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新一とコナン③

私はこの時……用事があって新一の家に向かっていた……そして、丁度新一の家に着いた時……二人の様子に異変を感じて声をかけた。

「コナン君……」
「蘭ねーちゃん……」

私が声をかけると、今にも泣きそうな表情でコナン君は私の方へゆっくり振り向いた。

「どうしたの!?」

そう尋ねる私に向かってただ黙って首を振るだけだったけど……明らかに、様子がおかしいのは目に見えていた。

「コナン……とりあえず、中に入ろう……」
「兄ちゃん!!」

新一の誘導にコナン君は、慌てて新一の名前を叫ぶと懇願の思いで手を引っぱって……じぃーっと顔を見つめていた。

「どうした!?」
「お願いが……あるんだ…………」

コナン君の思いに、私達は不思議な思いで顔を見合わせていた。



その後、新一とコナン君と一緒に阿笠博士の家に行った。

「おお~蘭君に新一……どうしたんじゃ!?」
「あ、いや…実は……」

そう言った新一の後ろからひょっこり顔を出したコナン君に博士は笑顔を送った。

「おお、コナン君……」
「灰原は?」
「あ、哀君なら自分の部屋に……あっ、でも今は……」

博士の話が終わらない内にコナン君は新一の手を引っ張って哀ちゃんの部屋まで駆け出した……。

「おい、コナン!!」
「お、お邪魔します!」

私達はコナン君に連れられて、哀ちゃんの部屋の前まで来るとノックをした。

「何!?」
「灰原……さっきは、ごめんな……」
「別に、怒ってないけど……」

謝るコナン君に対して、哀ちゃんはコナン君を睨み付けていた。

「代わりに、兄ちゃん貸してやるよ……」
「何!?」
「だって、さっきお姉ちゃん欲しいって……」
「……そういう事じゃないのよ!!」

コナン君なりに考えたのだと思う……お姉ちゃんがいなくなってしまった哀ちゃんの為に、自分のお兄ちゃんを貸してあげる事で…哀ちゃんを喜ばしてあげたかったのだろう。

でも……。

「遠慮するなよ……」
「してないわよ!!いいから、帰って!!」
「灰原……」
「お兄さんは、貴方のお兄さんでしかないでしょ!!私が言ってるのはそう言う事じゃないのよっ……余計なお節介なんてしないでよ!!」

凄い剣幕で怒り出した哀ちゃんは、そう吐き捨てて……その場を後にした……。

「灰原っ!!」
「待って、コナン君……ここは私に任せて、コナン君はお兄ちゃんとここで待ってて!!」

哀ちゃんを追いかけようとしたコナン君を止めて、私は一人哀ちゃんの後を追った。

「待って、哀ちゃん!!」

私は、哀ちゃんの腕を掴んだ。そして、私に腕をつかまれながら…哀ちゃんは背中を向けて一人静かに泣いていた。

「ほっといて……私の事なんて……構わないでよ……」
「もしかして……お姉ちゃん??」

私の言葉にはっとして顔をあげると、ゆっくり私のほうへ顔を向けた。

「聞いたよ、哀ちゃんのお姉ちゃん…………亡くなっていたんだってね……」
「…………」
「コナン君や新一を見て、羨ましく思うのも分かる……だって、私も姉妹いないから…………」

私の話を聞きながら、ポツリポツリ哀ちゃんの瞳から涙が落ちていた……。

「コナン君はね、哀ちゃんの事心配していたんだよ……やり方は不器用でも……哀ちゃんの為に、何かしてあげたかったんじゃないかな……!?」
「分かってる……分かってけど……でも……」
「ねぇ…………」

私は哀ちゃんを慰めながら…………哀ちゃんに向けて、提案を投げかけた。

「ねえ、哀ちゃん……私が哀ちゃんのお姉ちゃん代わりになってあげよっか!?」
「えっ!?」
「私も姉妹なんていなくて、淋しい気持ちは分かる……それに、私も哀ちゃんみたいな妹……欲しかったんだ……」

一瞬、驚いたような表情を見せた哀ちゃんだったけど…………不意に、頬を赤く染めて俯いていた。

「コナン君と仲直りしにいこ??」
「えっ!?」
「きっと、心配してるよ?ねえ、行こう?」

私はそう言って、手を差し伸べると哀ちゃんはゆっくり手を握り返してくれた。

二人で手を繋いで歩く帰り道…………きっと、本当の姉妹だったらこんな感じなんだろうな……。

と、そんな事を思いながら……新一とコナン君が待っている場所へ帰って行った。




「灰原~~」

私達の姿が見えたのか、コナン君が一目散に駆け寄って来る……。

「あ、あのさ……」
「お兄さん……貸してくれなくてもいいから!!」
「でも、兄弟……」
「私が欲しいのはお姉ちゃんなの!お兄さん貸してもらっても、意味ないのよ!!」

顔を合わせれば、口喧嘩してしまうのは……私達と変わらないのかもしれない。

でも……。

「灰原……」
「でも……心配してくれてありがとう……」
「えっ!?灰原……今……?」
「ありがとうって言ったのよ!!聞こえなかったの??」

哀ちゃんが言うありがとうと言う言葉が珍しく思ったコナン君は、その言葉を聞いて照れ笑いしていた。

こんな素直じゃない二人を見てると、誰かと誰かを見てるみたいで笑えた。

きっと、大人になってもこんな風になるのかと思うと……将来が恐ろしく思える。

でも、仲直りして無邪気な二人に戻ったコナン君と哀ちゃんを見ると……とても安心できのだった。
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