母さんに叩かれたコナンは、赤く腫れた自分の頬に手を当てて、涙ぐみながら母さんを見つめていた…。

「うっ…」
「ごめんなさい…でもね、あなたの目は…眼鏡をかけないと、よく見えないのよ…だから、かけてコナンちゃん……」

俯いて、母さんの言葉を聞いていたコナンが勢い良く首を振っていた…。

「コナンちゃん……」

すると、母さんがコナンの頬を両手で覆いながら顔を持ち上げた…。

そして、母さんは自分の額をコナンの額に当てると、コナンの瞳を見つめて言った…。

「お願い…コナンちゃん…眼鏡をかけて頂戴……眼鏡をかければ見えるのよ…」

母さんに瞳を見つめられて諭されていたコナンは、母さんから視線を下にずらして涙を流していた…。

「やだよ」
「どうして？何がやなの？」

母さんの問いに、何も答えようとしないコナンに…母さんはもう一度言った……。

「このまま、見えなくてもいいの？誰の顔も見れなくなるのよ？お兄ちゃんの顔も見れないのよ…蘭ちゃんの顔も…」
「だって…かっこ悪いよ…」

母さんの説得に…コナンは、漸く絞り出すかのように声を発した…。

コナンはどうやら、眼鏡かけた自分の顔を晒したくなくて…眼鏡を拒否していたらしい…。

「何言ってるの…そんな事、気にしなくて良いのよ…」
「クラスで眼鏡かけてる人…だれもいないもん！！バカにされるよ……」

いくら、気にするなと言っても…コナンは頑なに眼鏡を拒否していた…。

そんなコナンを見た母さんが、コナンに眼鏡をかけると…。

「ほら、かっこいい……」

コナンが1番気にしている言葉をコナンにかけた…。

「お母さん！！」

そんなコナンは、涙ぐみながら母さんの胸に飛び込んだ…。

「わあああああ～ああああ…」

母さんの服をぎゅっと握りながら泣いていたコナンの頭を摩りながら…母さんも、俺も少し安心していた……。

多分、明日眼鏡をかけて学校へ行ってくれるだろう…。

「母さんだって、甘やかしてんじゃねーか…」

そう、言葉を母さんにぶつけるが…母さんは聞こえてなかったようで…コナンの頭を静かにさすっていた…。

そんな事を思いながら…俺は眼鏡をかけたくないと言うコナンの気持ちを汲み取り…俺は静かにコナンの部屋を出た…。