コナンが産まれた頃の話
書斎にこもっていた私は、息抜きにコーヒーでも飲もうとキッチンに向かうが、余りにも静かなコナンの様子が気がかりになり、新一とコナンの部屋を覗いた。
幼稚園から帰ってきたコナンは一人で部屋で大人しくしている様に言われていたのだろう。有希子の姿が見当たらないが…コナンは一人で何やら見ている様子だったもので近づいてみると…そこには未熟児として産まれた頃に有希子が撮り溜めたコナンのアルバムを開いている所だった。
私は少々驚いたがそっと、コナンの傍に座りコナンに声を掛ける。
「まだそれを見るのは早いのではないかな?」
そう言って、アルバムを閉じた私の顔を不思議な面持ちで見てくる二歳になったばかりの二人目の息子のコナン。新一と違って手のかかる子だが、こうやって大人しくしていると違和感に苛まれる時さえある。
「これなあに?」
無邪気に聞いてくるこのアルバムに興味があるのだろう。もっと見たがって閉じたアルバムをまた開こうと手をかけている。
「これ僕のアルバム?」
まだ二歳になったばかりの息子にこのアルバムを見せてもいいのか思案していると、買い物に出かけた有希子が足音をさせて帰ってきたらしい。
「コナンちゃーん」
扉を開けると私が居たもので驚いていたが、コナンの様子に疑問を抱いて聞いてきた。
「どうしたの?」
その疑問に答えると、慌ててコナンの傍に寄ってアルバムを本棚にしまった。
「あら、見つかっちゃったのね…でもこれはまだ見せられないのよ~もう少し大きくなったら見せてあげる」
見せてやってもいいが、コナンの小さな心で受け止めてくれるという自信はない。新一が帰ってきたらきっとコナンは新一に頼るだろう。その時、新一はどうするかが見物だ。
「ねー、それ僕が生まれた時のもの?」
「えー、そうよ…」
「じゃあ見せて」
「今は見せられないのよ、コナンちゃん」
言い出したら聞かないコナンを納得させるのは大変だと、私も有希子も理解しているが…止める術を持ち合わせているのは新一だ。
「なんで?」
そうやってコナンは理由がはっきりしてないと分かってくれないのがコナンだ。そういう部分では新一の時より大変なのだろう。
「コナン、これはコナンの大切な宝物だ。宝物はそう簡単に見せられないんだ。だが、いつか見せられる時が来た時にきちんと見せてやるさ」
「優ちゃん…」
「大丈夫、それはきっとそんなに遠くない…待てるか?」
「うん!」
私のその言葉に少々納得してくれた様で…コナンは素直に頷いた。宝物という言葉に瞳を輝かせていたが、後は新一に任せる事としよう。
そうこうしている内に新一が帰宅した様で部屋の扉を開けて入って来た。
「なんだ?どうしたんだ、皆で集まって…」
「それがね…」
有希子から理由を聞いた新一は、コナンの傍に寄るとアルバムを手に持って"ついに見つかっちまったか"と苦笑していた。
「それ見せて~」
手を伸ばして懇願するコナンに、新一は困った表情をしながら有希子に助けを求める様に見ていたが、有希子の"好きにしていいわよ"と言う言葉に、コナンの見たがってる様子に止める術もなく…新一はアルバムをめくると、コナンに見せていった。
「コナンが産まれた時のだよ。母さんが写真撮ってまとめてくれていたんだぞ?」
そう話す新一の横でコナンはアルバムに手を触れながら眺めていた。ページをめくるにつれて保育器に入れられていたコナンから補助機がだんだん外れていく。
「ちいさいね」
と一言いってクスッと笑うコナンに私達は安心していた。
「産まれた時は皆小さかったんだぞ!」
「僕も兄ちゃんみたいに大きくなる?」
「ああ、なるよ」
そう新一が説明してやると"よかった"と言って笑っていた事に先程までの心配は解きほどかれていた。
「でも、誰かに見られると恥ずかしいね…」
「そうね…でも、コナンちゃんが見せてもいいと思った人に見せてあげればいいのよ、無理して見せることないわ…」
「うん」
有希子がそう言い聞かせ、納得した直後に新一が一言"まあ、蘭は知ってるけどな"と言い放った発言にコナンは恥ずかしそうにしていた。
「やだ~」
「新ちゃん!」
「わり…」
だが、その次の瞬間には笑顔を見せていたので少なからず安心していた。
「だから、風邪引いて熱出たら病院行って治そうな?そうすれば、すぐ治っちまうからさ」
「うん!」
新一はコナンの頭を撫でながら笑顔を向け優しく話していた。これだから、新一にコナン事を任せっきりになってしまうのだが…頼れる兄としても、新一は成長している事、私達は知っていた。
1冊のアルバムの中には母子手帳も挟まれている。これも、コナンが成長して来た証なのだ。それをそっと手渡してやるとまだ読めない字で分からない事もあるだろうが…自分の産まれたばかりの写真をただ一点に見つめていた。
「これ僕~」
「そうよ~」
そう笑みを浮かべながら嬉しそうに母子手帳を見ていたコナンがこれからどう成長して行くのか、親ながら楽しみになっていた。
