それから…暫く、俺は、蘭を連れて学校の帰りにコナンの様子を見るべく、病院に寄って帰るという生活を送っていた。

母さんは、コナンより一足先に退院して行った。

病院に残されたコナンを、俺や父さん、母さん……そして蘭が毎日のように心配して、様子を見に来ていた。

そしてこの日も、相変わらず…機械の補助に助けられ、一生懸命、生きている弟を病院に来て見つめていた。

「お帰り、新ちゃん……蘭ちゃん……」
「母さん……ただいま……」
「こんにちは」

いつの間にか、後ろに立っている母さんに……俺と蘭は、返事を返した。

「どう？コナンちゃんの様子は……」
「いつもと、変わらないよ……」
「でもね、少しづつ大きくなってるの……分かる？」

コナンを想い……うな垂れる俺に、母さんは微笑みながら、コナンを見つめた。

その…母さんの視線を追い、俺もコナンを見つめる……。

そういえば、この間より……少しづつ、大きくなってるような……。

そう、考えていると……母さんが、俺にポツリと教えてくれた。

「これが、成長してるって事よ……コナンちゃんは今、小さな身体で懸命に生きようと頑張ってるのよ……」
「…………」
「新ちゃんの時だって……日に日に大きくなって行ったのよ……ただ、新ちゃんは元気すぎたんだけどね……」
「なんだよ、それ……」

クスリと笑いながら、俺は母さんの話に耳を傾けた。

「新ちゃん……さっき、先生から話があってね……コナンちゃんね、順調に成長してるみたいなの……それで、この分ならあと二週間程で退院出来るって……」
「本当に！？」
「ええ……ただ、呼吸値が平均に達していないみたいでね……様子を見ながらって事らしいのよ……でも、心配しなくて大丈夫そうよ……少しづつだけど、ちゃんと成長してるみたいだしね……」

先生の話があったからなのか……母さんは、本当に嬉しそうにコナンの事を話していた。

そんな、母さんの話を聞いた俺や蘭も……安心して、顔を見合わせて笑った。





それから、二週間後……コナンは無事に退院した。

コナンが産まれて、退院まで……一ヶ月にも及んだ……。

だけど……こうして、退院出来た事は本当に嬉しい事で……コナンを抱きかかえる母さんの横で父さん、俺、蘭は並び歩きながら……工藤宅へ歩を進めた。

産まれて初めて、コナンがこれから住む自分の家に入る……。

まだ、何も分からないコナンに……どんな未来が待っているのか、そして……どんな弟になるのか、俺は……そんな期待に胸を膨らませた。