哀とコナンと…
博士の話が終り、灰原さんを連れて帰る頃……コナンと灰原さんは、さっきとはまるで違い……打ち解けていた。
「じゃあ、すまんの~そう言うことで、宜しくな……」
「ええ…大丈夫よ、博士……」
そう母さんに声を掛けられながら……灰原さんの手を繋ぎ帰るのを、俺達は玄関まで送って行った。
「バイバイ、哀ちゃん!!」
「バイバイ……」
二人共、お互い手を振り返す様子を俺達は笑って見守っていた。
そして、灰原さんは博士に連れられて……阿笠邸に帰って行った。
扉が閉まると同時に、コナンが俺のズボンを引っ張って何かを訴えていた。
「どーした?コナン……」
「にーちゃん……頭痛い……」
「え?」
その言葉に、慌てて振り向くとコナンは俯いて、青ざめていた。
既にリビングの方へ向かって姿が居ない母さんを呼ぼうと、リビングの方へ歩き出した父さんを俺は呼び止めた。
「父さん!!コナンが……母さん、呼んで来て!!」
「ん?コナン……?ちょっと、待ってなさい……」
そう言うと、父さんは駆け足で母さんを呼びに行った。
「コナン……いつから体調悪かったんだよ……」
「兄ちゃんと、哀ちゃんと部屋に行った時……」
「そんな前からか!?我慢しないで言わなきゃダメだろ……」
「だって……哀ちゃんがいたんだもん……」
そんなコナンを抱き上げて、部屋に運ぶ俺は……コナンを見つめながら、灰原さんに知られたくなかったんだろうと……勝手に解釈していた。
俺が部屋で、コナンをベッドに寝かせていると…母さんが、慌てて駆け寄って来た。
「コナンちゃん……」
「大丈夫……熱はないみたいだから……」
「そう……ダメよ、ちゃんと言わなきゃ……」
コナンを心配しながら、頭を撫でる母さんにコナンが不思議に思っていた事を尋ねた瞬間……俺も母さんも父さんも、コナンの言葉に固まった。
「ねえ、死ぬってどう言う事!?」
「!!!!!」
俺達は、さっきの博士の話をコナンが聞いてるはずもなく……きっと、灰原さんから聞いたんだろうと理解した。
「どうして!?どうして、そんな事……」
「哀ちゃんがね、お父さんとお母さんとお姉ちゃんが死んじゃったって……もう、会えないって…………本当に、会えないの!?また、会えるよね!?」
「コナンちゃん……」
まだ、三歳のコナンに……俺達はどう説明すればいいのか、分からなかった……。
きっと、コナンに説明したところで……理解は出来ても、納得してはくれないだろう……。
「それは……コナンちゃんが、元気になったら……ちゃんと、説明してあげる……だから、早く元気になろうね……」
「本当!?うん、分かった!!」
納得して無邪気に返事をするコナンに、俺達は……難しい課題を差し出された気がした。
そして、その時……何も知らない灰原さんが、絵本を持って……工藤邸に駆け寄ってくるなんて知らず、俺はコナンからもう一つ頼まれ事をした。
母さんと父さんが、リビングに……薬等を用意しに向かっていた時……俺とコナンは、部屋に二人だけになった。
「兄ちゃん……」
「どうした?」
「僕……熱が出たりするのって、大きくなったら…治るんだよね!?」
「え?ああ、治るよ!病院の先生だって、そう言ったろ!?」
「じゃあさ、哀ちゃんには……黙ってて……恥ずかしいから、知られたくないんだよ…」
コナンは、少しばかり呼吸を乱しながら……今にも、眠りそうな瞳を一生懸命開けて、俺に懇願する様に……見つめて来た。
「ああ…大丈夫だよ、内緒にしててやるから……大人しく寝てろ……」
「うん……」
そう言って、俺はコナンの頭を撫でると……コナンは、少しづつ瞼を閉じて行った。
その時…玄関のチャイムが鳴り、母さんが応対していたのを聞いて……コナンの薬を貰いに部屋を出た。
