた。
「やだ…恥ずかしいよ」
そう言って、熱が上がったのか息が荒くなって行くコナン君を心配して有希子さんを呼んでくると言って、席を立った時…コナン君は私の腕をガシッと掴んだ。
「大丈夫。平気だから…」
そう言って、辛そうに笑顔を向けるコナン君に、私は離した手をまたそっと握っていた。
一度起きたせいで眠れなくなったのか、熱が上がってきたのか…コナン君は涙を流して自分の体調と戦ってるようだった。
「うっ…うっ…」
「大丈夫だよ、コナン君…」
私は近くに置いてあったハンカチで涙を拭いてあげたり、温くなったタオルを変えてあげたりしていた。
その内、心配になったお兄さんが部屋に入って来てコナン君の様子を覗いていた。
「コナン、どうだ?大丈夫か?」
「うん…」
そう言うものの、コナン君はお兄さんの顔を見ながら涙を溜めて私が居るせいもあって泣くのを我慢してる様でもあった。
お兄さんはコナン君の額に触れ唸りながら難しい表情をさせていた。
「熱下がんねーな…」
「兄ちゃん…」
もう限界だったんだと思う。お兄さんの顔を見た途端、顔を歪ませ助けを求める様に泣き出してしまった。
「どうしたんだ、コナン?辛いのか?」
「うっ、うっ…」
なかなか下がらない熱で寝付けなかったのに私が来てしまったから…そう思った私は申し訳ない気持ちで"ごめんなさい"と口をついて出てしまっていた。
泣いてるコナン君を抱き上げながら…お兄さんは私に向かって言う。
「灰原さんのせいじゃないから気にしなくていいからな?コナンのやつ熱出るといつもこうなんだ…元気になれば元に戻るから…な?コナン?」
「うん…」
お兄さんの胸の中で涙を止めながらやっと返事をするコナン君。辛いんだろうなと思いながら、私はどうすればいいのか分からずその場で立ち尽くしていた。
「あらあらどうしたの?」
「コナンの熱下がんなくてよ、泣き出しちまったんだ…」
「そう…」
騒ぎを聞きつけて、部屋に入ってきた有希子さんは心配そうにコナン君の顔を覗き込むとお兄さんからバトンタッチして今度は有希子さんがあやしていた。
「新ちゃん、哀ちゃんの事送って行ってあげてくれる?」
「あ、ああ…」
そうお兄さんに頼むとコナン君を抱いたまま、私に近づいて笑顔を向けながら言ってきた。
「哀ちゃん、大丈夫よ…コナンちゃん、今は熱が高いけど、下がればすぐ治っちゃうから…元気になったら遊んであげてくれる?」
「うん」
「コナンちゃんも、哀ちゃんにお礼言わなきゃね…」
「うん、哀ちゃん…元気になったら遊ぼ?ごめんね…」
「ううん。風邪が治ったらまた来るね?そしたら遊ぼうね!」
コナン君は、お礼より謝っていた。コナン君が悪いわけじゃないのに…勝手に来た私が悪いのに、そんな事思いながら辛いのに私に言葉を投げ掛けてくれたコナン君に悪い事したと思っていた。
その後、私はお兄さんに手を引かれ…隣の家まで送り届けてくれた。
「今日はありがとな、コナンの奴きっと嬉しかったと思うぜ?」
「でも、私が来たせいでコナン君を起こしちゃった…ごめんなさい」
「いや、違うんだ…いつも熱出ると中々眠れないみたいでさ…灰原さんが来てくれて、びっくりしたかもしれないけど…きっとこれで眠れると思うから心配しなくていいんだぞ」
そんな風に励まされる私は、静かに頷いた。優しいお兄さんが居て羨ましい反面、早く元気なコナン君と遊びたいと密かに思っていた。
家族が居なくなってしまった私には、コナン君の家族がとても暖かなものと感じている。
そんなお兄さんにお礼を言って、私は阿笠邸の家に帰ってくると、博士がニコニコと出迎えてくれた。
「おかえり、哀くん」
コナン君が風邪で寝込んでたと聞かされた博士は最初は驚いていたけど、大丈夫だと言う事を説明すると安心した様に微笑んでいた。
心配が消えない気持ちの中で…今頃コナン君が眠れていればいいなと、私は博士が作ってくれたココアを飲みながらぼーっとそんな事を考えていた。