そんな二人の息子と妻の有希子に恵まれながら…私は今日も書斎で執筆の仕事をこなして行く。
幼稚園から帰ってきたコナンは一人で部屋で大人しくしている様に言われていたのだろう。有希子の姿が見当たらないが…コナンは一人で何やら見ている様子だったもので近づいてみると…そこには未熟児として産まれた頃に有希子が撮り溜めたコナンのアルバムを開いている所だった。
私は少々驚いたがそっと、コナンの傍に座りコナンに声を掛ける。
「まだそれを見るのは早いのではないかな?」
そう言って、アルバムを閉じた私の顔を不思議な面持ちで見てくる二歳になったばかりの二人目の息子のコナン。新一と違って手のかかる子だが、こうやって大人しくしていると違和感に苛まれる時さえある。
「これなあに?」
無邪気に聞いてくるこのアルバムに興味があるのだろう。もっと見たがって閉じたアルバムをまた開こうと手をかけている。
「これ僕のアルバム?」
まだ二歳になったばかりの息子にこのアルバムを見せてもいいのか思案していると、買い物に出かけた有希子が足音をさせて帰ってきたらしい。
「コナンちゃーん」
扉を開けると私が居たもので驚いていたが、コナンの様子に疑問を抱いて聞いてきた。
「どうしたの?」
その疑問に答えると、慌ててコナンの傍に寄ってアルバムを本棚にしまった。
「あら、見つかっちゃったのね…でもこれはまだ見せられないのよ~もう少し大きくなったら見せてあげる」
見せてやってもいいが、コナンの小さな心で受け止めてくれるという自信はない。新一が帰ってきたらきっとコナンは新一に頼るだろう。その時、新一はどうするかが見物だ。
「ねー、それ僕が生まれた時のもの?」
「えー、そうよ…」
「じゃあ見せて」
「今は見せられないのよ、コナンちゃん」
言い出したら聞かないコナンを納得させるのは大変だと、私も有希子も理解しているが…止める術を持ち合わせているのは新一だ。
「なんで?」
そうやってコナンは理由がはっきりしてないと分かってくれないのがコナンだ。そういう部分では新一の時より大変なのだろう。
「コナン、これはコナンの大切な宝物だ。宝物はそう簡単に見せられないんだ。だが、いつか見せられる時が来た時にきちんと見せてやるさ」
「優ちゃん…」
「大丈夫、それはきっとそんなに遠くない…待てるか?」
「うん!」
私のその言葉に少々納得してくれた様で…コナンは素直に頷いた。宝物という言葉に瞳を輝かせていたが、後は新一に任せる事としよう。
そうこうしている内に新一が帰宅した様で部屋の扉を開けて入って来た。
「なんだ?どうしたんだ、皆で集まって…」
「それがね…」
有希子から理由を聞いた新一は、コナンの傍に寄るとアルバムを手に持って"ついに見つかっちまったか"と苦笑していた。
「それ見せて~」
手を伸ばして懇願するコナンに、新一は困った表情をしながら有希子に助けを求める様に見ていたが、有希子の"好きにしていいわよ"と言う言葉に、コナンの見たがってる様子に止める術もなく…新一はアルバムをめくると、コナンに見せていった。
「コナンが産まれた時のだよ。母さんが写真撮ってまとめてくれていたんだぞ?」
そう話す新一の横でコナンはアルバムに手を触れながら眺めていた。ページをめくるにつれて保育器に入れられていたコナンから補助機がだんだん外れていく。
「ちいさいね」
と一言いってクスッと笑うコナンに私達は安心していた。
「産まれた時は皆小さかったんだぞ!」
「僕も兄ちゃんみたいに大きくなる?」
「ああ、なるよ」
そう新一が説明してやると"よかった"と言って笑っていた事に先程までの心配は解きほどかれていた。
「でも、誰かに見られると恥ずかしいね…」
「そうね…でも、コナンちゃんが見せてもいいと思った人に見せてあげればいいのよ、無理して見せることないわ…」
「うん」
有希子がそう言い聞かせ、納得した直後に新一が一言"まあ、蘭は知ってるけどな"と言い放った発言にコナンは恥ずかしそうにしていた。
「やだ~」
「新ちゃん!」
「わり…」
だが、その次の瞬間には笑顔を見せていたので少なからず安心していた。
「だから、風邪引いて熱出たら病院行って治そうな?そうすれば、すぐ治っちまうからさ」
「うん!」
新一はコナンの頭を撫でながら笑顔を向け優しく話していた。これだから、新一にコナン事を任せっきりになってしまうのだが…頼れる兄としても、新一は成長している事、私達は知っていた。
1冊のアルバムの中には母子手帳も挟まれている。これも、コナンが成長して来た証なのだ。それをそっと手渡してやるとまだ読めない字で分からない事もあるだろうが…自分の産まれたばかりの写真をただ一点に見つめていた。
「これ僕~」
「そうよ~」
そう笑みを浮かべながら嬉しそうに母子手帳を見ていたコナンがこれからどう成長して行くのか、親ながら楽しみになっていた。
そんな二人の息子と妻の有希子に恵まれながら…私は今日も書斎で執筆の仕事をこなして行く。