「母さん、コナンの薬……」
そう言った時…帰ったはずの灰原さんがそこに居たのに、驚き……立ち止まった。
「新ちゃん……哀ちゃんね、コナンちゃんに絵本持って来たみたいなの……貸す約束したんだって……具合、どう?」
コナンと約束したばかりの俺は、何も知らない母さんの言動を慌てた。
「コナンは、大丈夫…全然大丈夫だから、明日また来てくれないか?」
そう言って、俺は誤魔化そうと……灰原さんに声をかけた。
「大丈夫なら、会わせて……」
「いや、それは……」
「どうして!?」
そう聞かれ、困ってる俺の隙をついて……灰原さんは靴を脱ぎ、駆け上がった……。
「あ、ちょっと灰原さん……待てって……」
「ちょっと、どうしたの?」
不思議になりながら、追いかける母さんを背中に感じながら……俺は、灰原さんを必死に追いかけるが……。
遅かった。
「コナン君…………」
たった今眠ったコナンを見つめながら、灰原さんは絵本を両手で握りしめながら、俯いていた……。
「灰原さん……あのな、コナンは……」
「コナン君、どうしたの?」
「あ、あのな……」
「コナン君、どうしたの!!!」
そんな灰原さんの顔を見ると……涙ぐみながら、俺を見つめていた。
「大丈夫だよ、明日には治るから……」
「…………」
「ごめんな、さっきは誤魔化したりして……明日、また来てくれないか?」
「…………うん。」
そう、俺が諭すと……灰原さんは、静かに頷き……握り締めていた絵本を持ってコナンの側に近寄った。
コナンの枕元に持ってきた絵本を置き、コナンの心配を胸に……泣きそうな表情を浮かべながら、玄関に足を進めた。
きっと、彼女の胸の中で……両親や姉を無くした悲しみが、コナンを見た瞬間……蘇ってきたのだろう。
明日、彼女は改めて来てくれると俺は思ってる……。
コナンとの約束は、守れなかったけど……きっと、二人なら分かり合えるだろう……。
俺は密かに、そう思っていた。
「じゃあ、すまんの~そう言うことで、宜しくな……」
「ええ…大丈夫よ、博士……」
そう母さんに声を掛けられながら……灰原さんの手を繋ぎ帰るのを、俺達は玄関まで送って行った。
「バイバイ、哀ちゃん!!」
「バイバイ……」
二人共、お互い手を振り返す様子を俺達は笑って見守っていた。
そして、灰原さんは博士に連れられて……阿笠邸に帰って行った。
扉が閉まると同時に、コナンが俺のズボンを引っ張って何かを訴えていた。
「どーした?コナン……」
「にーちゃん……頭痛い……」
「え?」
その言葉に、慌てて振り向くとコナンは俯いて、青ざめていた。
既にリビングの方へ向かって姿が居ない母さんを呼ぼうと、リビングの方へ歩き出した父さんを俺は呼び止めた。
「父さん!!コナンが……母さん、呼んで来て!!」
「ん?コナン……?ちょっと、待ってなさい……」
そう言うと、父さんは駆け足で母さんを呼びに行った。
「コナン……いつから体調悪かったんだよ……」
「兄ちゃんと、哀ちゃんと部屋に行った時……」
「そんな前からか!?我慢しないで言わなきゃダメだろ……」
「だって……哀ちゃんがいたんだもん……」
そんなコナンを抱き上げて、部屋に運ぶ俺は……コナンを見つめながら、灰原さんに知られたくなかったんだろうと……勝手に解釈していた。
俺が部屋で、コナンをベッドに寝かせていると…母さんが、慌てて駆け寄って来た。
「コナンちゃん……」
「大丈夫……熱はないみたいだから……」
「そう……ダメよ、ちゃんと言わなきゃ……」
コナンを心配しながら、頭を撫でる母さんにコナンが不思議に思っていた事を尋ねた瞬間……俺も母さんも父さんも、コナンの言葉に固まった。
「ねえ、死ぬってどう言う事!?」
「!!!!!」
