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新一とコナン③

それから私達は、ショッピングセンターに着くと早速アイスコーナーに連れられた。

「灰原さん、どれが良いんだ!?」
「別に……何でも…………」
「………………」

お兄さんに聞かれて、ぶっきらぼうに答える私を見る工藤君は、アイスが並ぶショーケースを覗きながら……時より、私の方を向きながら心配していた。

この場から直ぐに立ち去りたいと思っていた私は……視線を下に向けて、暗い表情を落としていると突然工藤君が私の腕を掴んだ。

「な、何よ!?」
「好きなアイス選べよ!!いっぱいあるんだから、勿体無いぜ!?」

そう言って、ニコニコしている工藤君に連れられてショーケースの中に並ぶアイスの前にやってきた。

「何がいいんだ!?」

お兄さんにそう聞かれて、私が悩んでいると……工藤君は自分の好きなアイスの種類をお兄さんに伝えていた。

「じゃあ、私は……そのシャーベット……」
「あとは!?」
「あとって……」
「トリプルなんだ!!」

そう言われて見ると"本日限定トリプルアイスキャンペーン"と言うものをやっていた。

それを見た私は工藤君に睨み付けながら一言いった。

「そんなに食べれない!!」
「えっ!?何で??」
「何でって、私はあなたと違うから!!」

あからさまに怒り口調な私を見て、工藤君が目をパチパチして驚いていた。

「まぁまぁ、残したら食ってやるから……何がいいんだ?」
「何でも……」
「じゃあ……適当に選んでもいいか?」
「ええ……」

そうして、お兄さんが注文してくれたアイスを手に取りながら……私達は先にテーブルを見つける事になった。

「じゃあ、コナン……先に行っててくれ……兄ちゃん後から行くから!!」
「うん!!」

そう言って、トリプルに積まれたアイスを落とさないように持ちながら……テーブルを見つける為、二人で探した。

適当なテーブルを見つけた私達は、二人で座ると私は口を開いた。

「いいわよね……貴方はお兄さんがいて……」
「えっ!?」
「私にはいないから……もう、こういう気なんて使わないでくれる……!?」
「灰原……あ、あのさ……」

私の怒りに、口を開こうといた工藤君を遮る様にお兄さんがやってきた。

「よう、美味いか!?」

そう声をかけながら、私達のそばの椅子に腰掛けるお兄さんの問いかけに答える事もなく……私と工藤君は無言でアイスを食べ続けた。

早く帰ろうと……急いでアイスを食べ進める私とは逆に、工藤君は中々食べ進められない様子だった。

「コナン!?」
「兄ちゃん……これ、あげる……」

殆ど手を付けてないトリプルのアイスをお兄さんに渡す工藤君の顔から笑顔が消えていた。

「全然食べてねーじゃねーか……どーすんだよ、これ?こんなに兄ちゃん食べられないぜ!?」
「だって……」

その後、文句を言いながら食べてあげたお兄さんのアイスを見つめながら……工藤君はチラチラと私の顔を見つめていた。

でも、工藤君には悪いけど……私はそんな視線気づかないふりをしていた。





帰り途…………。

様子のおかしい工藤君に気がついたお兄さんが、声をかけていた。

「コナン!?どうした…………?」
「何でもないよ……」

お兄さんに問いかけられた工藤君は、首を振りながら答えていた。

それから暫く、無言のまま嫌な雰囲気で帰路につく私達を心配していたお兄さんと一緒に歩いて行くと……私達の家がみえてきた。

「それじゃ、ご馳走さまでした」

私はそれだけいうと、お兄さんに頭を下げて阿笠邸に帰って行った。

「コナン……行くぞ……」

後ろ背に、そんな声を聞きながら……工藤君が私の方を見ている事を察していたけど、そのまま振り向きもせず阿笠邸に入って行った。
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