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コナンが産まれた頃の話

そしてまた別の日…。

「コナン君~こっちこっち」

コナンがハイハイ出来るようになった日、蘭は手を叩いてコナンを呼ぶと蘭の方へゆっくりハイハイしながら歩を進めているコナン。コナンが蘭の所まで到着し、手を蘭の膝にピトッと触れたのを感じて、蘭は嬉しそうにコナンを抱き締めた。

「可愛い~」
「あんまり強く抱くなよな…」
「分かってるよ~だけど可愛いんだもん」
「それに、あんまり可愛がるなよな…俺に懐かなくなったら困るんだからさ」

そういう俺に、蘭はくすくす笑って言った。

「新一、私に焼きもち~?」
「そんなんじゃねーよ…兄貴として、立場がないじゃねーか」
「ふーん」

そう言いながら俺がコナンに手招きすると、コナンは蘭から離れなくなってしまった。嫌な予感していた俺はやっぱりこうなったと落胆していたが、蘭に抱きついたまま"にー"と言った事に、驚いて俺は母さんと父さんに知らせに言った。

「コナンが今にーって言ったんだ」
「コナン?」

母さんと父さんが駆け寄る中、コナンは俺の方を指を指しもう一度言った。

「にー」
「コナン…」

弟が初めて喋った言葉が嬉しくて俺は何やら熱いものを感じたが、俺は堪えてコナンを抱き締めた。

「これは新一に頭が上がらんな、有希子…」
「新ちゃん、よかったわね…」

コナンを抱き締める俺の肩を後ろから、母さんはそっと手を置き静かに言った。

「コナンの事、守ってあげてね…お兄ちゃん」
「ああ…」

傍で見ていた蘭は、特に何も言わなかったが微笑ましいその様子を見届けていたと後で話してくれた。




それから、コナンに何かあればすぐに報告していた。それが面白くて、父さんも母さんも俺が話すのを楽しそうに聞いてる様子だった。

コナンはどんどん大きくなり、何かあるとすぐに俺に頼ってくる様になった。兄ちゃんと言って頼って来る弟に俺は嬉しさが増していた。

そんなある日、俺はコナンと遊び疲れてコナンの手を繋ぎその場で眠ってしまった。

後から聞いた話だが、静かになった部屋を覗くと俺とコナンは手を握り合いながら眠っていたらしい。

「あらあら~」
「おい、新一…仕方ない、ベッドに運んでくるか…」

そう言って、部屋を覗いて俺を起こしてくれたらしいが中々起きなかった様で、父さんが俺をベッドに運んでくれたらしい。

そして、その後コナンは"くしゅん"とくしゃみをして見ると、コナンは熱を出していたらしい。

「まあ、大変」

そんな事も知らず、俺はそのまま夜まで眠っていた。

目が覚めた時、コナンの事を聞いて慌てる俺。熱を出させた事、悪いと思い…熱が下がるまでコナンの看病をしていた。コナンの頭に手を置いて熱の高いコナンの傍から離れずにいた。

「ごめんな…」
「兄ちゃん…?」
「コナンっ!大丈夫か?」
「うん、兄ちゃんと遊ぶ…」
「ダメだよまだ熱下がってねーんだから…」
「兄ちゃんと、遊ぶ~」

そう言って、泣き出すコナンに俺は困っていた。

「今は無理だけど、コナンが元気になったらまた一緒に遊ぼうな?それまで兄ちゃんが付いていてやるから、早く元気になるんだぞ?」
「うん」

そう言った俺にコナンは返事をするとまた寝息を立てて眠っていった。それを見た母さんが部屋を覗いていたけど、俺がコナンに言い聞かせてるのを聞いてそっと部屋の扉を閉めていた。

元気になっていくコナンを見て、だんだんと安心感が俺の心を癒して行く。


「兄ちゃん」

そして俺は今日も、元気になったコナンの遊び相手になっている。

満面の笑みを浮かばせる弟を見て安心するのだった。
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