俺達は、さっきの博士の話をコナンが聞いてるはずもなく……きっと、灰原さんから聞いたんだろうと理解した。
「どうして!?どうして、そんな事……」
「哀ちゃんがね、お父さんとお母さんとお姉ちゃんが死んじゃったって……もう、会えないって…………本当に、会えないの!?また、会えるよね!?」
「コナンちゃん……」
まだ、三歳のコナンに……俺達はどう説明すればいいのか、分からなかった……。
きっと、コナンに説明したところで……理解は出来ても、納得してはくれないだろう……。
「それは……コナンちゃんが、元気になったら……ちゃんと、説明してあげる……だから、早く元気になろうね……」
「本当!?うん、分かった!!」
納得して無邪気に返事をするコナンに、俺達は……難しい課題を差し出された気がした。
そして、その時……何も知らない灰原さんが、絵本を持って……工藤邸に駆け寄ってくるなんて知らず、俺はコナンからもう一つ頼まれ事をした。
母さんと父さんが、リビングに……薬等を用意しに向かっていた時……俺とコナンは、部屋に二人だけになった。
「兄ちゃん……」
「どうした?」
「僕……熱が出たりするのって、大きくなったら…治るんだよね!?」
「え?ああ、治るよ!病院の先生だって、そう言ったろ!?」
「じゃあさ、哀ちゃんには……黙ってて……恥ずかしいから、知られたくないんだよ…」
コナンは、少しばかり呼吸を乱しながら……今にも、眠りそうな瞳を一生懸命開けて、俺に懇願する様に……見つめて来た。
「ああ…大丈夫だよ、内緒にしててやるから……大人しく寝てろ……」
「うん……」
そう言って、俺はコナンの頭を撫でると……コナンは、少しづつ瞼を閉じて行った。
その時…玄関のチャイムが鳴り、母さんが応対していたのを聞いて……コナンの薬を貰いに部屋を出た。
「母さん、コナンの薬……」
そう言った時…帰ったはずの灰原さんがそこに居たのに、驚き……立ち止まった。
「新ちゃん……哀ちゃんね、コナンちゃんに絵本持って来たみたいなの……貸す約束したんだって……具合、どう?」
コナンと約束したばかりの俺は、何も知らない母さんの言動を慌てた。
「コナンは、大丈夫…全然大丈夫だから、明日また来てくれないか?」
そう言って、俺は誤魔化そうと……灰原さんに声をかけた。
「大丈夫なら、会わせて……」
「いや、それは……」
「どうして!?」
そう聞かれ、困ってる俺の隙をついて……灰原さんは靴を脱ぎ、駆け上がった……。
「あ、ちょっと灰原さん……待てって……」
「ちょっと、どうしたの?」
不思議になりながら、追いかける母さんを背中に感じながら……俺は、灰原さんを必死に追いかけるが……。
遅かった。
「コナン君…………」
たった今眠ったコナンを見つめながら、灰原さんは絵本を両手で握りしめながら、俯いていた……。
「灰原さん……あのな、コナンは……」
「コナン君、どうしたの?」
「あ、あのな……」
「コナン君、どうしたの!!!」
そんな灰原さんの顔を見ると……涙ぐみながら、俺を見つめていた。
「大丈夫だよ、明日には治るから……」
「…………」
「ごめんな、さっきは誤魔化したりして……明日、また来てくれないか?」
「…………うん。」
そう、俺が諭すと……灰原さんは、静かに頷き……握り締めていた絵本を持ってコナンの側に近寄った。
コナンの枕元に持ってきた絵本を置き、コナンの心配を胸に……泣きそうな表情を浮かべながら、玄関に足を進めた。
きっと、彼女の胸の中で……両親や姉を無くした悲しみが、コナンを見た瞬間……蘇ってきたのだろう。
明日、彼女は改めて来てくれると俺は思ってる……。
コナンとの約束は、守れなかったけど……きっと、二人なら分かり合えるだろう……。
俺は密かに、そう思っていた。