新一とコナン①
「にーちゃん、これなんて読むの??」
その後、コナンに本をあげたのは良かったんだけど…大変なのは、その後だった…。
小学校一年生のコナンにとっては、漢字は読めないのは当たり前で…漢字の部分が現れると、本を片手に俺の部屋までやって来ては聞いていた…。
「"じけん"って読むんだよ…」
「じゃあ、これは?」
「それは"ようぎしゃ"…」
それを何十回と繰り返していた俺は、疲れ果てていた…。
あくび一つすると、コナンを覗きこんで言った…。
「コナン、また明日にしよーぜ?兄ちゃん、疲れた…」
「もう少しだけ…」
そう言って、指差すコナンを見て閃き、頭を抱えた…。
"そっか、何でもっと早く思いつかなかったんだろう?"
「コナン、この本兄ちゃんに少し貸してくれるか?コナンが読める様に、フリガナふっといてやるよ……」
「本当ーー?」
「明日、返すからな…」
「うん!!約束だよ…」
そう言うコナンを自分の部屋に促すと、コナンに"おやすみ"といって俺はドアを閉めた…。
片手に持った本を見つめながら、ため息をする…。
「またやる事が増えたな…」
俺はその本を鞄の中にしまうと、布団に潜り込み…大きなあくび一つして、暫くすると睡魔に襲われ…眠りについた…。
翌日の授業中…コナンと約束した本に振り仮名を振っていると、蘭に声を掛けられた…。
「新一……何、真面目に書いてるのよ……新一らしくないわね…」
「うるせーよ、俺はいつも真面目だっつーの……」
とはいえ、普段の俺と言えば…居眠りしてるか、鼻と唇の間に鉛筆を挟んで頬杖をついてぼーっとしてるかのどっちかで…蘭が不思議になるのも無理はなかった…。
「よく言うわよ…」
そう言う蘭に対して、俺は早口に言う……。
「コナンと約束したんだよ……あいつまだ漢字読めねーからさ…」
「あら?珍しく、お兄ちゃんやってるのね…」
「うっせーよ…」
そう言うと、俺はまたフリガナをふる作業を再開した…。
そんな俺を見て、蘭はニヤニヤしていた…。